#11 喫茶翡翠

作家の大歳です。今回、僕が紹介させていただくのは、
京都の北の方にある喫茶「翡翠」です。

僕は、作家さんや漫画家さんが、喫茶店で執筆したり、
原稿を書かれたりするのに憧れがあって、真似をして喫茶店やカフェで台本を書きます。

翡翠さんのおそらく30年以上、変わっていないであろう古き良き外観・内装は、
まさに作家さんが仕事していそうな空間で、窓際の席に腰掛け、ペンを走らせたり、頭をボリボリかいたりすると、大作家の気分に浸れて、とにかく最高なのです。

ですが、この翡翠さん、ひとつ問題がありまして、それは、全く作業が捗らないということ……。
とにかく居心地が良すぎるんですよね。

例えば、朝、なにかやらなきゃいけない作業を抱えて、お店に入りますよね、
ですが、目の前の棚には、その日のスポーツ新聞各紙、最新号の少年誌、週刊誌、ゴシップ誌が、
ずらーっと揃って出迎えてくれるんですよ。
しょうがないじゃないですか……。
昨晩の阪神戦も気になりますし、芸能人の誰と誰が付き合ってるのかも、知っておかないといけないじゃないですか。
午前中は、そうして情報収集しているうちに終わります。

で、気づけば、お昼。
そろそろ……と、重い腰をあげて、雑誌を元あった場所に返しに行きます。
するとですね、新メニューがイーゼルに立て掛けられて紹介されてるじゃないですか。
例えば、この季節ですと「そうめん定食」「冷やし中華定食」あたりですかね。
元々のメニューも大変美味しいですし、どんな新メニューなのか気になってしょうがない。
とりあえず注文しますよね。
で、食べます。美味しいのは勿論、ボリュームがあるので、当分動けませんし、頭も働きません。
しょうがないので、テーブル筐体のゲームを1プレイやりますよね、
1プレイやる=5プレイはやる、ということですから、気づけば15時を回っています。

となると、このお店の2階にて行われている社交ダンスの練習を、
終えたお客様がお見えになる時間です。気さくな方が多く、
初対面にも関わらず登山などに誘っていただけます。
“初心者はどれくらいの山から始めればいいか”なんてお話しをしているうちに、すっかり夕暮れ。

店内には阪神戦の中継が流れ始め、目を釘付けにさせてくれます。
試合も終わり「明日は負けへんで!」と思っていると、
既に時計は22時を回っていて、そろそろ閉店。

作業は全く進んでいないですし、入店から10時間くらい経過しています。
もう帰らないといけません。
でも、ほとんど疲れないんですよね。冗談なく、家より落ち着けます。
休日の前の日、明日は翡翠に行こう、と決めると、ワクワクします。
毎日ここに通えるような優雅な大人になることが、僕の最大の目標ですね。

(2015.7.17)

京都案内人:大歳倫弘

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[喫茶翡翠]

場所:京都市北区紫野西御所田町41-2
TEL:075-491-1021

※定休日等詳しい情報については各スポットへお問い合わせください。

※掲載内容は取材・更新日時点での情報です。最新情報ではない場合もございますので、あらかじめご了承ください。