[ヨーロッパスタジオ]>[黒い神輿を担ぐやつら]
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黒木正浩による自主映画チーム「黒木組」が、来たる10月、ついに2年越しに上映会にこぎつけた! その当日までを追いかける、新連載ルポルタージュ。

  黒木祭まで、残り約3週間。
  先週、『知恵光院雀鬼3』の編集作業を終え、東京から戻ってきた黒木。
  また、大見も、関西での仕事のため、京都に来ていた。
  そうして、黒木組広報担当・柏もまじえ、京都・ヨーロッパハウスにて、
  この「黒い神輿を担ぐやつら」の収録を迎えた。

映像合成担当 大見康裕

東京在住の映像作家。CGテクニックを駆使し、黒木作品の世界観を更に増幅させる。ちなみに、今年のSSMF4に参加、自身の監督作を出品するも、屈辱の予選落ち。
SSMF4 唾しぶき監督インタビュー

広報担当 柏敏行

黒木祭の、広報と、チケット販売を任されている。普段は、ヨーロッパスタジオ所属。大見と同じく、SSMF4に出品するも、あえなく予選落ち。
SSMF4 唾しぶき監督インタビュー

 大見 「…黒木さん、ちょっと謝らないといけないことがあって。」
 黒木 「えっ、マジで。ちょっと待って。何?」
 大見 「黒木祭なんですが、俺、たぶん司会できないです。」
 黒木 「えー、ちょっとちょっと。どうする? 柏くん。」
 柏  「困りましたねえ、司会、てっきり…。」
 黒木 「そうそう。先週話して、大見くん『やろか』ってなってたから、
     今、スゴいテンション上がってて、やる気なんかな、と思ってたのに。」
 大見 「いやー、イメトレしたんですよ。で、やっぱ、俺には無理なんかな、って。」
 黒木 「壁が見えた?」
 大見 「こないだの、SSMFみたいになっちゃうんじゃないかなぁ、って。」
 黒木 「でも、あのとき、巧みな話術だったんじゃないの?」
 大見 「いやあ。ワークショップなら、いつでもできるんですけどね…。」

  大見康裕、先日の「SSMF4」にて、トップバッターとして作品を上映。
  そこで彼は、司会者とともに、壇上でトークを繰り広げた
  しかしながら、普段、表舞台にでない彼にとって、客前、しかも、
  一番手というプレッシャーは、なかなかに拭い去りがたいものであった。
  のちに、彼は述懐する。「あの時は、自分の映画のよさを、半分も語れなかった」と。

  しかも、今回の黒木祭では、あろうことか「司会」だという。
  一度は引き受けたものの、そのプレッシャーたるや、相当なものであろう、
  と、大見は考えていた。
  そうして、1週間、悩んだ末の、「辞退」という決断。

  それは、大見にとって、苦渋の、そして、遅すぎる選択であった。

 柏  「どうしましょうか…。」
 黒木 「もう、司会ナシでやる?」
 柏  「いやー、それはちょっと。誰かたてた方がいいですよ。」
 黒木 「『雀鬼』の上映だけじゃダメ? 司会たてないとダメか…。」
 柏  「そうした方がイイですよ。」
 黒木 「大見くん、なんで今になって、司会断ったん?」
 大見 「いやあ、俺、正直、お客さん、10人ぐらいだと思ってて。
     身内しかこないだろうな、と思ってた。」
 黒木 「まあ、それは、俺もビックリした。情報、何にも出してないのに、完売とかなってて。
     
勇気のある人ばっかりですね。」
 大見 「その、お客さんの気持ちに、応えることができない、って感じて。」
 黒木 「そっかぁ。司会、どうしよう?」

  そう。なんと、チケットは、いつしか、完売していた。
  約40人という、慎ましいキャパのせいもあろうが、
  黒木の魂の波動は、確かに、お客さんの胸に届いていたのだった。

  ただ、それだけに、お客さんの思いの総量を
  司会者は、丸ごと受け止めないと、いけないのだった。

  そんな腕の立つ司会者は、残念ながら、黒木組にはいない。
  ここへきて、逆境に立たされる、黒木組。

  万策尽きたか、と、思われたそのとき、一同の頭に、ある男の名前がよぎった。

 柏  「司会、角田さんどうですか?」
 黒木 「はいはい。」
 柏  「今年のカウントダウンイベントで、お客さんの前でプレゼンして、
      すごく評判もよかったみたいですし。」
 黒木 「そうやね、カウントダウンでは、祭りっぽい男やったね。」
 柏  「そして、こないだのSSMFでも、映画の中で、ラジオDJをされてましたしね。」
 大見 「あー、そうでしたねえ。」
 黒木 「そうそう。上映のあとのしゃべりも、司会のはるきっちゃん(中川さん)と
      上田くんよりずーっとしゃべってて、おもしろかったわ。」
 柏  「ええ。」
 黒木 「角ちゃん(角田さん)に頼む?」
 柏  「っていうのもありますよね。角田さんやったら、
     うまく(司会を)まわせるんじゃないかなと思うんですけど。」
 大見 「俺よりか、うまいと思いますよ。」
 柏  「まあでも、本当は、大見さんがよかったんですけどね。」
 大見 「あー、じゃあ、ダブル司会にします?」
 柏  「SSMFの感じで。」
 黒木 「いや、でも、ここは、大見くんが認めた男、角田貴志に。」
 大見 「そうですね、オンリーで行きましょうか。」
 黒木 「頼もうか。」

  急浮上した、角田という、新たな、黒い神輿の担ぎ手候補。

  しかしながら、角田はこれまで、黒木組と、一切の関わりをもっていない。
  なにせ、SSMFにおいて、誰一人、自分の作品に関わらせることなく、
  すべて、自分ひとりで、出演とスタッフワークを、まかなってきた男である。

  そんな孤高の男が、はたして、黒木組という、血の濃い関係性に、
  混じることができるのだろうか。
  奇跡的に、うまく化学反応が起こればいいのだが…。

 柏  「角田さんに、頼みましょう。ただ、断られる可能性もある、ってことですから。」
 黒木 「断ること、あるかなぁ。」
 大見 「それは、あるでしょう。」
 柏  「黒木色に染まりたくない、っていうのはあるかも。」
 黒木 「そういえば、角ちゃん、あんまり混ざることがないからな。」
 大見 「っていうか、まだ、黒木作品にも、出てないですからね。」
 黒木 「まあでも、逆にイイかもしれんなぁ。色が違うから、司会できそう。
     …なんか、見えてきた。 」
 柏  「じゃあ、依頼してみましょう。」
 大見 「もし断られたら、そのときは、俺やります。」
 黒木 「やってくれる?」
 大見 「ええ。」
 柏  「じゃ、とりあえず角田さんにオファーして、ダメだったら、大見さんで。」
 黒木 「そうやね、ダメやっても、炎のストッパー・大見くんがいるから、大丈夫。」
 柏  「これけど、角田さん、オファーされるより先に、この『黒い神輿〜』で
     話題に出てたら、ビックリするんでしょうね 。」
 黒木 「これ読んだら、勝手に進めとるなぁ、ってなるんやろうなぁ。」
 大見 「角田くんも、神輿を担ぐわけですね。」
 黒木 「そうやなあ。これで角ちゃんが司会、ってなったら、
      ますます、来ない人、後悔するんやろうなぁ。」
 柏  「角田さん、是非、これ見て『やります!』っていうメールを送ってきてくれたら、
     いいですねえ。 」

  あまりに突発的なキラーパスのため、本人にはオファーの電話がしづらい。
  そこで、なんとか間接的に伝わることを願う、柏であった。
  本番3週間前にして、チケット完売、という、この未曾有の盛り上がりが、
  どうにかディスプレイ越しに、角田に伝わればいいのだが。

 黒木 「そうそう、チケット前売り分、めでたく完売したけど、どうなん? 採算とれてる?」
 柏  「まぁ、黒字ではいけそうですけど」
 黒木 「新しいハードディスクは買える?」
 柏  「大丈夫だと思います。」
 大見 「モニターは?」
 柏  「それは、無理ですね。」
 黒木 「あー、そうんなんや。俺、また欲しいものができたんやけど、ブルガリの時計。」
 柏  「…なんぼなんですか?」
 黒木 「50万くらい。」
 柏  「いやいや、それは無理でしょう。」
 黒木 「金、欲しいねんなぁ。」
 大見 「金、欲しいですよね。なんか、他に売れるものとかあったら。」
 黒木 「前、トレカいってたけど、進んでるの?」
 大見 「トレカは、まあまあやってますよ。」
 黒木 「やってるんや。水面下で。」
 大見 「やってますよ、ちょっとずつ、キャラクターを(画面上で)切り抜いてますよ。」
 黒木 「楽しみやな、それも。」

  チケット完売による有頂天ぶり、そして増長。
  思わず、ひところのブランド好きが、顔を出してしまう黒木。
  その金銭感覚は、麻痺し、いまや、皮算用の状態である。
  黒木の、足元を見失うあまりの速さに、柏は、一抹の不安を覚えていた。

 黒木 「いやー、1,200円のチケット、買ってくれるもんやなあ。」
 柏  「ありがたいですね。お客さんにも神輿を担いでもらってますね。」
 黒木 「これはちょっと、気合い入れなあかんなぁ。
      まだ、こっちはなんにも決まってないのになぁ。」
 柏  「いやいや、そんなことはないでしょう。」
 大見 「正直、何を上映してもいいわけじゃないですか。上映しなくてもイイっていう。」
 黒木 「それも、できるなぁ。」

  いくらなんでも、さすがにこれは暴言である。
  感謝の念を忘れ、興行主としての意識が欠如しはじめた、黒木の堕落ぶりに、
  怒りをこらえきれない、宣伝担当・柏。

 黒木 「いやー、決まったね。もう、こっちはなんにも考える事ないな。」
 大見 「そうですね。」
 黒木 「ちょっと、待って。今、柏くんがギロッてこっちを見た。」
 大見 「…まぁ、『雀鬼1〜3』もあるしね。」
 黒木 「もう、ちょっと。今、柏くんを見る事ができへん。もうちょっと考えてや、って。」
 柏  「ね。」
 黒木 「まあ、ほら、おいおい決めていこうかなって思ってて。
     まだ、編集が終わってないから、ね。」

  柏のただならぬ鬼気に気づき、ようやく正気をとりもどした黒木。
  よくも悪くも、このイノセンスな心の移ろいこそが、黒木正浩35歳の魅力であり、
  また、この互いを補いあうチームワークこそが、黒木組のかけがえのない財産である。

 黒木 「これで、角ちゃんがOKしてくれたら、全員、Macユーザーになるわけやなぁ。」 
 柏  「そうなりますね。角田さんも、Macユーザーだし。」
 大見 「じゃ、Macユーザーが総出演、ってことで。」
 黒木 「もう、Macと黒木組は、切っても切れないね。」
 大見 「なんでか、切れないですね。運命なんでしょうか。こうなったら、スポンサーがappleで。」
 黒木 「なってほしいなぁ。appleの人が、観にきてくれたらいいのに。」
 大見 「じゃ、第2回黒木祭は、appleさんサポートで。」
 柏  「そこは、勝手に決めても…。」

  黒木の黒と、appleの白。その2つは、いかにも、遠いように見える。
  しかしながら、かつて、SSMFでは、番外編上映会を、apple storeで
  開催させていただいたこともあり、
  そう考えれば、あながち、遠い夢でも、ないように思えた。
  少なくとも、黒木組の多くはMacユーザーのため、この夢の実現を、切に願っていた。

  とはいえ、目前に迫る、黒木祭を成功させなければ、夢も途絶える。
  今は、何をおいても、黒木祭の中身を、固めないといけないのだった。

  はたして、こんな調子で間に合うんだろうか?そして、内容は?
  次週、「『黒木祭'07〜導かれろ〜』何か動くのか。」をお楽しみに!!

黒木組「黒木祭'07〜導かれろ〜!!」
とき:10月21日(日)13:30開演 14:00開演
ところ:大阪 中崎町 common cafe
前売/1,200円(1ドリンク付)


黒木組「黒木祭'07〜導かれろ〜!!」のチケットは下記から。
10/21(日)、お暇な方は、是非どうぞ