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水沼:じゃあ。
本多:4杯目。かんぱーい。
(乾杯)
本多:うわ。あらごしですよ、これ。「あらごし梅酒」。
水沼:おおー。この「紅南高」も、濃いよ。
本多:じゃあ、ちょっと交換しましょうよ。
水沼:(ひとくち飲んで)おおー。あらごしだねぇ。飲みやすい。
本多:色がね、濁ってて。ほんと「あらごし」って感じのね。果肉が入って。
水沼:栄養たっぷりってかんじのね・・・(咳き込む、水沼さん)。
本多:ちょっと! 「栄養たっぷり」って言ったあとに、咳をするのは、栄養があんまりない感じになりますよ。
水沼:ほんとだ(笑)。まあ、咳ばらい、ということでね。
本多:咳ばらい?
水沼:いいことを言おうとする前にね、ちょっと咳ばらいを。「ジャンプする前に、かがむ」みたいな。ただ・・・「ジャンプする言葉」がないんだよ。
本多:なんすか、それ(笑)。
水沼:咳ばらいしたところで、言うことがないっていう(笑)。


本多:いや僕ねぇ、ここまできたら聞きたかったんですけど・・・もう、今酔っ払ってますよ? そりゃ、酔っ払ってますよ。
水沼:はい、はい。
本多:・・・MONOに出さしてもらって、「水沼さんの目にうつった僕は、どうやったんかな?」と。
水沼:なに・・・なんで、そういう疑問を持つの?
本多:いや、あの『なるべく派手な服を着る』っていう公演。あの公演って「十何年かぶりに、MONOに客演のかたが出られる」っていう公演やったじゃないですか? で、他の僕以外の客演のかたって、3人とも女性だったし、男性は僕だけやったから。MONOのみなさんって男やし、女性を客演として呼ぶというのは分かるんですけど。その中で、僕だけ男で(客演に)呼んでもらったのはすごい嬉しかったし・・・でも・・・なんていうんですかね・・・「ちゃんと、できてたのかな」っていう疑問で。・・・水沼さんに答えてほしいのは、「できてた」って言ってほしいだけなんですけど、これは(笑)。
水沼:「できてた」っていうか。本多くんはその・・・自分のキャラクターを過少評価してないか、っていう気はするんですよね。
本多:過少評価?
水沼:だからあなたのような俳優は、なかなか、いない。
本多:それはもう、あれでしょう? 僕、言葉がちゃんとしゃべれないっていう。
水沼:いや(笑)、それもまるごと、含めて。本多くんの持つ「中心性」というか。
本多:中心性?
水沼:本多くんが言うと、どうしても磁場が発生する。そこに、空間の中心ができる人なんですよ、あなたは。
本多:え、え〜? ・・・ちょっと、このバーにいるから言ってもらってる感じですか?
水沼:んなこたない。
本多:んなこたぁない、と。
水沼:空間の中心になる。なんかそういう、中心性がある、と。
本多:へぇ・・・それは、初めて言われた。
水沼:それは、なかなか、誰しもが持ってるわけじゃないから。ほんとに楽しかったし、助けてもらったな、と。

本多:僕は、すごい水沼さんと絡むのが多かったんですよね。たぶん、他の方よりも。
水沼:そうやっけ?
本多:えっ・・・忘れてるじゃないですか(笑)。「重要」とか「重要じゃない」とか抜きにして・・・なんていうか「自分的に核となるシーン」で、すごい水沼さんと絡むことが多かったんですよ。で、僕がいちいちやることに、水沼さんがすごい相手してくれて、水沼さんからもすごい、僕に投げかけてきてくれてっていうのがあって、楽しかったです。たとえば、水沼さんと他の方が兄弟ゲンカをして、僕が「やめてよ」って言って、水沼さんが「しかたない」みたいなことを言うシーンがあるんですけど、あるとき僕が水沼さんの袖を掴んだんですね。
水沼:うん、うん。
本多:そしたらそのとき、水沼さんが僕の手を優しくのけて「これはもう、しかたないんだ」みたいなことを言われて。それってたぶん、「兄弟」っていう役やったから・・・なんていうか、「ほんとにそこで作っていってるな」っていう感じが、すごい楽しかったですね。
水沼:いやぁ、そうか。ちょっとね、そのへん、僕も迷いながらやってたんですけど。「本多くんはこういうのを、好むかどうかなぁ」っていうようなとこで、迷いながらやってたんですよ。まあ僕らも客演を呼ぶっていうのが久しぶりだから、対応のしかたがわりと・・・べつにそんな悩んでたわけじゃないんだけど。でも、本多くんが言ったようなそういう変化って、本番入ってからじゃない?
本多:いやいや、稽古中でしたよ。
水沼:そっか・・・。
本多:ちょっと、ぜんぜん覚えてないじゃないですか(笑)!
水沼:稽古中・・・?
本多:稽古中でしたよ!! ・・・あれ・・・? (少し考える、本多)あっ! 本番中でした!!
水沼:本番だろー?
本多:本番だ! 本番だったです。本番です!
水沼:だろー? スズナリあたりから・・・。
本多:そうだ! 大阪公演が終わって、東京公演のときからだ(笑)!
水沼:そうそうそう(笑)。

水沼:たぶん、芝居が固まったっていうか、そういう変化する余裕ができたのがスズナリ入ってからだと思うんですね、あの芝居。まあでも、それはMONOだけだったらやらないな。本多くんが言ったみたいな、そういう、手を握ったりとかそういうの。なんとなく「本多くんだから、できたなぁ」っていう。「客演だから」なのか「本多くんだから」なのかは、まあ微妙かもしれないけど・・・。
本多:でも、そうですよね。ずっと一緒にやってたメンバーだったら、そういうのは、なかった。
水沼:たぶん、そうだね。一緒のメンバーだったら、やらなかった。そういうような可能性も含めて、芝居が変わっていったっていうのは、たぶん劇団のメンバーだけでは、ありえなかったなと思うんですよ。
本多:はぁー。
水沼:まずそこで感謝してるし。それに、まあ、他の人でもできなかった。本多くんだからできたんだなっていう。本多くんには、自分の変化を確実に感じてくれてるなっていう信頼が、すごくある。本多くんは、演技にたいしてすごく真摯だなぁと。芝居が変わっていくっていうことに対して・・・すごく、センシティブに、敏感に反応する人だなぁと思うんですよ。だから、本多くんだからできたんだってね。そういう意味では、すごい自分にとっては信頼できる俳優だし。
本多:・・・まじっすか。それちょっと、今日、ほんっとに・・・ありがとうございます!
水沼:ほんと(笑)?
本多:ほんと、ゲスト出てもらって、ほんと! もうその言葉だけで(笑)。
水沼:なに、今までのほかの話はべつに(笑)?
本多:いやいや!! でもやっぱり、その・・・先輩っていうか・・・「先輩」っていう言いかたがあってるかは分からないですけど、その先輩の方々と一緒にやるのは初めてだったし、劇団に客演で出さしてもらうっていうのも、そんなにない経験だったんで、すごい・・・甘えて。もう、甘えていいやと思いながらやってたんですよね、僕。だから、そう言ってもらえると嬉しいし。でも、そうやって一緒にやれたっていうのが、すごい楽しかったし、今の水沼さんの話聞いて、その「楽しかった記憶」が「もっと楽しい記憶」になしましたね(笑)。


水沼:本多くんだけじゃなくて、ヨーロッパ企画全体の人がそうなのかも知らないんだけど・・・ふつうにヨーロッパの芝居見に行くと、学生からの流れで楽しくやってるなぁっていう風に、まず見るんですよ。でも実際一緒にやってると、ほんとに芝居をまじめに考えてるなあっていう。なんかすごく、芝居にたいして神経が張られてるし、芝居が変わっていくっていうことをすごく感じてるし、受容してるし、対応してる。
本多:でも、それはMONOのみなさんが、ほんとそういう感じじゃないですか。僕、そのMONOのスタンスに感化されたっていうのは、すごいあります。ふだんも、そういう気持ちでやってる部分はあるんですけど。MONOのみなさんに触発されたっていうのは、すごくありましたね。
水沼:うーん、まあまあ、僕らは・・・演出家の土田さんも俳優だから、初日あけると俳優になるから、けっきょく俳優集団として積み重ねていくじゃない? だからやっぱりそこで変化があるんですよ。たぶんそれは僕ら自身は劇団だからそういうのを分かってるし・・・なんだけど、本多くんは客演だから、客演の人っていうのはそういうのに対して、どう対処するのかなっていうのがあったんですけど。本多くんは、そこに対してすごくビビットだったし、刺激的だなぁと思って。
本多:まじっすか。刺激的でした?
水沼:刺激的でした。
本多:まじっすか! うわぁ・・・お酒がおいしいです!!
水沼:4杯目にして、やっと(笑)。
本多:いやいやいや、今までもおいしかったですけど、さらに(笑)。「あらごし梅酒」のおいしさも加わり、おいしいです。
水沼:いやぁ、そうですか。ありがとうございます。
本多:じゃあ、またぜひ、いつか。
水沼:ほんとにねぇ。ぜひぜひ。・・・締めますか?
本多:はい。気分いい感じで締めさせてもらっていいですか?
水沼:ひとまず、ぜひぜひ(笑)。
本多:ひとまずね(笑)。ひとまず、この対談を。
水沼:はいー。
本多:ありがとうございましたー!
水沼:ありがとうございましたー。

(12月上旬、収録)
―収録を終えて―
久々に水沼さんにお会いして、はじめてゆっくり話しました。もっと前から飲みに行っとけば良かったってくらい盛り上がって、結局お店の開店から閉店までいちゃいました。
また飲みたいです。ちょっとだけ演出に興味持ったりもしました。(本多力)
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