[ヨーロッパスタジオ]>[本多、すべてのバーで]


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二人:はーい。

    (乾杯)

本多:ん! ロックて、とたんにキツいすねぇ。ソーダ割りやったから……。僕、もう、日常知りたいですよ。どんな日常を?
辻村:いや、もう忙しいときはアレっすけど。さっき「毎日やることあって」って、言ってたじゃないっすか。それがなんか、逆に「いいなあ」と。
本多:え、でも練習とか、毎日するんでしょう? やっぱ。
辻村:弾くっすけど。弾くし、なんか曲は……曲は、っていうか、ネタみたいなんは溜めようと。地味に、真面目になんか、やるんすけど。
本多:……なんかね、この前初めて、オムニバスのお芝居を、三人芝居をやったんですけど。そのうちの一本を永野さんっていう人と、あと最終、上田くんにまとめてもらったんですけど、初めて書いたんですよ。20分くらいの芝居を。
辻村:ほう。脚本っすか?
本多:はい。で、やっぱその、書いてるときの状態がすごい、なんていうんですかね。イスじゃ書けなかったり。畳に座ってるから書けたり、みたいな。曲も、そのときの……。ないっすか、そんなん。「こういうときが一番、曲ができる」みたいな。
辻村: あるのはあるっすけど。だいたい夕方とか夜明けとかが多いっすかねえ。でも飲んでるときが多い気がします。
本多:ああー。
辻村:だらしないッス。
本多:「だらしよく」しようと思わないんですか?
辻村:「だらしよく」したいッス。
本多:できない?
辻村:できない……(笑)。
本多:子供じゃないっすか(笑)。でも、僕も、だらしないんで。朝、ちゃんと起きるようにしました。
辻村:朝、俺も起きてるっすよ。
本多:何時に起きます?
辻村:10時……半から、11時のあいだ。
本多:あぁー。僕、9時半から10時のあいだには、起きてます。
辻村:まあ、1時間の。
本多:1時間でもだいぶ(笑)。ちがうでしょ。
辻村:だいぶ違うっすね。寝るの、何時くらいっすか?
本多:寝るのは、でも、2時とかですかね。寝るの何時くらいっすか?
辻村:3時くらい。
本多:ちょうど。ちょうどいい差が。






本多:ご飯とか、作ったりするんですか? 自分で。
辻村:ご飯、前はよく作ってたですけどね。
本多:僕、1回パスタごちそうになって。そうとうウマかったです、あれ。
辻村:それ、バーで作ってたから。ウマいやつは、ウマいっす。
本多:あぁ! えー。散歩とか、してないっすか?
辻村:散歩、するっす。歩くのは、よく歩くっす。
本多:僕、歩きながらセリフの練習したりするんですよ、やっぱ。
辻村:ああーそうなんや。その、練習とかって、役者の人ってどういう、どこで練習すんのかな、と思って。
本多:まあ、「稽古場でみんなで」は、やるじゃないですか? それってたぶん、ミュージシャンの方が、「スタジオで、みんなで合わせる」みたいな。でも、家帰って、ふとんの中でセリフ覚えたりとかっていうのはありますけど。あとやっぱ、歩いてたら、いろんなイメージが湧きやすいっていうか。
辻村:へぇー。
本多:なんか、ブツブツ喋ってて「あ、こここうしよう」とか。
辻村:え、それは、もう次やるやつを練習してるの?
本多:そうですねぇ。
辻村:へぇ。日々のトレーニングみたいなんて、あるの?
本多:日々のトレーニングはやっぱ、体が年とともに動かなくなってきたから、走ったりとか。
辻村:お! してるんや。
本多:最近。でも、1週間くらい走ってないですけど。
辻村:え? 
本多:なんか、1週間くらい走って、1週間くらい、休み。
辻村:まぁ、ね。筋肉がね。休めないと。
本多:超回復。ストレッチとか。




辻村:でも、「スキルを上げる」みたいなんも、あるやん? ぜったい。
本多:ねぇ、でも、どうやったら……? 具体的に。たとえばね、スポーツ選手やったら筋トレやって。一概にそれだけじゃないと思うんですけど。まあ言ったら、「筋トレやって、筋力アップ」って、目にみえるじゃないっすか。でも、お芝居とかって、何やっていいか、分かんないっすよね。なんかやってます? そういう。
辻村:いや、うーん。
本多:「これは、俺はやっている」みたいな。胸をはって言えるような。
辻村:ないっす。トレーニング的なことやろ? ないない。
本多:でも、あるんですか? こういうトレーニング的なことは。
辻村:発声、というか、ボイストレーニング通ってる人とかはいるけど。そういうのはなんか、行ったことないから。「体験コース」みたいなんとかは、1回行ったことあるけど。
本多:あるんすか(笑)。体験コース。
辻村:まあ、京都にいたときに、なんですけど。だから、なんかぜんぜん、そういう「トレーニング的に毎日、日課で何かやる」のは……(ない)。
本多:「1日1個、歌詞を書く」とか、なんか自分に課して、曲を作る、とか。……まぁでも、そんなんで、いいのできないですよねぇ
辻村:いや、でも、そういう人は、いはるよ。
本多:ええー!
辻村:いはる、らしいんですよ。本とか読んでると。
本多:僕も、本で知ったんですけど、俳優の人で、「とにかくお芝居を観る」とか「映画を観る」とかいう人がいて。映画とかでも、「俳優」を見たりするらしいんですけど。で、そういうの真似してみようと思ったんですけど。けっきょく、面白い映画とかやったら、どんどんストーリーに引き込まれていって。なんかそういう「勉強」とか、具体的にあんま、できてないですねぇ。
辻村:うーん、ね。「そういうのって、どうなんやろうな」とか、最近考えたりとか、する。
本多:「やらなアカンのかな」ってことですか? 
辻村:いや、そういうのとか。「なんかトレーニング的な、毎日できることとか、あったらいいのになー」とか。でも、「腹式呼吸を練習する」とか、そういうのは別に……。
本多:ねぇ。やればいいっすね(笑)。
辻村:なんか、やってなかったっけ? (DVD映像の)特典とかで。「声を届かす練習」とか。
本多:やってたかも! そういうの。永野さんが、すごいそういう、ボイストレーニングとか行ったりしてるから。行けばいいんですけどね。永野さんに、けっきょく教えてもらってるから。
辻村:でも、教えてくれる人がいるなら、いいっすね。
本多:でも、やんないっすね。ひとりになったら。なんか、いっつも、声枯れたら「ちゃんとやろう」とか、すごい思うんですけど。けっきょく普通の日常になったら、やんない。
辻村:なんか、そういうのって……難しいですよね。






辻村:僕このまえフジロック行ってて、ライブやったんすけど。まあ、いつもお願いしてるPAさんがいてて、PAさん、けっこう厳しいんですけど。ライブ自体はすごい楽しかったし、自分ら的には「今あるものを、ぜんぶ出せたな」みたいな感じやったんですけど。終わったあとにPAさんが、何て言ったけな、歌を、なんか……「もっと先があるんちゃうかな」みたいなことを、言ってて。
本多:歌、唄うってこと?
辻村:うん。「唄った瞬間から引き込める、みたいな、そういう風になれたらいいのにね」みたいな、ことを言ってて。「なれたらいいのにね」って言われても、持って生まれたもんとかもあるから……。でも、なんか分かんないっすけど、「努力すればなんか変わんのかなー」って。
本多:声、なんですかね。それって。
辻村:声、だけじゃないんじゃないですかね。分かんないですけど。でも、ホンマにそういう人いますよね。
本多:います!
辻村:いるよね。一声目から「うわぁ」みたいな。役者さんとかでも、いはりますよね? 「なんて、説得力ある声で、セリフ喋るんやろう」みたいな。
本多:あー、いますいます!
辻村:でもそれは、なんか分かんないっすけど、努力でどうなるもんじゃ、ないかもしれんけど。
本多:でも僕、ぜんぜん違うこと言ってるかもしれないですけど、アルバム『magic hour』の「マジックアワー」の出だしは、何回聴いても、持っていかれる感じですけどね。
辻村:あ、1曲目ですか?
本多:はい。なんていうか、別世界……別世界っておおげさですね、そんなん。なんつーんですかね。……なんつーんすか。
辻村:あ、でもあれ、むっちゃ頑張ったっすよ。出だしは。出だし、すごい頑張った。
本多:だから、僕、前も言いましたけど、アルバムとかって、1曲目からずっと聴くってのが、あんまないんですけど。
辻村:あ、好きな曲だけ聴く?
本多:うん。でも、1曲目から聴いてしまいますもんね、これは。
辻村:ホントっすか。
本多:はい。すごいっすよね。
辻村:でもそれは、ハモってるっていうのが。だから、たぶん「兄弟」じゃないとできないっす。そこがウリ、みたいな。
本多:なんで、そこに持っていく(笑)。
辻村:いやいや、ホンマにでも、そういうとこは、あるっすね。キセルは。弱みでもあると、思うんですけど。どっちか死んだら、もうアレやろなって。終わり。
本多:終わるんすか。でもこの前ソロライブ、ひさしぶりにやってはりましたよね? どうだったですか? ぜんぜん違います? やっぱ。心細くは、ない?
辻村:ぜんぜん違うっすね。うん。心細いとかは、ないっすけどね。
本多:じゃあ、もし友晴さん、80歳くらいでもし亡くなっても、ひとりで、じゃあ。
辻村:ああ、ひとりで? でもひとりでも、やるのはやると思うっすけどね。でも、どういうんやろな。それは、できひんことじゃないっすか。サムいけど、弟がいるから、まあできる。
本多:あ、そっか。「キセル」は。ぜんぜんサムくないっすよ、そんなん。……僕、1回「これ、ふたりホンマに喧嘩してるのじゃないかな」って、ライブ中に思ったことあるんですよ。
辻村:いや、ホンマに喧嘩してるときもある(笑)。ホンマにむかつくときとかも、しょっちゅう。
本多:あ、あるんですか? へぇー。やっぱ、ずっとやってくわけですよねぇ。キセルで。
辻村:できたらいいですけど。
本多:やってってください。
辻村:はい(笑)。がんばります。




本多:あ、役者、やられたでしょ?
辻村:はい。1回だけやりました。
本多:どうやったんですか? それ聞きたかったんですよ。その経験を。
辻村:経験。ええーどうやったんかな。
本多:ミュージシャンの人で、役者やられる方、けっこう、いるじゃないですか。
辻村:ああ、はい。いるっす。
本多:「またやりたい」とかは。
辻村:ないっすね。
本多:あ、ないっすか。
辻村:いっさい、ないっす。
本多:いっさい(笑)。ないっすか。
辻村:なんか、あの、セリフ合わせのときから、ぜったい……ムリ。なんやろ、なんか。なんすかね。
本多:でも、言ったら音楽だって、ギターの人と、歌の人と、ベースの人とかのセッションじゃないですか。で、演技も、言ったら僕とタケフミさんが喋る……「セッション」て言ったらアレやけど。まあ、日常で喋ることやし、ぜんぜん。どっちかと言うと、誰でも演技なんかできるじゃないですか。
辻村:うん。誰でもできんのかな。でも、ほんまに「素」でいい、みたいなんがあるんやったら、できるんやと思うんですけど。そういうことじゃないでしょ? それやったら演技じゃないから。
本多:ああー、そっか。ほかの人が書いた言葉で。
辻村:「書いた言葉」とかじゃなくて、「役割」みたいなとか。そういうのは、ムリ。できない。
本多:できない。じゃ、もう役者はやらない。
辻村:やんないっす。とんでもないっす。
本多:あら。めっちゃ見たかったです。
辻村:ほんまに思ってるんですか?
本多:思ってますよ! なんで、そんな。じゃあまた、曲を聴かせてください。アルバム、待ってます。
辻村:はい。
本多:なんか、湿っぽい感じで終わって(笑)。すいません。
辻村:ふふ。なんで。
本多:また、ライブ行かせてください。ヨーロッパ企画も観に来てくださいね。
辻村:来るとき連絡、くださいね。してね。
本多:はい。じゃあ、今日はどうも、ありがとうございました。
辻村:どうもありがとうございました。

(8月上旬、収録)



―収録を終えて―
バーの人がお客さんとピクニック行った話は僕の中でのバーに対するハードルが下がったので聞けて良かったです。
でもまたしても酒にのまれてしまった感があり、もうちょっと聞きたいことあったのにと後悔が二日酔いと共に押し寄せてきました。チャンスがあれば弟の友晴さんにもこの企画に登場していただいてまた違った視点のキセルを聞かせてほしいです。
(本多力)