#26 二条小屋

コーヒー通を気取って公演中楽屋で豆を挽いてコーヒー淹れてたら、角田さんから「ジャコウネコのコーヒーって知ってますか?」と聞かれ、まったく知らずオロオロしてたら、「二条小屋っていうコーヒー屋さん知ってます?」と聞かれ、またしても知らず口ごもり、数日後、諏訪さんに「二条小屋、行ってきたで」と先を越され、その店の感動をひとしきり聞いて、コーヒー通を気取っていた自分を恥ずかしく思い、気持ちを改め、一からコーヒーの見識を広めるつもりで、ジャコウネコのコーヒーを調べたら、ジャコウネコの糞から出てくる未消化のコーヒー豆だそうで、一杯8000円(!)という、ちょっと浮世離れしたコーヒーみたいで、いったん忘れて、ヨーロッパハウスの近所にあるという「二条小屋」に向かいました。

20年くらいこの辺をウロウロしているけど、まったく心当たりのない場所で、本当にそんなとこあるのかなあ~と不安になりながら地図を見てテクテク歩いていると、ありました! ほんとに小屋! 映画に出てきそうな、ここもなんだか浮世離れした雰囲気が漂ってます。

中に入ると薄暗く、やわらかく外光が差し込んでとても心地良い空間。で、L字のカウンターのみ。メニューは豆も数種類あったり、フードもスイーツもあとお酒もあったり。僕はオススメと書かれている『サントス』を注文しました。

諏訪さんが行ったときの感想は、「むちゃくちゃうまかった。ほんで、豆がむっちゃ膨らんだけどなんで?」とのことで、豆が膨らむというのは、良い焙煎をされて保存状態も良い豆だという証拠らしいですが、どんだけ膨らむんだろうと、マスターの一挙手一投足を見逃さないようにウォッチングしました。すると、まず豆をガシャガシャガシャと、通常一人前の量のおそらく3倍くらい挽いていらして、そこでまず、なぬ!と目を丸くしたのですが、その直後、噂の膨らみを目の当たりにしました。ウッディアレンの映画のインスタントプディングが膨らんだあげく、プディングが意志をもったようにうごめきだして、ウッディアレンとプディングが格闘するシーンを彷彿とさせるほどの勢い。もうちょっとイメージしやすく言うと焼きたてのマドレーヌみたいにふっくらもっこりでした。…なんか地味になってすごさが伝わりにくくなりましたが、とにかく噂通りでした!

しかし、驚くべきは味でした。ちょっと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、ウィスキーでした。本当に。口の中に香りが立ち込める感じは、ウィスキーそのものでした。衝撃でした。僕は浪人時代、新聞配達を終えて日の出をみながら、ジョージアエメラルドマウンテンを飲んだときに、カフェイン効果で色彩がパキッ!とクリアになって、そこからコーヒーにハマっていったんですが、「二条小屋」は20年来のセカンドインパクトで、しばらく多幸感が持続する旨さ。脳でダイレクトに味わう美味しさでした。
マスターに恐る恐る訪ねたところ、豆を贅沢なくらい使うのは最初にお湯を注いだときに抽出されるコーヒーのインパクトを大事にしているんです、とのことで、それだけ香りと旨味が凝縮されたコーヒーをお出してるとのことなんでしょうか。

すっかり「二条小屋」のお店の雰囲気も含め虜になってしまって、この原稿を書くまでに3回通ってしまいました。ぜひ、コーヒー好きで新境地を開拓したい方にもオススメです。あ、あとホットサンドも絶品でございました。


(2016.2.26)

京都案内人:永野宗典

  • 1
  • 1
  • 1
  • 1
  • 1

[二条小屋]

場所:京都市中京区最上町382-3
Facebook:nijokoya

※定休日等詳しい情報については各スポットへお問い合わせください。

※掲載内容は取材・更新日時点での情報です。最新情報ではない場合もございますので、あらかじめご了承ください。