#21 神泉苑

上田です。第1回で「喫茶チロル」をご紹介しまして、そこが「曲がれ!スプーン」のモデルになった店です、ということを書きました。で、覚えておられるでしょうか、あの作品に出てくる「公園の池」というスポットを。「細男」がサイコキネシスで夜空を舞ったあと、着水する場所ですね。それのモデルになった場所が、今回ご紹介する「神泉苑」です。ここにはでっかい池がありまして、位置関係もチロルからサイコキネシスで飛ばせそうな距離、おなじ町内の三軒隣にあります。この「喫茶店のすぐ近くに、池」という関係性こみで、モデルにさせてもらったんでした。律儀でしょう!

さてこの神泉苑、実家から近すぎて真面目に考えたこともなかったんですが、入口は写真のとおり、鳥居があって神社なんです。だけど記憶を辿ってみると、子供のころは毎年大晦日になると、ここへ「除夜の鐘」をつきに来ていたことを思いだしましてですね。そういえば本堂もあって、住職さんもいるし、あれっここって神社だっけ、寺だっけか、という不気味な疑問に、まさにこの記事を書こうとした今、行き当たってしまったのでした。そういうものと思っていたんですが、考えてみると奇妙だぞ、と。

で、狐か狸のどっちかに化かされていたのかも、と空恐ろしい気持ちになって、ネットで調べてみましたら、正式には「寺」なんだそうです。東寺真言宗ですね。で、とはいえ神社としての顔もあるそうで、善女龍王社という雨乞いの神様の社もあって、なにより入口の鳥居がすごい印象的なので、ネットでもけっこう神社として紹介されているんですが、正式な入口はこっち側(チロルのある御池通側)ではなく、反対側(二条通側)の門なんだそうです。確かにそっちから見るとどう見ても寺です。そんなキメラ的なスポットなのでした。

そしてキメラついでにというとあれですが、ここには「平八」さんという料亭もあって、池には船が浮かんでおり、そこでうどんちりや京懐石を食べる、という風流な嗜みができます。また池にはあひると鯉がいて、記憶ではたしか亀もいて、えさの自販機も備えてある、という公園っぽい楽しみもくれます。えさが一人称で「ぼくたちはたべられません」と注意を呼び掛けているところもグッときます。そして何よりここは大変なパワースポットだそうで、急にそういう話をしますと、京都には古くから、北は玄武、西は白虎、南は朱雀、東が青龍という4つの神獣が都を守っていて、その「青龍」が水を飲みに来るのがこの神泉苑なんだそうです。もともとは平安時代の禁苑で、そして今より池が相当広かったみたいですね。チロルのある一帯は「池ノ内町」というんですが、そこら全体が池だったそうで。

などと掘り下げるほどにトリビアの泉わく神泉苑ですが、割とゆるくて、いつだって入れますし、きゅっとした公園ぐらいのサイズなのですぐに一巡りできます。毎年5月にはここでお祭りがありまして、ヨーロッパ企画も出店を出したり暗い旅のロケをしたりして賑やかしに加わってます。写真は2015年にやった、黒木さんプロデュースの「ヌンチャクボール」の出店。チロルにお立ち寄りの際はぜひとも。

(2015.12.04)

京都案内人:上田誠

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[神泉苑]

場所:京都市中京区御池通神泉苑東入門前町166
TEL:075-821-1466

※定休日等詳しい情報については各スポットへお問い合わせください。

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