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ヨーロッパ企画5周年企画
UFOメンバー座談会

第1回 第2回  第3回 第4回 第5回 最終回
今からちょうど5年前、ヨーロッパ企画は始まったんです。
学園祭の企画として、大学の教室にUFOの船内をつくって上演された2人芝居、
「ところで君はUFOを見たか?」
旗揚げメンバーの諏訪・永野・上田が今だから語る、ちょっといい話。
インタビュアー:石田剛太

第1回
「だから僕はその夜2回熱い。」


――― 3人だけで話すのって久し振りですか?
3人 ……。
上田 ……石田がいるけどね。
――― いやそれは(笑)。一応3人って設定で。
永野 どうすか?
上田 ……わりと3人になりますよ。
永野 ……気がついたら3人。
――― ポツポツしゃべりますね。
諏訪 気づいたら3人で「あ、UFOメンバーだあ」とか。
上田 (笑)よくお互い言ったりしてる。
諏訪 旗揚げメンバーやあ、とか。
永野 この5年間、何度もそういうフレーズが。
諏訪 やっぱりここでUFOメンバーになるんやな、ってところでなるね。
上田 結局泣いても笑っても最後はこの3人になってるなっていう。
諏訪・永野  (笑)。
――― それはどういう時ですか?
諏訪 ……なんだったっけなぁ?
上田 チラシ配ってる時とか。
諏訪 うんうん。
永野 (笑)大したときじゃないけどね。
上田 でも言っておくと、UFOメンバーは他のメンバーをヨーロッパ企画と思ってないよっていう。
諏訪・永野 (笑)。
上田 最終のところでは。
諏訪 そう、オレらだけいまんとこ5周年だから。
上田 そうゆうところはあるよ。
永野 まだねぇー(笑)、残念ながら5周年迎えられてない人ばかりだから。
諏訪 だから、あんまり感慨がないんだろうな。この辺の企画には。
上田 そうなのかなあ(笑)。
――― UFOメンバーって言ってますが、その3人の旗揚げのいきさつを教えてください。
諏訪 ……いまさらねぇ。
上田 嫌だよ。
――― いやそういう企画ですから(笑)。
諏訪 恥ずかしいよね。
上田 じゃあ諏訪さんから。
永野 まず諏訪さんが上田君に電話したんですよね。
諏訪 再現したいけどなぁ、どんな電話だったかなぁ……。インドから帰って※1すぐぐらいだったよね。
上田 そうですね、その頃に多分、話を投げかけられた。
永野 インド帰りだった、諏訪さんは。
諏訪 丸坊主だったんよね。で、ちょうどその頃上田も西日本を歩いてて※2
上田 (笑)血迷って。
永野 二人の旅人が。
諏訪 二人が夏休みを利用して。
上田 自分をみつめて。
諏訪 (笑)そうそうそう。大きくなって帰ってきた、と。
上田 (笑)うんうん。
永野 あああー。
諏訪 それによって、芝居をやる余裕ができた。っていうのがあったかな。
永野 なるほどねー(感心)。
――― あれ?じゃあ永野さんは?旗揚げメンバーは2人ってことですか?
永野 (笑)いや違う違う。
諏訪 そこで、オレは上田に「学園祭で2人芝居をやりたいんだけど」っていう電話をしたんよね。
上田 自宅の電話にかかってきて。
諏訪 けっこう夜中に。熱い感じで。
上田 うん。
永野 夜中に!
諏訪 恥ずかしかったけど、ちょっとやりたかったから。恥ずかしかった?
上田 いやそんな恥ずかしくなかったですよ。となりに大澤さん※3がいましたからね。
諏訪 大澤いたんだ。それで大澤には言ったの?
上田 大澤さんに、今こういう電話があったんすよって言ったら「いやーいいと思うよー応援するよーこれで小劇でなんか問題あっても僕はずっと友達だよー」
諏訪・永野 あははは(笑)。
永野 もう問題を予想してたんだ(笑)。
上田 すっかり予想されてましたよ。
諏訪 (笑)わかったんだ。
上田 で、夜中にそういう電話があって。しかも「永野君とやりたい」ってね。
諏訪 そうそうそう。上田の方が親しかったから、電話してもらって。
永野 ねぇ、だから3人なんだよ。心配しなくても。
諏訪 3人なんだよ。
上田 (笑)つまり諏訪さんから僕に、熱い電話がかかってきて、で、その後それを受けて、僕が永野さんに電話をしたっていう。だから僕はその夜二回熱い。
諏訪・永野 あははは(笑)。
永野 もう意外だったねだから。
諏訪 どんな感じだったの、永野君は。
永野 僕は?「え!?あの諏訪が!!」って感じかな。
上田・諏訪 (笑)。
つづく
※1 諏訪はインドで赤痢になった。ちなみに永野はその頃奈良で新聞を配っていた。
※2 小劇で音響だった上田は当時音響の先輩と二人で大阪〜大分間を17日間かけて歩いた。が、始めの3日までしか記憶がないらしい。
※3 同志社小劇場の諏訪、瀬戸中と同学年の役者。現在もランニングシアターダッシュで役者として活躍している。

いい話って言っときながら第1回は少しもいい話出てこなかったですね。
これからも多分出てこないですけど、お待たせしました2回目です。
思い出ばなしで盛り上がる3人がダサくてちょっとうらやましい!
インタビュアー:石田剛太

第2回
「こいつはすごい奴だなあと思ってね。」


――― 3人だけだったんですね。
上田 まあ3人でやってたんですけど、正直ラチがあかなかったっていう(笑)。
諏訪・永野 うんうんうん(笑)。
上田 練習どころじゃなかったっていう。
諏訪 ああ、そうよね。チラシの印刷とかも3人で行ってたもんね。
永野 ああ、もうなんか、わら半紙が(笑)。
上田・諏訪 (笑)。
永野 黒インクでべっとりでねぇ、何百枚も(笑)。
諏訪 巻物みたいなのが印刷機からいっぱい出てきてね。
上田 (笑)そうそうそう、紙をちょっと味のある感じにしようって言って、わら半紙でチラシを作ったら。
諏訪 しかも絵面が、夜にUFOを見てるっていうやつだったから。
上田 そういうチラシにしたらね、黒い部分が多すぎて(笑)。
諏訪 (笑)そうそう。
永野 闇だからなあ。
上田 で、印刷するとわら半紙がまるまって出てくるっていう。
諏訪・永野 (笑)。
諏訪 墨で塗られてね、で、一枚一枚広げてそれを(笑)。
上田 そう、棒がいっぱい出てくるんですよねえ、あれにはまいったなあ。
――― 学園祭でやろうっていうのが最初なんですね。
上田 うん。
上田 同志社の学祭ね。
諏訪 なんでその場を選んだかっていうと、……なんだったんだろう、流れかなあ。
上田 いやいや、あれは諏訪さんがそもそも「オレは学園祭で日替わり企画をやろうと思ってる」って、夏くらいに言ってたんですよ。
永野 学園祭でなんかやるって。
上田 そうです。学園祭ありきだったんですよ。
諏訪 へー……。
永野 「へー。」って(笑)。
――― 覚えてないんですか?
諏訪 そうだっけ。
上田 ええ、だって学園祭じゃないと、できる時期なんてないじゃないですか。
諏訪 あああ。
上田 他にやれる場もないし。
諏訪 そうやなあ。
上田 だから学園祭を狙ってたっていうのもありますよ。
諏訪 それで?
永野 (笑)覚えてないんすねえ。
諏訪 じゃ、誘ったのは夏なの?
上田 うん。もう7月くらいの段階で「オレは卒業する前に1回芝居をしたい」と。
諏訪・永野 (笑)。
諏訪 別に卒業なんてしないのに※4(笑)。
上田 学園祭で、30分くらいの芝居を日替わりで上演するって言ってて、その中の1本をよかったら上田くんにも書いてほしいけどね、みたいなことを言われて、「おー。」と思いながら僕は「ああ、いいですよ」みたいに答えて。
諏訪 おー、オレ忘れてたのかなそれ。
上田 で、インド帰りで僕に電話かかってきたときにはもうすでに1本に絞られてたっていう。
諏訪・永野 (笑)。
永野 縮小されて。 
上田 壮大なこと言ってるなとは思ってたんですよ(笑)。
諏訪 日替わりで芝居などね(笑)。
上田 誰とやるんだろうって思ってたんですよ(笑)。
諏訪・永野 (笑)。
諏訪 でまあ、永野と2人芝居をやりたいってね。
永野 そうそう。
諏訪 当時(お互い)奈良に住んでてね※5
永野 そこが唯一の接点で。
諏訪 勝手に仲間意識があったんよ(笑)。
永野 本当ね、去年ぐらいにふとね、(5年前に)誘われて今もまだ諏訪さんとつるんでるっていうのがねえ、なんて縁なんだろうと思ってね。
諏訪 そうよね、縁あるよね。
永野 まさか諏訪さんとずっとねえ。
諏訪 うん。一回永野くんと2人で電車で帰ったことがあって、しゃべるのはそのときがほとんど初めてで、だから永野くんが一回生のときかな、足折ってたから。
永野 ギブスでね※6(笑)。
諏訪 でね、そんときに演劇の話したの覚えてる?
永野 え、どんな話だろう?
諏訪 まず、なんで(同志社)小劇場に入ったんだろうって思ったんよ。
上田・永野 あああ。
諏訪 この人はこんなに情熱があるのに。
上田・永野 (笑)。
諏訪 で聞いたら、もう高校のときから決めてたって。
永野 (笑)あー。高校、浪人時代かなあ。
諏訪 でしかも、「オレはすごい自信がある」って(笑)。
上田・永野 わははは(笑)。
永野 自信があったんだな、あの頃なあ(笑)。
諏訪 「いま足を折っててブランクがあるけども、全然自信がある」って。
上田・永野 ぎゃははは(笑)。
上田 すごいな(笑)。
諏訪 すごいなと思ってね。
永野 けしからん後輩だなあ(笑)。
――― 覚えてます?
永野 いや覚えてないけど、「自信があった」確かに(笑)。
上田・諏訪 (笑)。
永野 徐々に消えていったけどね。
諏訪 こいつはすごい奴だなあって思ってね。
――― それで誘ったと。
諏訪 うん(笑)。
つづく
※4 ほんとに卒業なんてしなくてそれから5年間通った。
※5 諏訪は海に面していない奈良県出身、永野は日本一のピアノ保持率の奈良県で新聞を配っていた。
※6 当時永野は大学の入学式に羽織袴ではしゃいでやろうとたくらんでたが、車にはねられ車椅子にセーターで出た。

大変お待たせしました!もう忘れてました?
ムービーとかムーミンとか盛り上がってますが、ヨーロッパ企画は今年は5周年なんです! 3人の旗上げ秘話が読めるのはヨーロッパキカクドットコムだけ!
インタビュアー:石田剛太

第3回
「初日の客席は一人だったんですよ。」


――― 一緒にやるならこの3人かなって思ったんですね?
諏訪 うん。
上田 でもあれらしいですよ。当時永野さんが小劇場内ではだいぶん花形だったじゃないですか。
諏訪 花形だった。
上田 その永野さんと、あの幽霊部員諏訪※7が。
2人 (笑)。
上田 小劇場内ではもう「諏訪は何を考えてるんだ」って物議かもしてたらしいですよ(笑)。
諏訪 話題性あるよねそりゃ。
――― なんで二人芝居だったんですか?
永野 ああ、(諏訪に)他に誘いたい人いなかったんですか?
諏訪 他にかあ。でも小っちゃい芝居をしたかったっていうのはあるんよ。
永野 あああ。
諏訪 二人芝居ってのは僕が言ったんだっけ?
上田 そうですよ。
諏訪 へー。あ、「笑いの大学」とか影響受けてるかもしれない。
上田 言ってました言ってました。
――― 公演のほうは実際どうだったんですか?
上田 ……点数ってこと?
――― (笑)いやいやいや。
諏訪 かなり高かったよ。
永野 いやー堂々の一位だけどね、いまだに。
上田 少なくとも当時は100点ですよね。
――― お客さんは何人くらい入ったんですか?
上田 お客さんはねー、いやでも確かにね夢はみてたんですよ。
永野 500人呼ぶとかね。
上田 そうそうそう。
永野 学園祭だからそのくらい来るよってね。
上田 旗揚げ公演は(お客さんが)少ないっていうじゃないですか。でも「ものすげえ来てんじゃねえか。」なんて夢みてたら、初日の客席は一人だったんですよ。
2人 (笑)。
――― ええー!?
諏訪 (開演の)ギリギリまで一人だったんよ。
上田 なんかメガネのキャラが。で、これじゃやばいからって、開演直前に呼びかけに行ったのよ。「いまから芝居やりますー200円ぐらいなんでー」って。そしたら10人くらい集まったのかな。
永野 あーそうなんだ。
――― じゃあ芝居の内容はどうでした?
諏訪 さっきからお前の聞きたいのは何だよ。
2人 (笑)。
上田 何を言わせたいんだよ。
――― (笑)いや、まあですから初めてなわけじゃないですか、二人が上田くんの台本をするっていうのは。
永野 ああー、ケツから血を出して書いた本をね。
上田 はは(笑)。
諏訪 いやでもね、上田の台本はやっぱすっげえ面白いなぁってのは、あったよ。
永野 うんうんうん。
上田 あっ、そうなんですか……。
諏訪 うーん。
永野 どう読んでいいか分かんなかったですよね。
諏訪 分かんなかった。最初二人で相談してね。
上田 漫才の台本みたいでしたからね(笑)。
諏訪 役名も「諏訪」「永野」だったしね。
上田 役名を付けるでもなく。
永野 京都駅の大階段で練習したりして。
諏訪 したした(笑)。
永野 どこでも練習できるから、二人だから。
上田 マクド※8でもしましたよね。
永野 あー(笑)。
上田 諏訪さんがね、セリフの合い間にポテトを喰うんよ。
2人 (笑)ははは。
諏訪 覚えてないなー。
上田 永野さんに長いシリアスなセリフがあって、それを永野さんが言ってるときにね、ポテトを。
2人 (笑)。
――― 練習は順調にいったんですか?
諏訪 うん。あ、でもヘコんだ覚えがあるなあ。芝居でカバディをするシーンがあるんだけど※9、カバディの動きが僕は全然出来てなかったみたいで二人にえらい指導されたんよ。
永野 (笑)。
諏訪 もう冷たい廊下で転がってひとり。
永野 あー。
諏訪 二人からもっとこうしたほうがとかいっぱい言われてボロボロになってねえ。田辺の新別館で。
上田 そんなんでしたねえ。
つづく
※7 同志社小劇場では年4回公演を行っているが、当時3回生の諏訪はそれまで4回しか公演に参加していなかった。普通なら12回くらいやってる。
※8 マクドナルドのこと。関西ではマクドナルドのことをマクドという。東京ではマック。広島はマクドナルドと略さず全部言うらしい。

※9

UFOにさらわれてその船内で待たされてて、怖いからカバディしようかといってカバディを始める。という多少無理のある構成だけど、いちばんウケた。

今年は何の年って聞かれてオリンピックイヤーとか言っちゃう奴は帰れ!
そうです、そうなんです!今年はヨーロッパ企画5周年です!感謝!
暑い夏だからこそ読んでください。一番初めのヨーロッパ企画ができたころの若い熱い話です。
インタビュアー:石田剛太

第4回
「 あれがなかったら今がなかったかも 」


――― 芝居の台本を書くのは初めてだったの?
上田 いやいや4作目※10だったから慣れたもんよね。慣れたものとはいえ、……いまだにそうなんだけど一番のピークは第2作なんですよ。
――― え?(笑)
永野 高校時代の?
上田 そんときが一番書けた時期で。
諏訪 「鳥が鳴く街」※11
上田 (笑)いやいや、「8人の入りたいやつら」※12です。
諏訪 ピークだったんだ。
上田 うん、書くのがだんだん遅くなってますもんね。内容的にはそりゃ……よくなってるかもしれないですけど、楽しんで書けたのは第2作までですね。
永野 あああ、そういう意味でね。
上田 UFOのときにはすでに血便を出してましたねえ。
永野 そうなんよねえ、だから僕も台本とか、自分の作・演出の芝居とかやってみたいとか思ってたけど、上田君が現れてからもう……。
諏訪 そうなんよ、僕もそう、作・演出しようと思ってたんよ。
上田 あ、そうなんですか。
諏訪 上田が1回生で入ってきて、「あ、これはもう必要ないな」ってね。
永野 (笑)うーん。こういう人が作家をするんだな、ってね。
諏訪 そうそうそう。
永野 自粛したよね。
上田 え、でも僕の記憶では諏訪さんはヨーロッパの第3回を書こうとしてたんですけど。
諏訪 あー!そうだそうだ!
上田 (笑)なんか無人島の。
諏訪 そう、島の。
上田 潮が満ちてくる、っていう話で。
諏訪 そうそうそう。
永野 (笑)へー。
上田 で僕が、「それはあんま盛り上がんなくないっすかねえ」とか言ったら。
諏訪 (笑)「しんどくないっすかねえ」みたいなこと言われて。
上田 「あー」みたいになって(笑)。
永野 そこで筆折ったのかなぁ。
諏訪 (笑)折ったねえ。
――― 第1回は、ケツから血を出して書いたのにお客さんは一人だったんですね。
上田 そう。
諏訪 でもさっき言うの忘れてたけど、最終日はは100人入ったから。
上田 そう。
永野 100人だっけ。
諏訪 教室がパンパンになったね。
永野 パッンパンになった。
上田 正直、あれはすごかったですよね。
諏訪 パーンってなったね。あれはよかったね。
永野

あれがなかったら今がなかったかも。

2人 ハハハ
諏訪 そうやと思うわー。
永野 原動力になったよね、あれが。
諏訪 でさあ、黒字がでたんよね、予算が3万で。
永野 一人1万くらいだしたのかな。
諏訪 で、3万6千円くらい儲かって。
上田 (笑)そうそうそう。
諏訪 黒字なんよ。それでたこ焼きパーティーしたのかな。
――― 6千円で。
永野 そのときに第2回の話もでたんよね。
上田 でましたねえ。ノリノリでしたからねえ。
諏訪 勢いがあったよね。
永野 あったあった。
上田 ところがこれね、その後2年3年ほど……ずーっとお客さんが(笑)。
2人 ハハハ。
諏訪 ずーっと(笑)。
上田 横ばい(笑)。※13
諏訪 第2回公演で「4人」をやろうとしてたときが、いちばん勢いがあったんだけど。
上田 なんかつぶされたんですよね。※14
諏訪 そう、それがつぶされて、仕方ないから数ヵ月後にこそこそと。
永野 野外にテント張ってね。「翼よごらん」を。
諏訪 うん、そのときにしょうもなくなったんよ。
2人 ワハハハ。
上田 (笑)え?何が?
諏訪 メンバーとか。「4人」では最高のメンバー※15だったのに、なんかいっぱい入ってきて、玉田とか(笑)。
上田 (笑)あああ。
――― 3人だけで続けるっていうのはなかったの?
諏訪 それはなかったかな。
上田 だってすでに瀬戸中さんとかいたからね。第1回でも、実はスタッフとして。
諏訪 舞台美術したいとかって。……とんでもない舞台作られたけどね(笑)。
――― どんなだったんですか?
諏訪 UFOの船内っていう設定だったから、床とか銀色にしてくれるのかなとか思ってたら。
永野 じゅうたん敷きだしてね(笑)。
上田 しかも会場が教室だったから、舞台会議で「この教壇そのまま使ったらいいかなあ」とか(笑)。
2人 ハハハ。
上田 「黒板に星描いたらいいかなあ」とか(笑)。
2人 ワハハハ。
永野 すごいなあ。
――― 永野さんは何やってたんですか?
永野 僕、舞台監督。
諏訪 そう。それがねえ、早く帰る舞監でね。
2人 ハハハ。
永野 仕事あるから。新聞配るから(笑)。
諏訪 新聞配達ですぐ帰っちゃうんよ。
永野 苦学生でね
上田 いやでもそういう意味でもかなり熱かったんよ。旗揚げ公演は。
諏訪 永野くんの家でも練習したもんね。
永野 そう、奈良で。
上田 だから第一回はもう熱かったんよ、とにかく。でも二回目で野外で(笑)。風とかいっぱい吹かれて(笑)。※16
2人 うんうんうん(笑)。
上田 1回生の酒井に「いままでで5本の指に入るくらい面白かったですよ」とか言われて。
2人 ギャハハハ。
諏訪 なんやあいつ、みたいになってな。
上田 「結構面白いっすねえ」みたいなこと言われて。
諏訪 いやあの頃から酒井はひどかったなあ。
永野 (笑)なぜ入れたんだろう。
諏訪 その頃同志社小劇場入ってきたのが酒井とかで。新歓コンパみたいので酒井が一発芸してダメだったんよ。
上田 えー覚えてないなー。
諏訪 僕らよく新歓コンパで、新人のレベルを見るために一発芸をさせてたんよ。それで上田たちの頃は上田がダントツで面白かったんよ。
永野 そうなんだ。
諏訪 石田と藤本が最悪だったんよ。
永野 藤本(笑)。
上田 藤本(笑)。※17
諏訪 (笑)藤本のしょうもなさといったらとんでもなかったんよ。
上田 前髪命の人。
2人 (笑)フフフ。
上田 セットした前髪を、秦さんに前髪くしゃっとされてやめてった人ですね。
2人 (笑)ハハハ。
諏訪 で、それを酒井君にも試したら、傘で「パラボラアンテナ」とかやったんよ。なんか憎たらしくてね。
上田 ノリノリだったから、酒井君は。※18
永野 それでそのあと、「ヨーロッパに入りたい」みたいなこと言ってきたんですよね。
諏訪 ノリノリで。
上田 なんで入れたんだろう(笑)。
つづく
※10 高校時代に「鳥が鳴く街」「8人の入りたいやつら」「翼よごらんあれが恋の灯だ」とすでに3作も書いていた。
※11 世にも奇妙な物語のパクリみたいな内容の芝居。部屋に死体があってそれを始末するんだけど鳥が鳴いたらまたもとどおり部屋にその死体が…みたいな世にも奇妙な話。

※12

「12人の入りたいやつら」をタイトルだけパクった芝居。部屋に爆弾があってカウントダウンされててその部屋からは出れなくてでも7つロッカーがあってそのロッカーに入れば助かるんだけどでも8人いてみんな入りたい。という感じの面白そうな話。
※13 学内のホールでずっとやってたしチラシとか白黒だしやっぱり学内で配ったりしてたしそりゃ誰も来ないわな、といまになって思う。
※14 はじめは「同志社小劇場プロデュース」だったのに「同志社小劇場プロデュース・ヨーロッパ企画」って名前つけてみたら無茶苦茶怒られて公演をうたせてもらえなくなった。
※15 諏訪、永野、瀬戸中、石田と秦誠二郎という小劇場の先輩の5人という当時の自分たち的には最高のメンバー。
※16 田辺は山の上だから風がいっぱい吹いててブルーシートで作ったテントが風邪でうるさくてセリフとかまったく聞こえてなかったみたいです。
※17 前髪が命の人。
※18 大学入学したての酒井は無敵のようにノリノリで帽子をのんき君のようにかぶっていた。

なかなか熱い話になってきました、5周年対談です!
みんなが芝居を始めたきっかけとヨーロッパ企画って名前の由来と。
これを読めばみんなヨロヲタだ!
インタビュアー:石田剛太

第5回
「なんか「パ」が面白いとかってなったんじゃないっけ?」


――― 上田は役者やる気はなかったの?
上田 僕は高校のとき一回、自分の書いた台本に、タモリっぽいストーリーテラー役で出たことがあって。そんときに僕自身は、すごくストーリーテリングしてる気持ちだったんだけど、なんか客席からみたら口をパクパクしてるだけだったっていう。
2人 ハハハ。
上田 セリフが聞こえないと。
永野 あー。
上田 そんなことないだろうと思って、あとでビデオとか見たら、やっぱりなんかつぶつぶ言ってて、これはもうやめようと。
諏訪 もうじゃあ、そのときからやる気はなくなったんだ。役者は。
上田 もうすっかり失せましたね。
諏訪 演劇やろうと思ったのはなんで?
上田  なんだろうなー。
諏訪 作家志望で入ったの、小劇場には?
上田  そうですねえ。
永野  へー。
上田 っていうか、そもそもは正直ミュージシャンになりたかったんですよ。
2人 ハハハ。
上田 その前はゲームプログラマーになりたかった※19んですよ。ゲーム好きで、パソコンでいっぱい作ってたりして、でもこれはちょっとしんどいなって思って。
諏訪 しんどかったんだ。
上田 しんどかったんですよ、泣いたりしてましたもん。
永野 えー(笑)。
諏訪 趣味で作ってんのに?(笑)
上田 ちょっと苦しくてねえ。中、高くらいでね。
永野 すごいなあ。
――― 何からのプレッシャーだよ(笑)。
上田 (笑)うーん。これはちょっと精神的にもしんどいなって思って、でやっぱり音楽だっていうことで、曲とか作ってたりもしてた※20んだけど。
諏訪 ええー(笑)。
上田 でも、やっぱりいっこうにラチがあかんわけですよ。いい曲ができんわけですよ。
永野 あああ(笑)。
諏訪 分かるんだ。いい曲じゃねーなー、みたいな。
上田 分かるんですよ。なんかの機嫌をみながら僕は曲を作ってる感じだったんですよ。
永野 あー(笑)。
上田 音楽にあこがれてる人の曲だったんですよ。
諏訪 はあはあはあ。
上田 でも、高校のとき初めて芝居を書いたときに、結構まあ、何も考えずに書けたというか。
諏訪 ほー。
永野 ほー。
上田 割とスルッと書けたんですよ。
諏訪 芝居向いてるなーと。
上田 そうですねえ、音楽向いてなかったんだー、と(笑)。永野さんはなんで芝居を?
永野 僕は、もともとお笑いを目指してて。
諏訪 おー。
永野 お笑い芸人になろうと思って、けどテレビとか見てて、もうなんか向いてないっていうのが分かったんですよ。っていうか自信なかったんですよ。あそこまで常におもしろくいられるっていう。
諏訪  ハハハ。
永野 そんときにラジオで演劇の世界を知って、劇団新感線に入ろうと思ったんですよ。いまだにまだ観れてないんですけど。
2人 ハハハ。
――― 観たことないのに入ろうと思ってたんですか?
永野 うん(笑)。古田新太さんのラジオを聞いて、面白そーと思って。
諏訪 あー。
――― ではヨーロッパ企画の名前の由来を教えてください。
諏訪 あれ、なんで諏訪さんには聞かないの?演劇をはじめたきっかけを。
2人 ハハハ。
――― (笑)え?いやなんか、別にそういう流れでもないのかなーと思って。
諏訪 聞いてよー。
上田 (笑)。
諏訪 僕はあれよ。浪人時代に予備校の先生が演劇をやってた※21りして、それで大学の演劇っていうのが、すごいアンダーグラウンドなイメージがあって。
上田 ああ。
諏訪 濃いんじゃないかなーって思って。
永野 あー。
諏訪 お笑いとかにも興味はすごいあったけど、やろうとは思わなかったかなー。
永野 僕はでも、お笑いやりたいって思ってながら、大学入った当初はかなり熱い芝居を。
――― 僕もお笑いやりたかったん……
諏訪 なになになに、急に。
永野 お前棒だろ。
上田 (笑)。
諏訪 棒が語り始めたらお前(笑)。
――― いやいやいや(笑)。
上田 棒がアイデンティティを。
ハハハ。
――― では、ヨーロッパ企画の名前の由来をじゃあ。
諏訪 もうね、全部言っちゃうと、まあ最初のころ、劇団名つけようってことになって、上田が「カタカナっていいっすよね」みたいなことを言って。
上田 そうそうそう(笑)。
諏訪 演劇ぶっくとかみていろんな劇団名を探したんよ。
永野 ええ。
諏訪 で「劇団プール」っていうのがあって、かっこいいなあとか言ってたんよ。
上田 言ってましたねえ。
永野 それで、まあ僕らの候補としては、「ナサ」とかね。
諏訪 あったあった。
永野 あと「アイテム」とか。
上田 (笑)最悪ですねえ。 
諏訪 あと、瀬戸中がカタカナっていってるのに「おかあちゃん」とかね。
(笑)。
上田 そんな中、なんでか分かんないですけど、「犬」っていうのが面白いってなったんですよ。「犬なんとか」にしようって。でいろいろ言ってて、諏訪さんが「犬ヨーロッパ」って言ったんですよ。
諏訪 あああ。
――― なんでヨーロッパなんですか?
諏訪 分かんないんよ。
上田 なんか「パ」が面白いとかってなったんじゃないっけ?
永野 あ、それはもう煮詰まってんなあ。
2人 ハハハ。
永野 「パ」がおもしろいって言いだしたら(笑)。
上田 それでまあそのうち、諏訪さんの口から「ヨーロッパ」っていうのが出て、みんな「いいんじゃない」ってなって、もう「犬」いらないみたいになって。
諏訪 (笑)何の会議よ。
上田 そんな感じで、わりと満場一致で「劇団ヨーロッパ」になったんですけど。でも「劇団」ってのは風当たり的にね。
諏訪 風当たり気にしたね。劇団内で「劇団」っていうのがかなりまずいなって(笑)。
上田 同志社小劇場にいるのに「劇団」はないだろうってことで、「ヨーロッパ企画」。
――― あー。
諏訪 そんときの会議は夢にあふれてたね(笑)。
永野 あふれてましたねえ。
諏訪 どんな芝居やっていこうかって、色んなプランだしあって。
上田 うんうんうん。
永野 風呂でやろうとか。
諏訪 (芝居中に)出前取ろうとか。
上田 動物だそうとか。
諏訪 で、そんなとんがった流れの中、第2回のテント公演が(笑)。
2人 ハハハ。
上田 とんがってロクなことないですねえ。
つづく
※19 上田は小学6年の文集に「ゲームプログラマーになりたい」、中学3年の文集に「任天堂に入りたい」とそれぞれ書いている。
※20 約30曲のオリジナル曲をもつ上田は、今でも一人で歌うとき、たまにそれらの曲を歌う。バレないように、他の曲におりまぜる。

※21

諏訪が丹原さん※22と出会った予備校の先生は、「第2劇場」という劇団の代表だった。
※22 「サマータイム」のカッパ様や、「ムーミン」のビラのジオラマ、その他いろんな物を作ってくれるヨーロッパスタッフ。元は諏訪の予備校時代の友達。

一年にわたって連載してきたこの対談も今回で最終回です。もう六年目になっちゃいました。
最終回はちょっと実験的なぶっ飛んだテキストにしたかったけど、(すべて白紙とか匂いが出るとか)いつものように相も変わらず三人のよもやま話しなわけでして。

インタビュアー:石田剛太

最終回
「ヨーロッパをこの五年間から抜いたらなんもないからね。」

――― どうですか、5年間を振り返ってみて?
上田 どうと言われてもねえ。
2人 うーん(笑)。
諏訪 まあ節目とは思ってないからね。素数だからね。
――― じゃあなんで旗揚げメンバーでしゃべるとか言い出したんすか(笑)。
上田 十年だったらねえ、まだわかるけど。
諏訪 奇数だしなあ。
上田 次の公演ひかえてるしなあ。
諏訪 いまおしっこしたいしなあ。
――― (笑)じゃあこれやんなくても。
諏訪 一昨日とかもこの三人だったしなあ。
永野 まあ毎日会ってるしなあ(笑)。
――― 最後の質問ですから。
永野 あ、最後の質問これ?
――― そうです。そして今後どうなっていくか、みたいな。
永野  いや、激動の5年間だったけどね。
諏訪 俺は、第二回と第四回をやらなかったらもっと近道だったかなと思ってる。
ははは。
永野 (笑)え?第四回と……(笑)。
諏訪 うん。近道だった(笑)。
永野 「翼よごらん」と……(笑)。
上田 第六回をやらなかったらさらに近道だったなと。
2人 (笑)。
永野 (笑)「サウダージ」。
諏訪 「サウダージ」は良かったんじゃない(笑)。
永野 「ユリゲラー」と「ヨーロッパ企画」と「サマータイム」やっときゃよかったよね。
ぎゃははは。
――― もっとなんかあるでしょう。やらなきゃよかったって(笑)。
上田 (笑)いやでもずっと(ヨーロッパ企画の活動を)やってたからね。別にだってヨーロッパをこの五年間から抜いたらなんもないからね。
諏訪 うーん、なんもないよね。
上田 五年間なんもやってない。だから五年間振り返ってどうですかっていわれるのは、お前の五年間はどうだったんだ、っていわれてることになるね、ようするに。ヨーロッパの五年間というより。
永野 あああ。
諏訪 おお……。名言が出たな。
2人 (笑)。
諏訪 それを超える(名言は)のは無理やな。
――― では今後は?
諏訪 今後も俺はヨーロッパしかやっていかないから、もう、それ、その、今後のヨーロッパを聞いたら、おれの将来はどうですかって言ってるようなもんだから……(笑)。
2人 (笑)。
―――  笑)いやそれ聞いてるじゃないすか。じゃあ永野さんは?
永野 今後?そうだねえ……。僕はもうヨーロッパしか出ないから、ほんとに。うん。命捧げます。
2人 (笑)。
諏訪 でも、あと五年で解散っていう噂が。
永野 あああ。十年以上やんのは、っていうラーメン屋でした話し※23があるからな。
――― え?あと5年で解散?
諏訪 いや正直解散は哀しいよ俺は。
ハハハ。
――― じゃあ(解散を)やめたら。
 
ちょっと少なかったんでおまけです。
上田 えー。おまけの6周年対談。
永野 6周年……。
上田 最終回がなんかえらい短かったんで。
永野 石田君の配分ミスでね(笑)。
諏訪 ねえ、ついに1年経って。これ別に1年対談してるワケじゃないけどね。
ははは。
上田 1回話しただけなのに。
永野 30分くらいの話が。
上田 1年にわたってね。しかも写真だけ毎回撮りなおすから、毎回喋ってるみたいで嫌でしたよね。
永野 ……6年目ということで。
諏訪 なに喋ってたか忘れた。
永野 なんか、解散するとかそういう。
――― 10年後に解散するっていう最後の……
上田 なんでまた石田が入ってきたん?
――― いやいや、インタビュアーになってるから(笑)。
上田 棒は。
諏訪 棒は黙れ。
――― (笑)棒だって喋るよ。
永野 棒は棒でしかない。
上田 なんで盛り上がってる時に棒が入ってくるんだよ。
永野 10年後、解散するか否か。
諏訪 俺には分からん。
ははは。
諏訪 まあ、成り行きでやります!
永野 ズルズルやります!
上田 ははは。
諏訪 結局、何年経ってもやってる。
上田 辞められなくて35歳とかでもやってる(笑)
永野 ん、ね、まあ、けど5周年対談のときよりなんかちょっと輪郭見えてきたね。
上田 あと4年ですからね。
諏訪 あの時はちょうど車に乗ってて道にも迷ってたし。
永野 なんかねえ。
諏訪 人生にも迷ってたし、道にも迷ってた。
永野 (笑)迷ってたと思いますよ。あの頃は。
上田 4年なんてあともう日暮巡査が1回寝るあいだ。
ははは。
上田 日暮熟睡男が※24
諏訪 あと4年で10周年?
永野 10周年。
上田 パーティーでもしましょうか。
諏訪 盛大なパーティーでも。
上田 鍋パーティー。
永野 いろんな肉ぶち込んでね……おいしい(笑)。
上田 いろんな鍋がいいな。
諏訪 鍋いっぱいパーティー……(笑)。
永野 腹ごしらえしよう。ね。
――― (笑)。まあじゃあ、こんな感じで。
諏訪 あと、さっきね、たまたまUFOのビデオ見てたんだけど、石田くんが「何やこれ、あっつい演技してるわー。ワハハー。」みたいな。
永野 嫌味を言ったと(笑)
上田 あらら?
諏訪 ちょっと許せなかったですけどねー。
上田 そんな石田の1回生の時の芸名は“石田弐成”でしたけどね。
――― このおまけやらんでよかっただろ(笑)。
終わり
※23 たぶん二条の天下一品。
※24 亀有公園前派出所の警官。物ぐさが高じて四年に一度しか出勤しなくなった。別名“オリンピック男”。人の数百倍カンがよく、念写による予知能力を持ち、出てくるたびに難事件を解決するのでクビにならない。ニコニコ寮の自室でただ寝るだけの生活を続け、ある種の名物になっている。一度二年目で起きてしまったことがあったが、超能力で暴れまわり手がつけられなかった。本当は丸々と太っているが、四年寝てる間に栄養を使い果たすので痩せてしまうのだ。家族全員同じ体質でいつも寝ているらしい。とカメダスに書いてました。