[ヨーロッパスタジオ]>[スタジオバックナンバー>[上田誠の1日20時間はゲーム 第1回]



上田誠(うえだ・まこと):ヨーロッパ企画代表、劇作家。高校2年の学園祭で童貞作「鳥がなく町」を発表、小喝采。以後、劇作に目覚める。
そして、それ以前は8ビットパソコン「MSX」のゲームプログラマー。
上田の知られざるマイコンゲーム作家時代のオリジナルへっぽこ作品群を、よせばいいのに今さら蒸し返して紹介するこのコーナー。
開けても何のメリットもない引出しが今ごろになって開かれる。


第1回「地震雷火事親父」
第2回「カンボジア」
最終回

第1回「地震雷火事親父(’95)」

2人の主人公「たろう」と「じろう」が、地震・雷・火事・親父の4つの技を使って決闘する、2人プレイ専用のコマンド入力型対戦ゲーム。戦いは攻守交替制で進み、先に相手側の体力を0にした方の勝ち。

4種類の攻撃と防御からなる、いわばジャンケンのようないたって簡素なゲームシステムであるが、攻撃にはそれぞれパワーが設定されており、エネルギーを溜めて一気に大ダメージを与えることができるなどの何とも憎い工夫がなされている。これによって勝負にさらに駆け引きの要素が加わり、プレイにより一層の緊張感を与えている。

また、戦いをドラマチックに演出する実況メッセージや、決闘という血なまぐさいモチーフを「ほのぼの」に昇華させる牧歌的なグラフィック、なかなか凝ったタイトル画面など、システム以外の演出面に関してもデザイナーの細やかな気配りが随所に散りばめられている。

ウェルメイドな良作である。




[INTERVIEW]

――よろしくお願いします。
上田 よろしくお願いします。
――パソコンゲームなんか作ってたんですね。
上田 そうなんですよ。中学1年から高校ぐらいにかけて。パソコンっていっても、普通のテレビにつないで使うオモチャみたいなやつなんですけど、MSXっていう。
――オタクだったんですか?
上田 違います。でもそう思われるだろうなという自覚はあったんで、極力そう思われないように努力は怠りませんでした。
――例えば?
上田 まあ、ダイエットしたり、ファッション雑誌を読んだりとかですかね。あとはデニムシャツを着てる人と一緒に遊ばない、とか。
――第1回ということで、「地震雷火事親父」ですが。
上田 これは高校1年ですね。パソコン雑誌にも掲載された、僕の代表作です。
――変わったタイトルですね。
上田 僕のはそういうのが多いです。これもタイトルから思いついて作ったんだと思います。
――本作のウリは?
上田 ずばり「対戦」ですね。
――対戦専用のゲームなんですね。
上田 やっぱ人間だろう、と。コンピューターに勝ってもうれしくないでしょう。
――なるほど。このゲーム、2人ともキーボードから入力するんですか?
上田 ええ。インターフェイスはあくまでシンプルに。
――これだと相手に手元を見られたらゲームにならないですね。
上田 それは、ええ。だからまあ手元をうまく隠すとか、あとやっぱり相手もそこは見ないようにしないと駄目です。紳士に。
――なぜ「たろう」「じろう」なんですか?
上田 本当は好きな名前を入れられるようにしたかったんですけど、処理がややこしかったんでこうなったというのが実情ですね。結構難しい処理なんですよ。本当に。
――体力が60っていうのは多すぎる気がしますが。
上田 まあ、じっくり遊んでもらおうと。
――雷に対する防御が「腹這い」というのはうまいですね。
上田 これいいでしょう。「へそかくし」にしようかとも思ったんですが、絵的に地味だったのでこっちにしました。
――親父への防御が「鏡」というのは納得いかないんですが。
上田 まあ、あれですね。自分の怒鳴ってる姿を見ろと。いう感じですね。
――みっともないぞと。
上田 そうですね。すいません。やっぱり鏡はおかしいですね。思いつかなかったんです。
――攻守交替の曲はファミスタですよね。
上田 ええ。オマージュです。
――なるほど。最後にこのゲームについて言い残したことはないですか?
上田 まあ、そうですね。作るのに時間がかかった割にはあんまり面白くなかったですけど、まあでも動きがかわいいですね。動きですねこれは。あと音と。音もいいです。
――ありがとうございました。
上田 ありがとうございました。


[CROSS REVIEW]

実は対戦相手との心理バトルゲーム。
後半に進むにつれ、与えるダメージも大きくなっていき、とってもスリリング!
作者の上田くんに僕が勝った。
3点
対戦相手を演技で誘導する。もしくは完全にポーカーフェイス。
とにかく相手の本音を読ませないことが肝心要のこのゲーム。
レスポンスの悪さも味といえば味・・・?
8点
深層心理を深くえぐってくる。バトル中は一瞬の雑念も許せない。
手に汗をかく暇もない。ただテンポの悪さが今の時代にマッチしてない。
この作品にハマったら人間駄目になると思い、遊ぶのは老後の楽しみにとっておく。
6点
凄く可能性を秘めたゲームだと思ったね。
対戦相手の表情、言葉、動きすべてを汲み取って進めていくゲーム展開は他に類をみないね。
強いて言うならUNOとか、大富豪ね。パーティの一角で盛り上がること間違いなし。
8点