[ヨーロッパスタジオ]>[本多、すべてのバーで]


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本多:じゃ、3杯目。
2人:かんぱーい。
工藤:まだ3杯目ー。
本多:そうですよー。
工藤:おいしー、これ。
本多:おいしい? あっ、こっちもおいしい。「カンナビア」もおいしい。
工藤:どこのビールなんですか? カンナビアは。
店員:カンナビアは・・・。
店員:どこでしょう・・・(少し調べて)あ、ドイツ。ドイツビール、ありました。
本多:カンナビアは、ドイツ。工藤さん、飲んだことあるんですか?
工藤:ないないない。なんかね、めちゃめちゃあるからね、種類が。成田(空港)に戻ってきて、「一番搾り」をジョッキで飲んだときも・・・(笑)。成田に戻ってきても、やっぱビールだったんです。
本多:成田でも(笑)。飲まんかったらいいじゃないですか、なんで。・・・いやもう、そんな話はねぇ。いま僕、ものすごく興味があるのは、興味っていうか、もう、震えてるんですけど。えっ、じゃあもう何? あのとき、スタッフの人みんな「なんだ、こいつ」ってなってたってこと?
工藤:そうです。
本多:(笑)・・・こわ! まじで! へー! ぜんぜん知らなかったです。
工藤:ほんとですか。
本多:(しばし沈黙。噛みしめるように)・・・えぇー。
工藤:「なんだ、こいつ」っていう、厳しい視点ではなくて、やっぱ、みんな真剣にやってるから、もっと真剣になってほしいっていうか。
本多:でも、僕、そうとう真剣でしたよ。
工藤:だけど「まだまだ、いけるだろう」みたいな。
本多:ああー。
工藤:で、私とおなじくらい・・・、主演俳優だから、もっとがんばれるだろう、っていう確信があったんですよ。私には。で、それをみんなに伝えて「ちょっと、しめていこう」って。
本多:「本多しめていこう」って(笑)?
工藤:(笑)。そういうの、あったんですよ。本多くんは、すごい好きな劇団の、すごい人で。最初シナリオ読んだとき、「本多くんがいい」ってみんなにすすめられてたんですよ。前に、渋谷の駅で偶然会ったじゃないですか?
本多:うん、なんか会いましたね。
工藤:その、次の日だったんですよ、「本多くんがいいんちゃう?」って言われたのが。でも、「本多くんはちょっと雲の上の人すぎるなー」って思ってて。でも、実際人と人として接してみるとやっぱりまだお互い、足りないところがあるんじゃないかって。




本多:あのー。撮影中、僕、工藤さんにすごい言われてたじゃないですか。僕とあと「二子」っていう役の女優の方と、もうひとり、エマーソン北村さんっていうミュージシャンの方が出てるんですけど、その二子が「工藤さん女性やし、工藤さんはすごい感覚的やから、たぶん本多さんは、工藤さんの言ってる意味が分かってないんじゃない?」みたいな。だから「こういうことを言ってるんじゃない?」みたいなことをすごい言ってくれて。それで、「あ、そういうことなんかな」と思ったりとか。なんかね、すごい助けられたんですけど。
工藤:あっ、私の演出不足(笑)。
本多:いや、違う違うそんなことじゃなくてー(笑)。なんやろ・・・その、「編集でカットなんですね」なんて自分が言ったことに対して・・・。
工藤:いやでも、たぶんひっくるめると、お互い一緒に成長したんじゃないですかね?
本多:あっ、まじで。そんな。
工藤:私はたぶん、「イラッ!」ってして、あのとき。
本多:でも、僕の印象では、もう初日くらいから、追い詰められてた感じはあったんですけど。
工藤:そうですね。
本多:けっこう撮影前に飲んだりしたことあったじゃないですか? そのときと、撮影のときの工藤さんっていうのは、ちょっとやっぱ違いましたね。
工藤:そうですね。あきらかに、気がくるってると思うの。
本多:気が・・・(笑)。まあ、気がくるってるとは思わないけど。
工藤:違うんですよ。それは、自分だけの力じゃなくて、まわりにいるみんなの力を召喚している状態だから。まったくブレない状態なんですよ。だからここでもう「イラッ」としちゃったら、それはもう、私の問題じゃないんですよ。映画自体の問題なんですよ。私はただの船長に過ぎないから。
本多:そっか、「映画全部の具現化されてるもの」ってことか。みんなの意思を集めた、総合したものが監督の工藤さんやから。
工藤:そう。それの、舵を握っているのが私っていうのなんで。そういう「イラッ」としたら、私はもう自分で自分を制御できないっていうか。
本多:制御できないの(笑)?
工藤:できない。
本多:なんで?
工藤:なんか、映画が大好きだからだと思う。「だめだ」っていうことを、正確に判断したいっていう、欲望が芽生えるんですよ。冷静に。
本多:それと、「イラッとするのを制御できない」ていうのは?
工藤:ええと、だから「全部が召喚された状態」で「イラッ」としちゃうんじゃないかなって。「もっと良くなるだろう」っていう判断を、自分で・・・。
本多:あっ、だから、個人的な感情ではなくて、映画にとって、もっと良くなるのに、そこまでいけてないっていう・・・。
工藤:そう、「もっと踏み込んでこい」っていう。
本多:「踏み込んでこい」っていうことに対して「イラッ」としたから、ってことか。



工藤:でも、そのくらい高めないと、映画ってできないと思うんですよね、やっぱり。建築だし、想像力だしって、どっちもあるじゃないですか? 1回失敗したら、終わりなんですよ。すべての、1カット1カットで失敗しちゃったら、終わりなんですよね。
本多:そっか・・・。そのへん、演劇と違いますよね。演劇って1ヵ月間練習して、そのあと、じゃないですか。本番って。失敗を重ねて本番にたどりつくけど、映画って一瞬一瞬を切りとる・・・。だから、良くも悪くも。いいのが撮れれば、それでいいけど、悪いのが撮れたら、っていうか・・・。
工藤:(いいのが)撮れなかったら、こっちが責任とらないといけない。
本多:そっか、監督が「OK」って言ったってことですもんね。
工藤:で、今の本多くんだと、私が責任とれなかったんですよ、映画に対して。自分の映画だけど、自分の映画だと思ってないわけ。なんでかっていうと、そういう対象にしてないから。映画は、「憧れの対象」っていうか「尊敬の対象」だから。自分が設計図を書いて、それを操作している人にすぎないっていう新たな考えが生まれるわけですよ。
本多:・・・え、どういうこと?
工藤:だから、「完璧な視線」っていうのを常に持ってるんですよ。映画に対して。自分の欲望だけじゃなくて、全体を見ないといけないんですよ。同時に。自分がダメだったら止めないといけないし。
本多:ああー、そっか、自分も客観的に見ないとダメっていうこと?
工藤:そうなんですよ。だから、完成まで長い間かかったのは、これで、自分はゴールできないっていう、「もっと自分を追いつめろ」みたいな。
本多:ああーそっか、そこで工藤さんは自分を、工藤さん自身を追いつめてたし。撮影のときは僕を追いつめてたし。
工藤:だから、いろいろ失ったりもするんですよ、やっぱ。人間関係とか。
本多:ああ〜。いや僕、まじで逃げようかと思ったときありましたもん。
工藤:でしょ? だけど私にはコントロール不能なんですよ。たとえ本多くんが逃げたとしても、それは友情とかとも関係ないエリアに、神聖なる精神が存在するもので・・・(笑)。ほんとに止められなくなっちゃうんですよ。だから、今まで「いい」って思ってたものが、一気に「ダメだ」って思う瞬間があったりしちゃうんですよ。
本多:え、え? どういうこと?
工藤:反転しちゃったりする。
本多:それはなんか、あるきっかけによって、てこと? え、じゃあ恋愛みたいなもんなんですかね?
工藤:(すぐに)そう、そう。
本多:「そう」て、早! 食い気味で「そう」ってきましたね(笑)。
工藤:たぶん、そうなんだと思う。自分をコントロールできなくなるんですよ、ひとつの目的に向かっちゃうと。
本多:あ、そっか、それは恋愛やったらたぶん愛情ってことやし。その、映画やったら、映画に対する愛情とか。
工藤:で、「フっ」て、さめる瞬間があるんですよ、本多くんに対しても。
本多:あった、ってことですよね?
工藤:「死ね」くらい思う(笑)。
本多:(笑)! ちょっと待ってー。もうー(涙声で)、これ今日会わんかったらよかったわー。そんなんあったんすかー。
工藤:でも、その結果本多くんが食いついて、最後までやってくれて。で、それを見て「いや、私がダメでしょ」って思って、合成とか全部、時間かかったけど、「ここまでよくやったな」って思うよ。
本多:それは、役者の演技を見て「自分もここまでいこう」って思ったってこと?
工藤:そう、そう。
本多:うわ、むちゃくちゃ、いいじゃないですか。まじでー。
工藤:うん。だから、キャッチボールなの。逃げちゃったら終わりなわけ。誰かが逃げちゃったら。




本多:でも、あるとき工藤さんが、なんか、僕のことを褒めてくれたときがあったんですよね?
工藤:だから、そう。「OKだ」って思ったんじゃないですか? 「いいよ」って。やっぱ、それまでは、自分が好きな映画のレベルに達してなかったんですよ。
本多:ああーそっかー。
工藤:私は基本、すごいイケメンの人がそのままカッコよく映ってるよりも、ちょっとこう(笑)、3枚目の人が・・・。
本多:なんで今、笑ったんですか。まあ、いいですけど。
工藤:(笑)。3枚目の人が、かっこよく見える瞬間っていうのが、すごい好きなんですよ。でもそれは本人が本気で傷ついてないと、出ないだろうなって思うんですけど。
本多:それは、出てたんですか?
工藤:出てましたね。あきらかに。
本多:傷つけられたから? 工藤さんに?
工藤:そう。そこまで追いつめたと思うんだよね。
本多:ああー。いや、そうですよ。
工藤:でも、かっこいいって言ってたよ、みんな。
本多:まじで? 
工藤:うん。
本多:ほんとに? むっちゃ上映が楽しみですよ。だって、完成品みたことないですもん、まだ。
工藤:やばいよ、本多くん。たぶんそれから2年、出た映画よりやばい領域にいってると思う。映画の魔力で。
本多:まじで?
工藤:みんな、本多くんがかっこいいって。
本多:今は? 今の僕は?
工藤:「今の僕」よりも。
本多:(笑)!
工藤:ていうか、「三郎くん」に惚れてるから。だから「こんなんじゃ、ダメなの」って思ってたの。
本多:三郎に惚れた。かっこいいなー。本多には? 本多には、惚れなかった?
工藤:そう。
本多:本多には、惚れなかった(笑)。



工藤:本多くんに、今年の2月に会ったじゃん。あのとき、めちゃめちゃ毎日、映画の中の本多くん見てたから。
本多:編集してたときですもんね。
工藤:うん。2月に会ったときに「え? ぜんぜん違う・・・」みたいな。
本多:ちょっともう、そんなんやめて下さいよ(笑)。
工藤:だから、次やってもらうときは、さらに追いつめて・・・。
本多:まじで? 僕もう、ほんとに・・・。
工藤:でも、役者さん冥利につきると思うんですよ、それって。
本多:いやでも、そうですよ。僕ね、日記とかつけてるんですけど、あのときの日記はもう、ほんとに・・・。ふつう、大学ノートの1行に1文字書いてるんですけど、3行に1文字くらい書いてて。「もう。俺はだめだ」みたいなこと書いてましたからね。それくらい、追いつめられてましたよね。
工藤:そう。だけど、やっぱ、私自身も追いつめられてるから、みんな追いつめられちゃうんですよ、やっぱ。効果音つくってるオワリくんとかも、すごい追いつめたし。
本多:ああ、スタッフの。
工藤:そう。で、自分も追いつめたし。でも、それって一番クリエイティブだと思うから。
本多:でも、そうですよね。「追いつめる」っていうのが、やっぱそこまで相手のことを考えてるっていうことも、あるわけですもんね。でも、僕がそれで知りたいのは、さっきも言ったけど、追いつめられて、OKになったじゃないですか? そこが・・・そこの違いって何やったんかなと。
工藤:え、もうなんか「いいじゃん」って思ったの。
本多:それは、工藤さんが撮ってる映画にとって「いいじゃん」って思えるとこまで、僕の意識がいったってこと?
工藤:うん、はっきりいって「うそっぽい」って思った瞬間があったんだよね。工場のシーンのときは。「嘘をつかないほうが、いい」って思って。べつに画面がらはみ出る人なんだったら、はみ出る人で、それでいいと思う。それがその人だから。だけど二子の場合は、はみ出ない。彼女は、不器用な部分の1点だけを出してくる。「私にはこれしかできません」っていう。
本多:そっか、それが誠実やったってこと?
工藤:そう。だから、画面から絶対はみ出さないのでも、彼女の性格だし。でも「私にはこれしかできない」っていうのを全部さらけ出してきたんですよ。「限界点」を。自分のことを、過大評価しないんですよ。完璧だったんですよ。
本多:ずっと言ってるじゃないですか。それ(笑)。僕は「だめ、だめ」って言われて、彼女は「いいね、いいね」って。
工藤:それは、自分の弱さも同時に全部、「私はこれしかできませんよ」っていうラインを・・・。
本多:さらけ出してたんだ。僕はそのへん、「ちょっと逃げて、やってたよ」ってことなんですね?
工藤:そうそう。その違いだと思うんですよね。だから、エピローグのシーンとかでも、画面からはみ出すんですけど、「それも三郎くんっぽいなあ」って。だから、役者さんって・・・監督もそうなんですけど、モノをつくる人って、テクニックじゃなくて、「どう生きてるか」っていう。その人が、普段。
本多:普段の生きかた?
工藤:そう。それが、ぜんぶ反映されるんじゃないかっていう。カメラマンでも、音声でも、どのセクションでも。
本多:もう、スタッフの方も含めて。
工藤:うん。「どう生きてるか」ってことなんじゃないかなって思うんですよ。



本多:でも、そうかも分かんないですね。演劇とか、映画とかみてても、やっぱそういう、生き方が・・・その人の「人間性」っていうの? それが、にじみ出てる作品とか役者の人っていうのが、やっぱいいなーと思って。で、そのにじみ出てるものが、好きか嫌いかっていうのは、まあそこは、好き嫌いやけど、前提として、そういうのがにじみ出てる人がいいんじゃないか、っていう。
工藤:だから、汚くてもいいし、不器用でもいいって思うんですよ。要は逃げないで、どれだけさらけ出してくれるかっていう。「あ、よし」って思ったんですよ。二子の場合は。だって、自分ができないラインを、ぜんぶ出してきたから。最初から。「自分が才能があるって思ってないけど」「こんだけしかできないけど」っていうラインを、すべて出してきたんですよ。それが、ほんとの才能だと思うんだよねー。
本多:その「ぜんぶ自分を出せる」というのが。それに対して僕は、どんなやったんですか?
工藤:本多くんはやっぱり・・・。そうじゃなかったですよね。「小手先も、持ってる」みたいな(笑)。だからあの、引きの動きとかあるじゃん。ああいうの得意なんだよね。派手に動いてっていう。
本多:演劇特有の(笑)。
工藤:「いや、そうじゃなくって」って。「映画の場合は人間を描くもんだから、嘘はバレるよ」って。それを、伝えたかったんですよ。だから、「あんたが日常、毎日朝おきてから晩までどうやって過ごしてるか、全部出るからね」って。
本多:そっかー。ふぁー。
工藤:でも私はそこが演出家だと思うんですよね。「どう生きてるか」っていうのを見る。で、自分も「どう生きてるか」っていうのを頑張るから。自分で足りないことが、分かってる。才能がないことも、分かってる。っていうライン。で、そういう人と、ずっと、映画をつくっていけたらいいなぁって。
本多:ほおー。まじで。・・・こんな話、すればよかったじゃないですか。撮影中に。
工藤:でも、そんときは私ギリギリだったから。自分のできるところも、できないラインも。
本多:あ、そうか。逆にこんな話したら、共通の「そうなんですね」みたいなんができて・・・。
工藤:そう。慣れあいみたいなんは、必要ないんですよ。やっぱ、映画にとっては。
本多:だから、僕はそんときに工藤さんに言われて「なんやねんこいつ」と思ったんですよね。
工藤:でしょ?
本多:じっさい、それがよかったってことですよね?
工藤:そうなんですよ。「私は地位も名声もないけど、私はほんとにやりたいことを、やってんのね」って。「あんたも、よけいなテクニックでごまかさないでよ」って思ったの(笑)。
本多:でも僕、テクニックないですよ(笑)。
工藤:でも、やっぱ、あったよね。そっちに寄っちゃうっていうか。自分が慣れてるほうに、寄っちゃうかんじ?
本多:あ、そっか。それを、テクニックっていうんやったら・・・その、いつもやってることに寄ってった部分も・・・。それってでも、僕は、僕として呼ばれてるから、「普段やってることをやる」ってことなんかなって。
工藤:違う、違う。
本多:もっと、さらけ出せと。
工藤:人間性に、依存してたの。だから、エマーソンさんを呼んだのも、そうですよね、やっぱ。
本多:そっか、役者じゃないですもんね。
工藤:「生き様を見せてくれるでしょ」って思ったんですよ。で、見せてくれたじゃん。彼は。「生き方が出るでしょう?」って。
本多:だからでも、ミュージシャンの人で、役者やられた方って、けっこういい人って、いっぱいいるじゃないですか。それってやっぱり、生き様が出てるからなんでしょうね。
工藤:うん、だから、余計に役者さんを入れるよりも、きちんと生きてる人っていうのは、演技ができるっていう考え方なんだよね、私は。
本多:そっか。「その作品の中で生きる」ってことですもんね。



工藤:あのね、5月2日の試写会イベントの時に、ある監督さんには「シナリオが甘い」って言われたんですけど。でも、ひとついい感想があって。「ここで、この人たちが、生きてるとしか思えない」って言われたんですよ。
本多:へえー。登場人物が?
工藤:そう。すごい、いい感想だと思わない? だから、楽しみにしてて欲しいし。私はうそついてないし、絶対。本多くんも、うそつかないラインを出してきたと思うし。もちろん二子も。私は今回、自分ができる限界で、「その人がそこに生きてるとしか、思えない」ていうラインに、いきたかったんですよ。だから、本多くんは・・・本多くんの普段は、ヨーロッパしか見たことないから知らないけど、それ以上に、「自分自身が生きてる」「そこに存在してるとしか思えない」というラインまで、いってると思う。
本多:まじで。むっちゃ楽しみですよ。11月。
工藤:いや、でも、これからじゃないですかね。評価は。けど、やることは、できたと思う。現場で。・・・関係ないんですよ、はっきりいって。私、映画っていうのは人を描くものだから、照明とか、いろいろなんか、関係ないと思うのよね。「人が生きてればいいんじゃない?」って。
本多:ほおー。でも、その照明にしろ、その照明の人の「生きかた」が・・・。
工藤:それは、三郎と二子をサポートする、演出に過ぎないわけ。私が、合成を覚えたように。だから、それがだめだったら、全部だめなわけ。
本多:そっか。人が生きてるってことが、撮りたいってこと?
工藤:たとえば、本多くんが好きな映画とかを考えてみると分かると思いますよ。
本多:まじで。・・・ちょっとまあ、もう1杯飲みましょうよ。何飲みます? 
工藤:次は・・・ビール。
本多:またビール(笑)。まあね。そう思ってましたよ。
工藤:ちょっと、酔っぱらってきたでしょう?
本多:酔っぱらってきましたよ、そりゃ。じゃあ、僕ねえ。「ニュートン」ってもうないんでしたっけ?
店員:ニュートン、ごめんなさい。
本多:あ、そうですか。僕、じゃあ「バドワイザー」。
工藤:じゃあ、「ハートランド」。