[ヨーロッパスタジオ]>[本多、すべてのバーで]


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本多:かんぱーい!
工藤:かんぱーい。
本多:いやでも、そうですよ。僕、好きな映画も、やっぱ登場人物がそこに生きてる感じのが。でも最近ね、すごい思ったことがあって。役者っていうのは、仕事として・・・仕事っていうと、語弊があるかもしれないですけど、「その作品に、その役者の表現として、その登場人物として存在すればいい」ってことなんですかね?
工藤:うーん、分かんないですけど、それぞれの演出家がいて、それぞれのものがあると思うけど・・・。
本多:工藤さんは、でも「そういうのが見たい」ってこと?
工藤:そうですね。見たいですね。生き様?
本多:たとえば僕の・・・ほんと、しょうもない日常を送ってるんですけど、それがにじみ出ててもいいってこと?
工藤:だって、「それがあなたの限界でしょ?」って。
本多:ああー。
工藤:「それ見せないと、始まんないよ」って。うまくなったら・・・。ヘタにうまくなったら終わりだよね、って。
本多:・・・。
工藤:なに?
本多:ドキっとした。そっか。それを、小手先でやろうとすると「なんだアイツ」になるってことですよね?
工藤:うん。そういうのって、画面に出ちゃうから、ぜんぶ。分かる人には分かっちゃうんですよ。それから、私は役者さんに対しては、それ以上は求めないです。自分の・・・。
本多:限界を見せる役者?
工藤:そう。「どう生きてるか」ってことだと思うの。反復の証を、全員。すべてのセクション。どういう日常を送ってるかっていうのが、全部出る。
本多:じゃあ、逆に言うと、工藤さんがこの役者さんと一緒にやりたいとか、このスタッフさんと一緒にやりたいとか思うのは、その人に日常が面白そうだな、とか、そういうことなんですね?
工藤:そうそう。




本多:『少年歌』でも、元BARBEE BOYSのKONTAさんが出てたじゃないですか? ミュージシャン。今回『飛行艇〜』でも、エマーソン北村さんっていうミュージシャンが出てたんですけど、そういうところに由来するんですか?
工藤:そうですね。やっぱミュージシャンって何百人って相手にしてるじゃん?
本多:ああ、リスナーっていうの?
工藤:そう。つねに、映画よりは、観客の近いとこにいるじゃん。
本多:あ、そっか、ライブとかやと生で、何メーター先にお客さんがいますもんね。
工藤:だからなんだと思うんですよ。逃げられないじゃん。そう人達は、全員。
本多:エマーソンさんはやっぱ、ものすごい僕一緒にやって、ものすごい魅力的やったんですよ。それはやっぱ、エマーソンさん自体も魅力的やし、それがすごい、演技とかに出てたんですよね。やっぱKONTAさんも、そういう感じでした? 僕のKONTAさんのイメージは「BARBEE BOYSのKONTAさん」もそうですけど、『愛しあってるかい!』っていうドラマ。小泉今日子さんの、あのドラマの、ちょっと渋めのKONTAさん。
工藤:でも、やっぱ、すごかったっすよね。KONTAさん。よかった。
本多:やっぱ生き様が出る?
工藤:出るねぇ。
本多:なんなんすかね。やっぱ、ミュージシャンの・・・。田口トモロヲさんの撮った『アイデン & ティティ』っていう映画あるじゃないですか? あれの、銀杏BOYZの峯田さんとかむちゃくちゃいいじゃないですか?
工藤:うんうん。
本多:でも、そうなったら僕はもう、映像とかもできないし、役者しかやってないから、太刀打ちできないんですよね。その、バックボーンが全然違うというか。
工藤:だからやっぱりそれはもう、傷ついたりしてんじゃない? たくさん。
本多:誰が? その人らが?
工藤:うん。
本多:ああー。



本多:そうそうこの前ね、『あんなに優しかったゴーレム』を工藤さんが見に来てくれて。終演後ちょっと挨拶だけして帰って。で、メールで「本多くん、思春期の少年みたいな目をしてたけど大丈夫だった?」みたいな。
工藤:ほんと、何だったのあれ?
本多:いやいや、僕なにもなかったですよ。
工藤:ほんとに?
本多:工藤さんのブログでも、「本多くんが傷ついてた」みたいなことを書いてて。なんかね、工藤さんね、いっつもね、ヨーロッパのDVDの『Windows5000』とか見て「すごい号泣した」とか、『火星の倉庫』でも「すごいよかった」とか「浄化作用があった」みたいな、そんなこと言ってくれてて。でも『〜ゴーレム』は、それよりも「本多くんが思春期の少年みたいな目をしてたことが、気になった」みたいなことブログに書かれてたじゃないですか?
工藤:何だったの、あれ?
本多:いやほんと、僕べつにそんなつもりもなかったんですけど。傷ついたように見えたってこと? 僕が。それは、その、舞台観てて思ったんですか?
工藤:舞台観てて思った。すごいどんどん大きくなってってるじゃん、ヨーロッパ企画って。ハコとかも超でっかくなってってるけど、なんか「失うものも、あるんじゃないか」みたいな。いつもよりでかい舞台で・・・やっぱ思ったね。それは思ったね。
本多:あの小屋で観て思ったと。でも僕、客席から舞台みてても「なんか距離があるな」って思ったんですよ。
工藤:でしょ? なんか、客席と舞台にすごい距離があって。でもそれってなんかすごい、進化の過程だからいいと思うんだけど。
本多:でも、みんなたぶん客席で舞台見たりとかして、それを埋めよう、埋めようとは、してたんですよ。
工藤:でも本多くんの役だけが、本質的だったんですよね。
本多:本質的?
工藤:うん。なんか「はっ」って。つなげて見たとき、同じだった、ていうか・・・。
本多:へえー。それはでも、具体的なエピソードがあったからですかね?
工藤:でもやっぱ何か、新しい要素にむかうときに、反省する要素もある、みたいな・・・。
本多:ええー。そっかー。人それぞれなんでしょうね。
工藤:そうですね。見てる人、それぞれ。
本多:大きい小屋で観てたから、ちょっと、距離があった。でも、それはある、のかなぁ。そこを、どうにかして埋めたいとは思ってるんですけどねぇ。




工藤:だから、みんな通るべき道にきてるんじゃないですかね? そこからはじかれる人は、はじかれるし。
本多:観てる人でってこと?
工藤:うん。私、あの舞台観たとき、そういうことしか考えてなくって。で、本多くんに楽屋で会ったときに、本多くんは、大丈夫なんじゃないかなって。
本多:ああ、そうなの(笑)? 「傷ついてそうやから、大丈夫」って? ああー。じゃあ、僕がもっともっと傷ついたら、また一緒に映画、してくれるんすか?
工藤:そうそう。もちろん。
本多:ほんとに? 今は?
工藤:今は、大丈夫だと思います。本多くんは。
本多:「大丈夫」っていうのは?
工藤:食いついてくれると思う。つねに。
本多:でもまあ、また一緒にやったら追いつめられるわけですよね?
工藤:もちろん。
本多:・・・はぁ〜そうか〜。
工藤:でも、それがやっぱ、生き様じゃん。
本多:そうは、そうですけど。
工藤:辛いほうが、いいんじゃない?
本多:「辛いほうがいい」。でも、こういうこと話したら、追いつめられたとき「工藤さん、また追いつめてんな」みたいな邪心が入る・・・。
工藤:うん。でも、それ以上のものを出すと思うよ。
本多:こわ!
工藤:私自身も成長してると思うから・・・。
本多:ああ、ああ。でも、楽しみです。また、ぜひやってください。
工藤:はい、ぜひ。
本多:またそれで、工藤さんに傷つけられて、僕も工藤さんを傷つけて(笑)、お互い成長していきましょう。
工藤:そうですね。「それで、いいんじゃん」って。作品が仕上がったらもう、関係ないしね。個人の感情は。
本多:ああー。じゃあ、上映会。楽しみにしてます。
工藤:はい。
本多:今日は、ありがとうございました。
工藤:ありがとうございました。



(10月上旬、収録)



―収録を終えて―
まさか撮影現場の知らないところであんなことになってるとは思いもよらずむちゃくちゃびっくりしてしまい、そのドキドキも手伝ってかなり酔っ払ってしまいました。
最後の方なに喋ったか覚えてなかったし、この対談後、僕はかなり工藤さんに説教をしてたらしいです。反省。
(本多力)