[ヨーロッパスタジオ][火星の倉庫ができるまで 〜上田ウィークリーインタビュー〜]>[第6回]






第6回「演出のしかた」

 

中路:今週もよろしくお願いしますー。

上田:お願いしますー。

中路:「火星の倉庫ができるまで〜上田ウィークリーインタビュー〜」

中路:はい、今週も始めたいと思います。

上田:もう6回目かー。

中路:はいー。

上田:ほどほどに、順調でございます。(笑)

中路:そろそろ、ちょっと内容についてもお聞きしたい、のですが

上田:ええ。

スタジオ編集部:この時間は、スタジオ編集部の中路が、ヨーロッパ企画第25回公演「火星の倉庫」作/演出の上田誠さんにチャットインタビューし、お送りしております。

中路:ほどほどに順調、と言われれば、なんかどう聞けば分かんないですね(笑)

上田:そうですねえ。

上田:まあまあ、久々の本公演なので、

上田:ちょっと、ちゃんとした話にしよう、と思って、

中路:ちゃんとした話?

上田:なので、ストーリーを、割とがんばって考えた感じですね。

上田:過去の「WIN5000」とか「ブルーバーズ」だと、

上田:ルールだけあって、ストーリーはほっとんどない感じだったんですけど、

上田:そうではない、というようなことです(笑)。

中路:今回は、より話の筋がちゃんと通っているという感じですか?

上田:そうですね、ストーリーものだな、と思ってもらって、間違いないんじゃないかと。

中路:ほうほう。

上田:ずいぶん、難しかったですねー。

中路:難しい?

上田:そうそう。なんか、台本考えるのが。

中路:ストーリーを意識して作っていくのが、ということですか

上田:なんかねえ、普段生活してて、ストーリーってあんまりないじゃないですか。

中路:ぅうーん、まぁ・・・そうですねぇ。

上田:ふわーっと、暮らしてるじゃないですか。

中路:劇的なことはそうそう起こらないですけども

上田:しかもねえ、シナリオのかけない時代、とか、よく言われてたり。

中路:かけない時代?

中路:それは、今の時代がってことですか?

上田:あのー、昔に比べてほら、先がよめなくなった時代というか・・。

中路:ぁあ?。

上田:なんか、そういうムードの中で、しっかりストーリーを書くのがねえ、

上田:きっと、劇作家さんは、みなさん、苦労されてるんじゃないですかねえ。

中路:分かりやすい、先がよみやすいもの、というのが。

上田:いやまあ、身近なことなら、いろいろあるんですけど、

上田:そうそう。「これからの時代は、これが答えだ!」みたいなのがねえ。なかなか・・。

中路:今までの作品の傾向としては、ルールだけあって、という

中路:その状況に置かれた人たちの行動みたいなのを

中路:俯瞰で見て楽しむというか、

上田:そうですね。今回もまあ、そういう感じではあるんですけど、

上田:ただ、今回は、一応、主人公がいますよ(笑)。

中路:ぉおっ。

上田:今までは、水槽の中の人たちを、わいわい見る感じだったんですけど。

中路:ですよねぇ。

中路:でもストーリーを重視して作ったと言うのは、ある程度上田さんの視点が

中路:その、中に入った視点と言うか。

上田:ええ。

中路:内側からの視点も入れつつのストーリ作り、になってるということですか?

中路:ぅうーん、何と言えばいいのでしょう。

上田:そうですね、そうかもしれない。

上田:ブルーバーズなんて、感情移入のしようがないような、芝居というか「見世物」なんですが、

中路:ほんとに、外から見てというようなことですよね。

上田:そうそう。ちょっと今回は、気合が入ったので、

上田:別にブルーバーズが気が抜けてたわけではないんですけど(笑)。

中路:はい、それはもう(笑)。

上田:なんか、そういうのを、描いてみようかなあ、と、思いました。

中路:誰か一人に的を当てる、っていうのはあんまりなかったことですよね?

上田:そうそう。いっつもは、11人いたら、

上田:11人全員が、こっちチーム、みたいなことだったと思うんですけど、

上田:今回は、そういう「チーム感」は、ないですねえ。

中路:全員で見せるといような。

上田:まあでも、こんなに勿体ぶって書いてますけど、

中路:はい。

上田:別に、サマータイムも、中川さんが主人公だったし(笑)、

中路:ぁあー・・・ほんとですねぇ。

上田:なので、たいした変化じゃないように、思えてきました。

中路:でも、始まる前に聞くと意識してみちゃいますよ。

上田:楽しみに、していてくださいよ。

中路:それはそれは、もう!

中路:今週もBBSに質問いただいていたので、紹介させていただきたいと思いますー。

中路:aziponさんより「上田さんは芝居を作る上で「演出」はどういうものだとお考えですか?また演出で気を使っていることとかありましたらお聞きしたいです」

上田:はあはあ。なるほどー。

上田:ありがとうございます。

上田:あんまり考えてない、というと、アレなんですけど、

中路:ありがとうございます。

中路:あれ?

上田:「これ、演出してんのかなー」ぐらいのもの、というか、

上田:演出家の意図が、見えないようなもの、のほうが、僕は、好きで、

上田:たとえば、野球には、演出家がいないじゃないですか。

上田:でも、プロレスには、まあ、演出が、あったりしますよねえ。

中路:はい。でも野球には監督がいますよ。

上田:というと、野球のほうが、僕は、好きだなあ、という感じが、ありまして、

中路:監督の思う通りに試合が進む訳ではないですけども

上田:まあでも、松井がバッターボックスに入ったときに、登場テーマ、とか、ないわけじゃないですか。

上田:あるんかな(笑)。

中路:はい、分かんないですけど・・・。

上田:大リーグでは、けっこう、あったりするみたいですけどね。スタジアムでの演出とか。

上田:なんでしょう。「ショーアップ」みたいなことが、あんまり、好きじゃない、のかなあ・・・。

中路:日本よりは、いくらかショー的な見せ方な感じかもしれないですねぇ。

上田:機械でも、ボディがスケルトンなやつとか、好きですしねえ。

上田:ファンシーケースとか、ティッシュカバーとか、ああいうのは、あんまり好きじゃなくて。

中路:飾り付けられているよりも、中が見えるほうが。

上田:そうそう!そういうこと、ですね。

中路:なんで、そっちの方が好きなのですか?

上田:なんでだろうか。

中路:歩み寄りやすい感じがしなくもないですが・・・

上田:たぶんねえ、「無意味な飾り」みたいなのとかが、嫌いなんだと思う。

中路:必要以上のものですよねぇ。

上田:なんか、ハイテクシューズとかも、あんまり好きじゃなくて。

上田:機能美、っていうか…。

中路:機能が優れすぎて、使いこなせない、みたいな(笑)

中路:もっと、泥臭いものの方が。

スタジオ編集部:TANISHIさんより「舞台装置がまだないときは、どのように稽古されているのでしょうか。シャドー?」

上田:そうそう。実は、それって、すごくデザインが悪かったり、とか。

中路:TANISHIさん、ありがとうございますー。

中路:親近感が湧いたりしやすいのですかね?

上田:あっ、↑のは、「機能が優れすぎて、使いこなせない」もののことです。人間のデザインに、あってないんじゃないか、っていう。

上田:TANISHIさんありがとうございます。

中路:人間らしさが、失われるような感じ。

上田:演出に関しては、なのでまあ、「隠れた職人芸」

上田:「いぶし銀」みたいな演出が、理想ですねえ(笑)。

中路:演出家によって色が違う、とかよく言われてますが

中路:「なんか好きだなぁ」と思ったら、ヨーロッパだったみたいな。

上田:ほお。

中路:そういう、気づき方って楽しいですよね。

中路:見てる側としては、ですけど。

上田:それは、そうですねえ。もちろん理想ですよねえ。

中路:そして、TANISHIさんの質問なんですが・・・

上田:装置がないときは、ないなりに、イマジネーションで、稽古したりしてます。装置と関係ない部分の、会話をつくったりとか。>TANISHIさん

中路:そういえば上田さんはお芝居を作る上で、役者さんの意見も参考にしつつ内容を練っていくことが多いとおっしゃってたじゃないですか。

上田:ええ、ええ。

中路:さぁ台本が完成したから実際に動いてやってみよう、という時に

中路:演技に対して「ここはこうして、ああして」ってばんばん言うんですか?

上田:うーんとねえ、「完成に向かわせる」ときは、結構いう。

中路:それこそ、演出の話になっちゃうんですけど

上田:それは、要するに、「行儀よくしましょう」ってことだから。よそいきにするときの。

中路:上田さんがイメージしてるものに近づける作業に集中するとき、ですか

中路:外に見せられるものにするため、に身なりを整える作業というか

中路:そんなようなもの?

上田:そうそう。子育てでいうと、あんまり、自分の思い通りに、育てるよりも、

上田:のびのびと育てるほうが、面白くなるじゃないですか(笑)。

中路:演出に関しての役者さんたちの意見やアイデアというのは、

中路:出るんですか?

上田:出ますねえ。ぎりぎりまで、自由にしてもらって、最後に、整える、みたいな、手順ですかねえ。

中路:それは、完成させるためのというよりは

中路:上田さんとの意思疎通によってイメージ膨らませるためのってことでしょうかね

上田:そうそう。あんまりねえ、僕1人で思いつくようなことって、やっぱり限界があるんですよ。

中路:はー。

上田:なので、役にしても、「芯」というか、「勘所」だけ伝えて、

上田:あとは、役者さんに、アイデアを、それぞれ持ってきてもらうようなことのほうが、

中路:なるほど。

上田:僕は、もっと、ストーリーのほうに、頭を使えるし、

上田:それぞれ持ち寄ったほうが、効率的かなあ、と、思ってますね。

中路:役としてのバックボーンは役者さんにまかせて

上田:そうそう。細かいところはね。

中路:上田さんはそれをのせる土台作りに集中できるというか

上田:役名、とかも、3年前ぐらいから、ないですからねえ。

中路:役名、つけないですよねぇ

上田:役名、嫌いなんですよー。

中路:嫌いなんですか!?

中路:なんか、固定されるような気がするとか・・・

上田:お芝居見に行って、パンフに、役名と、設定が、ずらーっと書いてあったりして、

中路:はい、ありますよねぇ。

上田:「これ、本番始まるまでに、覚えないとダメってこと?」とか、思うと、ちょっと・・。

上田:なので、余計な負担を、かけなくて、すむように、っていうのと、

中路:(笑)なんか、強制的な感じになっちゃいますよね。

上田:あと、「日本っぽいけど、どこか」っていう風に、思ってもらいたいので、

上田:そういう、無国籍な感じにするためにも、役名は、つけない派ですねえ。

中路:なさそうだけど・・・ありえそうな。みたいな。

中路:不思議な感覚になるように、と。

上田:そうそう。でもまあ、

上田:外部に、台本を書かせてもらう場合は、下の名前まで、つけないとダメなんですけどね。

中路:はい。

中路:あ、そうなですか。

上田:普通はまあ、役名があるほうが、役者さんに対しては、親切ですからねえ。

中路:ぁあ?確かに・・・。

上田:台本に「B」とか書いてあったら、なんだと思うでしょう(笑)

上田:「5」とか。

中路:若干、感じ悪い気もしますね(笑)

上田:そうそう。あと、ト書きも、親切に、書いたほうが、いいんですって。

上田:サマータイムの、映画の台本を書かせてもらったときに、

中路:はい。

中路:親切に、っていうのは・・・詳しく?

上田:第1稿かなんかで、「銭湯・オアシス。どうということもない、銭湯」とかって書いたら、

上田:監督に「そりゃあないだろう」って、言われまして(笑)。

上田:「美術のスタッフさん、がっかりするよ」って。

中路:「どうということもない、銭湯」ってみたいな(笑)

上田:なので、「古びた、だけど、味わい深い、懐かしいにおいのする、銭湯」みたいに、直したりとか。

中路:もっと美術さんの気合いが入るような(笑)書き方に。

上田:そうそう。まあ、そりゃあそうですよねえ。

中路:今回の舞台の美術さんにも、そんな風に伝えてますか?

中路:やる気出るような(笑)。

上田:いえいえ、今回は、なんとも、挑発的な、というか、

中路:無理難題を?

上田:つかみどころないような、注文を、してしまいまして、

上田:でも、ホント、すごいですよ。

中路:難しそうっ。

上田:すごくよかった。模型しか、まだみてないんですけど。

中路:着々と、ね。小道具なんかも作ってらっしゃいましたので。

上田:ちょっとねえ、だいぶん、好きな美術ですよ、今回は。

中路:工作苦手なんで、「すご!」って思いましたけど。

中路:実際に舞台で見れるとなると、そうとうおもしろそうな感じですよねぇ。

上田:いやいやー、台本もない状態から、美術の打ち合わせをさせてもらいまして、

中路:それは、つかみどころが難しくなりますねぇ。

上田:むしろ、美術にかなり触発されつつ、台本を考えさせてもらった、感じです。

中路:それはちょっと、スタッフさんにかなりのプレッシャーを与えましたね、いま。

上田:いえいえ、すごいよー。本当に。。

中路:はい、そんな感じで今週も。

上田:自分じゃないので、ハードルあげめに書いてますが(笑)。

上田:ええ、ええ。

中路:たぶん、今日でハードル上がりましたね、かなり。

上田:まあ、内容とかについては、http://eplus.jp/sys/web/theatrix/special/europe-25.html を、見ていただければ。

上田:なんとも、抜かりのないインタビューが、ありますので(笑)。

上田:こっちは、こんな感じで、次回も、進めましょうかね。

中路:本番に向けて、がんばっていただきたいと思います!

上田:おやすみなさいー。

中路:はい、ありがとうございました!

中路:また来週お楽しみにー。

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