本多:ピスタチオ食べよっと。
本多:じゃあ、3杯目。コーヒー酎、ウーロン茶割りで。
峯村:はーい。
本多:初めて飲む。
(ひとくち、飲むふたり)
本多:おぉ。
峯村:これクイクイ飲んじゃうかもしれないね。
本多:ね。ほんと、アイスコーヒーみたいですね。
峯村:ちょっとカフェ気分じゃない?
本多:なんか、昼下がりの。
峯村:・・・チッ。
本多:なんで、舌うち(笑)!?
峯村:(笑)。
野中:今のは、しょうがない(笑)。
峯村:ね? 今のは、舌うちされてもしょうがないよね?
本多:ええ! 話に乗っかっただけじゃないですか。もう、分からん。
峯村:“乗っかる”とか、しちゃいけないんだよ、本ちゃんは。
本多:じゃあ、何やったらやっていんですか(笑)。
峯村:これ、ほんと飲んじゃうよ。
野中:これ飲んで次の日仕事にならなかったっ人もいるよ。
本多:え!
野中:次の日の夕方くらいまで起きられなかったって。
峯村:ほんとに!? でもそれは飲みすぎたんでしょう?
野中:まあ、2〜3杯だと思うけど。
本多:ええー。明日大丈夫ですか?
峯村:明日、平気。
本多:僕も明日、バスで帰るだけやから大丈夫。
峯村:じゃあ大丈夫だね。・・・(店内のBGMを聞いて)うわ、懐かしい!
本多:音楽。これ、マドンナの曲ですか?
峯村:うん。
本多:知らないなー・・・。
本多:あの、『THIS IS IT』が、すごい良いって評判になったじゃないですか。それで僕、マイケルジャクソンを全然知らないんですけど「1曲くらい、ぜったい知ってるのあるから!」って言われて見に行ったんですけど、1曲も知らなかったんですよね。
峯村:えー、でも「スリラー」とか・・・。
本多:ぜんぜん、知らないんですよ。「スリラー」っていう単語は知ってるんですけど、曲はほんと知らないんですよ。
峯村:外国の曲をあんまり聴かないの?
本多:そうなんですよ! 日本語じゃないと。だって、分からないじゃないですか、意味が。
峯村:曲がいいなぁ、とかは思わない?
本多:あっ・・・思います、たまに。
峯村:あ、でも昔、友達にもそういう人いたよ。「日本語じゃないと、意味が分からないじゃない」って言ってた。だから、外国の曲とか興味ないって昔は言ってたけどね。
本多:そうなんです。日本人が英語で歌うのも・・・高校の時に、「Hi-STANDARD」とかが流行ってた時期があって。
峯村:ああー!
本多:それも「いいんやろうな」っていうのは思ったんですけど、聴けなかったですね。
峯村:今一番、好きなひとは誰? 女の子じゃないよ、音楽だよ。
本多:(笑)。音楽は「キセル」とかですね。高田渡さんとか。
峯村:キセルねー。キセル聞いてると、ぜったい寝ちゃうんだよな(笑)。
本多:僕いつも、キセルを聞きながらストレッチするんですけど。
峯村:あー、そういう感じだよね! すごい良いよね。
本多:良いです。
本多:リエさんは、誰が好きですか?
峯村:あがた森魚さん。
本多:あー、そっか。もう少ししたら京都でやりますよね、映画。見よう。「あがた森魚ややデラックス」。
峯村:こないだ下北沢にある「LADY JANE」で、あがたさんがライブをやって。
本多:へー!
峯村:知り合いと3人で行ったんだけど、すごい近くであがたさんが歌って、素敵だったぁ・・・。
本多:僕、このあいだリエさんに教えてもらった、京都造形大のライブ見に行ったんですよ。よかったです、むっちゃ。
峯村:ほんとー? なんかあんまり本ちゃんから反応がないなぁと思ってたんだけど。「あ、本ちゃんあんまり好きじゃないんだなぁ」と思った。
本多:いやいや、メールしましたよ! よかったですよ! 「よかったです」ってメールしたじゃないですか。
峯村:・・・メールってあれだね、熱がやっぱ伝わんないね。
本多:でも、ビックリマークとか付けてましたよ。「よかったです!!」って、ビックリマーク2つ。
峯村:社交辞令だなぁって。
本多:!! じゃあ、どうしたらいいんですか(笑)。あっ、メールじゃなければいいんだ。やっぱメールでは、伝わんないですもんね。
峯村:伝わんないもんだねぇ。
本多:お芝居見に来てくれた人からメールで「良かったよ」って感想もらっても、なんか社交辞令に思えますもんね・・・そっか。そうかも分かんない。あ〜でも、言葉で言われても・・・。
峯村:そうだねえ。お芝居の感想って難しいねぇ。
本多:知り合いのお芝居を見に行って、思ったことをその場で言います?
峯村:面白かったら言うよ。「すんごい、面白かった!」って、何回も言う。うるさいってよく言われるもん。
本多:へえー! でも、あんまりやったりしたら・・・言わないですよね。
峯村:言わない。「大変そうだねー」とか。前にみんなに、そういう時どう言うのか聞いたら「大変そうだねーって言う」って聞いて、「それいいね」って貰ったの。
本多:まじで。覚えとこ。でもこれ、もし言われたら・・・。
峯村:ね、もし本ちゃんに言ったら(笑)。
本多:もうその時は、はっきり言ってほしいですけどね(笑)。
峯村:でも、本番中の役者さんに「ちょっとごめん、あんま面白くなかった」とか言えないよね。
本多:言えない。自分の好みですもんね。
峯村:そうなのよ! で「私はダメだった」とかも・・・“私は”って言えばいいのかもしれないけど、やっぱりちょっとガッカリするじゃない? もし自分が言われてもガッカリするからさ。それを本番中の役者さんには、あんまり言えないなと思って。
本多:リエさん、いろんな舞台に出てるじゃないですか。演出家によって求められるものって違うと思うんですけど・・・僕のイメージとしては、他のところに出るときと、自分の劇団でやるときとはまた全然違うと思ってるんですけど、やっぱり違いますか?
峯村:いやそれはもちろん、違うでしょう。
本多:他でやる時は、求められるものが具体的にあるってことなんですかね? イメージがあって、呼ばれるというか。
峯村:そうそう。そのほうが、私は楽っちゃ、楽なんだけどね。「こういうのを求められてるんだな」っていうのが分かるけど、自分たちのところでやる時は、同じことやっててもダメだろうしな、とか。自分で新しい方向とか、探んなきゃいけないっていう部分が、大変は大変。でも、他の役者さんに対しては、自分たちの劇団のほうが、もちろん楽なんだけど。
本多:関係性出来上がってますしね。
峯村:そうそう。こう言ったら、こう返してくれるっていうのが分かってるし。
本多:でも逆に言えば、今まで全然やったことない、しかも今まで生きてきたところも、演劇環境も違う人とやったら、カルチャーショックみたいなのも、あるじゃないですか。
峯村:うん、あるある。
本多:でもそっか。劇団のほうが自分の新たなものを、模索しないといけないか。
峯村:うん。だってずーっと同じことを、同じ劇団でやってたって、お客さんだって「またか」って思うし、演出家だってそのうち・・・飽きるだろうなって思う。ケラさんだってもう、ぜったい飽きてるだろうと思うし。
本多:ええー。
峯村:だから、いかに飽きさせないようにするかっていうのを、こっちも考えないと。かわいそうだもん。台本を書くのが。
本多:そうですよねぇ。僕らが、去年やった舞台がもう11年目になる時で、そのとき上田くんが言ってたのが「恋人でも11年付き合ったら、倦怠期になるから、やっぱそこで何か工夫をしないと、長続きしない」って。
峯村:うん、そう思うよ。
本多:それでみんな、なんか頑張ろうと思ったんですけど、なかなか難しくて。新しいものを1個も出せないまま、その公演は終わったんですけど(笑)。
峯村:でも別にね、その「ヤバいな」っていう思いがあるだけでも、いいんじゃない? 何にも考えないでずーっと同じことをやってるのとは、違うからね、まったく。
本多:ああー。でも新しいことをやろうと思ったら、自分の型、というかベースみたいなものを、自分でちゃんと自覚しないとダメじゃないですか。それってどうやったらいいんですかね?自分が出たものを見るとか、そういうことで確認するんですかね。
峯村:分かんないもんね、自分じゃね。それこそ、周りのひとに言ってもらわないと、分かんなかったりするよね。難しいね。でも、なんとなく・・・作りかたとして、ぜったい楽なほうに自分は作っちゃうと思うから、1回楽じゃないほうに行ってみる、みたいな。
本多:ああー、なるほどね! そういう。
峯村:それで、大失敗かもしれないけど。稽古中にね、それをやってみて。
本多:そうか。稽古は何回失敗しても、いいですもんね。
峯村:これ今、先輩っぽいね。演劇のね。
本多:先輩っぽいですよ!
峯村:やるぅ。
本多:(笑)。
本多:だって僕、覚えてないかもしれないですけど、一緒にやってた舞台「Fabrica」で、初日の前日の夜にもうどうしていいか分からなくなって、電話したんですよ。覚えてないですか?
峯村:ぜんぜん!
本多:覚えてないですか(笑)? 「どうしたらいいですかね」みたいなことを電話したんですよ。「分かんなくなんったんです」って言って・・・リエさんが何て言ってくれたかは、あんまり覚えてないんですけど。
峯村:なんだよ!
本多:いやでも、それでちゃんと寝れたから、たぶんいいこと言ってくれたと思うんですけど。「今までやってきたことを信じて、やるしかないんじゃない?」みたいな。
峯村:いいこと言う〜。
本多:2年前のリエさん、いいこと言ってましたよ。今日もいいこと言ってますけど(笑)。
峯村:たぶん本ちゃんは、言ったことで安心したんだと思う。
本多:ああー。そういうのありますよね。悩んでる人ってね。
峯村:だから、どんな返しをしてもいいんだよね、きっと。
本多:いやでも、そのときは違います。
峯村:ほんと? でも、えー・・・ぜんぜん覚えてない。
本多:まあ、だいぶ前ですもんね。そのあといっぱい舞台やってるし。
峯村:でも、色々覚えてるなあ、Fabrica。悩んだからなぁ、やっぱり。
本多:リエさんが?
峯村:そうそう。役柄が、デリケートな役だったから。きっと女の人が見て・・・ねぇ。簡単に表面でやっちゃってもなぁって思って。
本多:なんかそういう、いろいろ役について考えたりするじゃないですか。それって、考える時間っていうのが舞台の外であるわけで、舞台上でその考えたことを思い出したりは、しないですか? 例えば台本を読んでて「このセリフは、こういうことで、こうなってるな」って自分でなんか、納得するときってあるじゃないですか。でもそれをいざやってる時って、舞台とか、練習とかで。そこまで考えないじゃないですか。それって考えない・・・ですよね? ・・・なんて言うんやろ。
峯村:ん?
本多:えっと、家で台本を読んでて・・・。
峯村:あ「このセリフは、こういうことで、こういう風に言ってるんだろうなぁ」と思う。
本多:はい。でもそれで、納得していざ本当にそのセリフを言うときっていうのは、そこまで考えてますか?
峯村:考えてないよ。
本多:そうですよね。それって普段もそうですもんね。バックボーンはあるやろうけど。言ったことって、突発的に出たりするから。
峯村:うん。
本多:あ、だからさっき言ってた「自分の中に、1回通る」みたいなことが・・・。
峯村:そうそうそう!
本多:だから、必要なんですね。
峯村:そうなのよ。それって、ぜったい大きいと思う。よく私たちも芝居のことで話してて「この人たちはちょっとこの人のことが、気になってるのかもしれない、みたいな関係があるけど、あえてそれは出さなくていいよね」みたいな。
本多:はい、はい。
峯村:そういうことが、あるっていうことが分かってるうえで、無意識ににやればいいと思う。だから、1回通れば、ぜんぜん違うと思うの。それが全くないのと、ちょっとでも、1ミリくらいでもあるのとでは全然違うと思うんだよね。
本多:そうですよね。
本多:で、たぶんそういうことを考えてたりするのも、楽しい・・・楽しいというか。セリフを言うだけって、そんなに楽しくないじゃないですか。
峯村:うん、うん。
本多:でも、台本を読んで役について考えたりして、間違ってるかも分からないですけど、分かった感じになったりして。まあ、それが表現として表れてるかは分かんないですけど、そういうのがあるから楽しいのかな、って。
峯村:ああー、そうだよね!
本多:でも逆に、やってる人とそういう話しになって「そうそう!」ってなりすぎると、分かった気になりすぎて・・・。
峯村:そうなの。なんかそれでしかやっちゃいけないような、狭められちゃうような感じがさ。やっていくうちに「あれ、もしかしてこれって・・・?」っていうこともあるじゃない?
本多:はい。
峯村:「あ、ちょっとこういうのもあるのかも、しれないな」とかさ。本番中でもさ、やりながら発見したりもするから。
本多:うんうん。
峯村:なんかあんまり、「そうだよね、そう思ってるからだよね!」みたいなことを決めちゃうと、狭くなっちゃう気がするのよね。
本多:決めごとになると、厳しい。
峯村:そうすると、なんか・・・こう言うと怒られちゃうかもしれないけど“お芝居”になっちゃう気がする。
本多:あー、ありますよね。とりあえず、発見できる状態みたいな、そんな状態でいれるのがいいですもんね。
峯村:そうそう、そうだよ。
本多:よくないかも知れないけど、そのときの体調とかも違ったりするし。相手も毎日同じ声の大きさとか同じ間で言うか、分からないし。
峯村:うん、うん。
本多:それに対してちゃんとやれてるような時が、楽しかったりかったりしますもんねぇ。もしかしたら、やれた気になってるだけかも分からないけど。
本多:リエさんは、どういう時が楽しいですか?
峯村:やっぱね、舞台にいるあいだに、生っぽく会話できてるなぁっていう時がすっごい楽しい。
本多:それは、アドリブで生っぽくっていうわけではなくて、元々あるセリフで生っぽくっていうことですか?
峯村:うん。
本多:それ、楽しいですよね!
峯村:楽しーい! だからさ、Fabricaで本ちゃんが私に向かって、すごい嫌なことを言うシーンあったじゃん。あのシーンがすごい楽しかったもん。
本多:ね。唯一いっしょにやるシーンがあったんですけど、ね。
峯村:なんか、目が本気だったもん。
本多:(笑)。・・・そんな。本気じゃないです。いや、本気です。そっか、その役では本気です。
峯村:ね?
本多:でもなんで、楽しいんですかね。これって、今は生で喋ってるわけじゃないですか。
峯村:そう、ふだん生で喋ってるときよりも、楽しいよね! 舞台の上で生っぽく喋ってるときのほうがね!
本多:それって、本番じゃなくても、稽古でも楽しいでしょ?
峯村:そうそう!
本多:なんでなんですかね。
峯村:ね。
本多:なんでなんですか。教えてくださいよ。
峯村:(本多の言葉を遮って)知らないよ!
本多:(笑)!!
峯村:30歳なんだから、自分で考えなさいよ!
本多:せんぱい・・・。
峯村:30歳でしょう、もう!
本多:はい、30歳ですけど(笑)。
本多:でも「この人とお芝居をできてる」っていう楽しさもあったりするんですよね。なんか、他のところに出てる時に「今の感じやったら、君は相手が誰でも同じように(演技を)やるんじゃない?」って言われて。「それでは、自分で考えてきたことをやってるだけやから。もっと相手を感じないと」って。
峯村:ああー。
本多:女の人が相手やったんですけど、演出家の人は男の人で「俺が相手でも、きっと一緒やで」って言われて。5年くらい前なんですけど、それがすごい残ってて。だから、ハッってなるときが、たまにあるんですよ。舞台でも、映像でもなんでも。特に劇団以外のときって、ほんとにその1回しか一緒にやらなかったりする可能性があるじゃないですか。劇団やったら、この先いっぱいあるけど。そう考えたら、今この人と一緒にお芝居をやれてるっていう状況がまず、楽しいというか、素敵なことで、出会いであるし、とか思ったら、もっと相手のことを見ないとなーとか思ったり。
峯村:あー、そうなんだ。そんなの思ったことない。
本多:え(笑)。そうですか?
峯村:うん。でも言われた。このあいだ、木野花さんが芝居を見に来てくれて「また木野さんとも、ご一緒させてもらいたいです」って言ってたら、「この演劇界の中で、一緒にやるってことは、稀なことだと思うのよ。だから、1回やったときを大事にしないとダメだね」って。
本多:わ、同じようなことを。
峯村:言ってた。でも、まったく思ったこともなかった。
本多:へえー。
峯村:でも、そうなんだねぇー。
本多:なんか、そういう大きな出会いみたいなのなかったですか? 演出家も、いろんな演出家の方ともやってるじゃないですか? 役者の人も。
峯村:あー。あったあった。THE SHAMPOO HATの赤堀くん・・・「THE SHAMPOO HAT」「グリング」っていう劇団はすごい宝物だな。自分の芝居の中でも。
本多:前にリエさんが「グリングに出させてもらったときに、そのシーンが始まる前のをエチュードみたいなのをやった」って言ってたじゃないですか。それを踏まえてやるのは、また感じが違うやろなぁって思ったんですけど。
峯村:そうそう。面白かったぁ。
本多:どう違ったんですか? 何が、面白かったですか?
峯村:だからやっぱり、しつこいようだけど“1回通る”ってことじゃない?
本多:ああー。
峯村:で、そのエチュードって、橋口監督の『ぐるりのこと』の撮影前に稽古期間が1週間くらいあったんだけど、そこでも同じようなエチュードをやったのね。まあでもあの2人って、友達なのか。
野中:そうですね。仲いいですね。
本多:え、橋口監督と?
峯村:橋口監督と、グリングの青木さんが、お友達なんだけど。
本多:へえー。
峯村:私と、木村多江さんの最初のシーンのセリフの“前”の会話をやって下さいって、永遠にやらされて。
本多:えー! それは、台本もなく?
峯村:なく。しかも、長いの、エチュードが。最初の何十分とかは計算して、面白くしようとか思うじゃない? でも、疲れてくるとそれもなく。
本多:繰り返すんじゃなくて、何十分もやるんですか?
峯村:そう。「ハイ!(終わり)」って言わないの。だから、ちょっとシーンとしちゃう時もあるし、シーンとするから、もう「ハイッ!」ってカットになるかなぁと思うけど、言わないのね。だから、またなんかちょっと話しはじめたりして。
本多:へえー!
峯村:いじわるなんだよね、基本。青木さんも、橋口監督も。演出家なんてね、みんないじわるだもんね(笑)。
本多:(笑)。
峯村:でも、いじわるな感じで、お芝居をちゃんと分かってるなって思うから尊敬できるんだけど・・・まあ私のね、好きなタイプのお芝居をやらせてくれるなっていう感じだから。ただ、いじわるなだけっていうのは「なんだよ」って思うんだけどね(笑)。あと、ヘンに優しい演出家も、やだ。
本多:“優しい演出家”って、たとえばどういうことですか?
峯村:なんか、役者さんに気を使っちゃう。役者さんが好き勝手やれる現場っていうのは、あんまり好きじゃないの。なんか、演出家の人の世界がちゃんとあって、それの中で遊ばせてくれるのは好きなんだけど、なんか役者が勝手にその世界を作っていくっていうのがあんまり、好きじゃなくて。
本多:ああー。はい、はい。それは何でもそうですか? 映像でも舞台でも。
峯村:うーん、映像ではあんまり・・・。あ、『絶対彼氏』っていうドラマで、監督さんが好き勝手やらせてくれたんだけど、あまりやりすぎると「それは、いらないです」って言われるのは心地よくて、いろんなことができた。あんまり放り投げられると、かえってできない感じがしちゃう。
本多:あー。僕も、映像で「この現場は好き勝手していいですから」って言われて、でも「好き勝手」って何していいか分からんし、そっちのほうがむしろ・・・。
峯村:でしょ? 何もできなくなっちゃうでしょ?
本多:うん。何もできなくなっちゃう。
峯村:でも私が好きだった「好き勝手やって下さい」っていうのは、私が「じゃあもう、分かんないけど、こっち?」ってやると「いや、違いますよ」って言ってくれて、「じゃあ、こっち?」ってやると「それはオッケー」ってやってくれるから、だんだん「こっちの方向なんだな」っていうのが分かってくるから、よかった。
本多:それはアドリブというか、台本以外のこともやったりするっていうことですか?
峯村:そうそう。
本多:はあー。結構そういうのって、やるほうですか?
峯村:うん・・・別にこれはやらなくていいなっていう時は、まったくやらないけど。こんなんじゃ、誰がやったって一緒じゃんって思う時は「怒られてもいいや」って思ってちょっとやっちゃったりする(笑)。
本多:それって、ぜんぜん違うことを言う、とかもあれば、語尾を変えるっていうのもあるじゃないですか。
峯村:ああー。ぜんぜん違うことも言っちゃう。でもそれは、リハーサルからやるけどね。本番で突然とかは、さすがに失礼だからやらないけどね。
本多:リハーサルでやって、止められる時もある?
峯村:いや、空気がヤバいなって思うとちょっと戻したりとか(笑)。
本多:(笑)。そっか、いろんなとこ見ないとね。
峯村:「違うんだな」って思うと「今のは、やっただけでーす」みたいな空気を出して(笑)。
本多:うわ(笑)。
峯村:まあ分かんないけど、楽しくやれたらいいなぁと思うからね。自分がね。
本多:やっぱ、楽しそうにしてる人が一番見てて素敵ですもんね。
峯村:ねー。そうそう。舞台とか見てても、役が小さいとか大きいとか関係なくて、どんなに役が小さくてもすごい楽しそうにやってると、すごい目を引くんだよね。
本多:うん、引く。何なんですかね。やっぱ、スポーツ選手とかでも、楽しいとはまた違うかも分からないですけど、精一杯、むっちゃやって・・・たとえばサッカー見てて、ロナウジーニョが、むっちゃ楽しそうにプレーしてて、見るのが楽しみだったりしますもんね。・・・あ、全然どうでもいい話でしたね。
峯村:いやでも、そうだと思うの。
本多:じゃあ、楽しくするための努力をするっていうことなんかな。
峯村:うーん。
本多:楽しくないときだって、あるじゃないですか。
峯村:ある、ある。
本多:そういう時、どうするんですか?
峯村:できない。楽しく、できない(笑)。
本多:割りきる? 楽しくなくていいや、って?
峯村:うん。頑張って楽しくしてもねぇ。
本多:どういう時が楽しいですか? お芝居をやってて。
峯村:・・・だからぁ。さっきも言ったけどぉ。
本多:あ、さっきも言った!?
峯村:役者さんとぉ、会話みたいなことをやってるときが楽しいです(苦笑)!
本多:そうや、言った!! うわあー! 聞いた・・・同じこと聞いてしまった。
峯村:コーヒー酎のせいじゃない(笑)?
本多:恐るべし、コーヒー酎。
峯村:でもすごいね、あっという間だね、4杯なんてね。
本多:そう。そろそろ4杯目。
本多:じゃあ、次は何飲みます?
峯村:次は、説教と暴力のみだよ(笑)。
本多:いやいや(笑)。
峯村:もうちょっと、待ってもらってもいい?
本多:はい・・・(すぐに)はい、待ちました。
峯村:はあ〜!?
本多:怒られる(笑)。
峯村:スズナリとかでは、やらないの?
本多:何回か、やらしてもらいましたけど。
峯村:あ、ほんと!?
本多:Fabricaの前に、2回くらい。
峯村:どうだった? スズナリ。
本多:すごい、楽しかったです。
峯村:スズナリ、いいよねぇ。
本多:はい。だって、憧れでしたから。ほんとに。ヨーロッパに中川さんっていう人がいるんですけど、昔メンバーになる前に客演で出てもらってたんですけど、当時は京都だけで、ほんとに小さいとこでやってて。それで、客演が終わって離れ離れになるときに「じゃあ、今度会うときはスズナリで!」みたいなことを言ってたんです。まあその当時はギャグですよね。例えばミュージシャンが「武道館で!」みたいなことを言う感じで。
峯村:ああー、うんうん。
本多:っていうのを言ってたら、ほんとにスズナリで一緒に公演したから、ちょっと感慨深かったり、テンション上がったりしました。スズナリはすごい、ほんとに。
峯村:ねぇ! 私もほんとに、すごいスズナリはずっとやりたいなぁと思ってて。
本多:でも、もう長らくやってないんじゃないですか?
峯村:長らく。でも他の劇団とか、グリングとかTHE SHAMPOO HATとかで出させてもらったときもスズナリで。スズナリ、いいよー。
本多:好きですか?
峯村:大好き。雨が降ってくると、すごいんだよね。音が聞こえてね。
本多:ああー(笑)。
峯村:楽屋もいいよね。女子が並んでメイクしてると、なんか“ストリップ小屋のストリッパーたち”みたいな感じになってくるの、だんだん。ちょっと、窓を開けて外を見たりして。いいわぁ。なんか「ザ・芝居」て感じだよね。
本多:ね。いいですよねー。本多劇場もいいんでしょう?
峯村:本多劇場、いいー!
本多:僕ら、今度初めて本多劇場で、夏にやらせてもらえるんです。
峯村:ヨーロッパで? あらー! すごいねー! 夏? 何月?
本多:8月かな、たぶん。
峯村:よく「私たち6月だよ」「あ、私たちは7月ー」とかで、「じゃあ、私たちの次だねー」とかになったら、楽屋とかに何か置いていってあげるの。前も、女子楽屋に時計がなかったから、時計を置いていってくれたりとか。楽屋に、手紙を置いていったりとか。
本多:ええ! いいですねー!
峯村:でも、8月か。私たちのあいだに2個くらい入っちゃうね。じゃあ、ぜんぜんだめだね。
本多:ね。でも、素敵ですねぇそういうの。
本多:本多劇場って、見るとすごい見やすいじゃないですか。
峯村:やっても、いいよー。
本多:へぇー! 1回だけ「E-1グランプリ」っていうのに昔出た時に、やったことあるんですよ、本多劇場で。15分くらいの短編を。そのとき、それまでは小さいところでしかやったことなかったから、もっと大きい声出したほうがいいんかなぁとか言ってたんですけど。
峯村:でもちゃーんと通るんだよね、声がね。すごいよね。
本多:そうなんですよね。じゃあそろそろ4杯目を。何飲みます?
峯村:じゃあ、同じの下さーい。
本多:僕も同じので。