[ヨーロッパスタジオ]>[スタジオバックナンバー>[上田誠の1日20時間はゲーム 最終回



上田誠(うえだ・まこと):ヨーロッパ企画代表、劇作家。高校2年の学園祭で童貞作「鳥がなく町」を発表、小喝采。以後、劇作に目覚める。
そして、それ以前は8ビットパソコン「MSX」のゲームプログラマー。
上田の知られざるマイコンゲーム作家時代のオリジナルへっぽこ作品群を、よせばいいのに今さら蒸し返して紹介するこのコーナー。
開けても何のメリットもない引出しが今ごろになって開かれる。


第1回「地震雷火事親父」
第2回「カンボジア」
最終回

最終回

  ――:いよいよ最終回ということで。
上田そうですね。人気なかったですね。
――:打ち切ってしまおうと。
上田ええ。結構いい企画だと思ったんですけどねえ。
やっぱりこういうキャラはよくないみたいですね。
というわけで、今後1個1個紹介して行く予定だったゲームを、
もう一気に総ざらえしていきたいと思います。
――:ダイジェストで。
上田ええ。大放出です。めぼしい物を10本。
でしかも、今回はクロスレビューもありません。みんなに面倒くさがられるので。
――:じゃあもうどんどん行くと。
上田どんどん行きましょう。

SLIME−RACE ('94)


スライムが主人公のレースゲーム。
各コースごとに、恋人からアドバイスがもらえる。
終盤は、ライバルの黒いスライムと一騎打ちするというドラマチックな展開に。
上田というわけで、まずはこれですね。
――:これは、レースゲームですね。
上田ええ。結構はじめの頃に作ったやつです。
バイクマンガの世界をかわいくした感じを目指したんですけど、別にでしたね。
――:というか、難しいですね。
上田そうなんです。テストするのも僕なんで、どうしてもやってるうちに上手くなっちゃうみたいですね。
見た目とは裏腹にすごく歯ごたえがあるという。ギリギリの時間設定になってます。
――:ライバルの黒スライムがムカツキますね。
上田海に落としてくるという。こいつが一応、恋敵という設定になっていて、
ここだけは今見てもいい展開ですね。次行きましょう。
――:テンポよく。

ガvsム ('95)


ポンキッキ風キャラ「ガ」と「ム」が、互いを海に落としあうパズルゲーム。
高いところから踏みつけたり、壁に押し当てたりしても勝ちとなる。
――:これはガチャピンとムックですか?
上田まあそう言ってしまうと身もフタもないですけど、そうですね。
2人用で、一手ずつ進めていくタイプのボードゲームです。
歩いた後ろに石柱ができていくという。
――:動きがなかなかいい感じですね。
上田結構絵に苦労した気がします。ただ、死角の関係で、石柱を低くせざるを得なかったのが悔しいですね。
――:もっと高くしたかったと。
上田ええ。ダイナミックに。
――:いつまでたっても決着がつかないですね。
上田その辺のバランスはもう最悪ですね。1ゲーム30分ぐらいかかります。
――:ルールを練り直さないとダメですね。
上田必勝法とかある気がするし。見切り発車でしたね。まあ、次行きましょう。

ゲームの鬼 ('93)


難易度の高さがウリのアクション。
主人公「鬼」が、島をピョンピョン渡っていく。
進むにつれて、島は限りなく狭くなる。
――:これって「カンボジア」じゃないですか。
上田そうなんです。同じプログラムを使っていて、つまりあれの逆ですね。
島に乗るという。同じ日にできました。
――:タイトル画面がそのままゲーム画面なんですね。
上田そうですね。今見るとヘンですね。
――:あと、やっぱり相当難しい。
上田馬鹿じゃないかと思いますね。僕意外誰もプレイできない。
これはテストして初めて気付いて、もう本当にどうにもならないので、
タイトルを「ゲームの鬼」にしたんだと思います。主人公に角をつけたりして。
――:赤くして。
上田ええ。もうその難易度をウリにしようと。で、次なんですけど。

ゲームの鬼2 ('93)


地底にさらわれた仲間を救うべく、洞窟内を探検する。
5ステージごとに、仲間と再会するムービーが見られる。
――:「2」ですねえ。
上田ええ。「ちていにつれさられたなかまをすくえ!」という、間延びしたサブタイトルがついてます。
――:偶然生まれた主人公に続編ができたと。
上田ええ。マリオみたいなもんですね。
――:これも難しいですけど、結構しっかりしたゲームですね。
上田ええ。「2」が一番ちゃんとしてると思います。
「鬼」シリーズはこのあと「5」まで続くんですけど、「5」なんてもう、文字だけのゲームです。
ダメなので紹介しませんが。
――:一体誰に向けて作ってたんですか?
上田そう言われるとつらいですが、多分本当、何も考えずに作ってたんだと思います。
――:発表の場もなく。
上田そうですね。友達にやらせたりとか。何やってんだって感じですね。
まあ、次行きましょう。どんどん行きましょう。

ジンとリー ('94)


陣取りゲーム。
すごい早さで動くカーソルを目押しで止めて、自分の色を塗る。
ただそれだけのゲーム。
上田これはもう、陣取りですね。その名の通り。
――:ダジャレですね。
上田ダジャレです。タイトル先行です。またしても。
――:そしてあんまり面白くないですね。
上田そりゃもう、それなりの出来です。愛がない。
こんなのは他にもいっぱいあります。
――:じゃあもう、次ですか。
上田ええ。チープなのが続いたので、ここらで大作を一発。

グルメ野郎オポス〜おにぎり編〜 ('95)


RPG風アドベンチャー。
主人公「オポス」が、伝説のおにぎりを求めて旅をする。
途中ミニゲームが入ったり、総勢20人のキャラが出て来たりと盛りだくさんな内容。
――:これは、小気味よいですね。
上田これいいでしょう。どうでもいいアドベンチャーゲームを作ろうと思って企画しました。
――:瀬戸中さんのゲームブックみたいな感じですね。
上田ええ。あれのキャラがピコピコ動く版というか。
結構友達ウケもよくて、シリーズ化したかったんですけど、結局これ一作で終わってます。
――:「オポス」というのは?
上田これは、猿の「オポッサム」から付けました。図鑑で見て、何となく語感がよかったので。
ここからしばらくは「オポス」シリーズが続きます。いい主人公ができたという感じですね。
――:でも、「地震〜」の「たろう」「じろう」と同じ絵ですね。
上田これはもう、しょうがないです。限界です。黒いキャラ。
ちなみに、「ロードランナーズ・ハイ」のビラ裏にもいます。
で、次ですね。

オポス&サムのゴーストバスターズ ('95)


2人プレイ専用。
「オポス」と「サム」の2人が、おばけを挟んで退治する。
何もない草原でUFOを挟むという最終面が圧巻。
――:「サム」が出てきましたね。
上田赤いのがサムです。一応男ですけど。
――:このゲームも結構いいですね。
上田 敵に触れても死なない、というのが画期的な気がします。
だんだんこなれてきた感じがありますね。ただやっぱり相変わらず難しいですけど。
――:4面のフランケンシュタインが強すぎますね。
上田そうですね。っていうか、もうすでにゴーストバスターの範疇じゃないですね。
――:「透明人間」も反則な気がします。
上田本当に透明ですからね。作るの楽でした。
――:UFOは攻略不可能ですね。
上田もうUFOの方から挟まりにきてくれるのを待つしかない感じですね。どうもできないです。
やっぱりあんまりいいゲームじゃないですね。バランス悪いです。遅いし。次です。

オポス&サムの日本縦断 ('96)


日本各地のミニゲームをこなして、北海道から沖縄を目指すバラエティゲーム。
ミニゲームは他に「わるいこはいねがー」「ぎんがてつどうのよる」「かみつきシーサー」など。
――:これはパーティーゲームですね。
上田一見面白そうに見えるけど、1個1個のミニゲームのクオリティが低いのでつまんないです。
――:11個とはずいぶん減りましたね。
上田それでも相当きつかったと思います。当初は本当に47個ゲームがあって、  色んなルートをたどって行けるようにしたかったんですけど、土台無理な話でした。
――:大阪の「つっこみのほしになるんや」というゲームは、今ゲーセンで流行ってるあれと同じアイデアですね。
上田びっくりしました。惜しいことをした。ただこっちは作りが甘い上に、問題数も20問しかないですけど。
――:そして、そのうちの10問が出るという。
上田ええ。なんで、すぐ同じのが出て興ざめですね。
――:「サツマイモおならジャンプー」はいいですね。
上田これだけいいですね。鹿児島の。タイトルはしょっぱいですけど。
ただ、誰もここまでプレーしてくれません。そもそもヒグマが強すぎて。
――:北海道から一生抜けれないという。
上田ええ。本土に行けない。オポスシリーズはとりあえずこれで終わりです。

THE CHANGE OF 参勤 ('96)


ドラクエ風の10人編成パーティで江戸を目指す、参勤交代アクションゲーム。
先頭のキャラによって、スピードアップしたり、船に乗れたり、墓場を通れたりする。
上田これは実は、今でも密かにうまくやれば商品化できるんじゃないかと思ってるんですけど。
――:参勤交代ですか。
上田ええ。思いついたときは「これだ!」みたいになって、それから一気に作りました。
けど、いざやってみると何というか……。
――:コントロールできない。
上田ええ。大名行列のスピードが速すぎて。でも、かといって遅くするとバカバカしさ半減だし。
すごい速い大名行列をにょろにょろ操作しつつ、並び順をバシバシ変えまくってパニクる、みたいなゲームです。
――:怒涛のテンションですね。
上田馬を先頭にしたときなんてもう、速すぎて狂騒状態です。
――:虚無僧の役割がよくわかんないですね。
上田僕も今やったけど分かんないです。なんかあったはずなんですけど。何だったんだろう。
――:で、いよいよ最後ですね。

ROBOY ('96)

博士がロボットに色んなことを教える、ゲームというよりインタラクティブノベル。
会話の選び方によって、数十通りのエンディングがある。
上田一応、これが最後のゲームです。高校2年のときですかね。
――:字ばっかりですね。
上田ほとんど字です。動きとかはほとんどないです。
いちいち博士がロボットに踏まれるのがいいなと思って作りました。コントですね。
――:恋するラストがいいですね。
上田あれ照れくさいですね。逆に小鳥をひねるラストとかがショックです。さっきうっかりそれになってドキッとしました。
――:で、これを最後に、ゲーム作りをやめたと。
上田そうですね。というより、この前後に学園祭の芝居を書いたりして、そこからはもうそっちに、という感じですかね。
――:なるほど。

●総括

  ――:どうでした?
上田いやもう、本当何してんだって感じですね。全体的に。不毛というか。
この場で発表できてよかったです。ほっとしてます。
中学〜高校の頃の自分に、やっと借りを返せたな、みたいな。
――:というか、一作品あたり今回ぐらいの分量がちょうどよかったのかも知れないですね。
上田それはそう思います。過去2回、思い入れが強すぎて必要以上に語ってしまいました。反省してます。
まあけど、これもあってのヨーロッパ企画、というのを知ってもらえればという気持ちですね。
――:だけどこれでコーナーがなくなっちゃいましたね。
上田いやいや。そんなことないですよ。
――:え?
上田新しく始めますもん。
――:というと?
上田いつまでも過去を振りかえっててもしょうがないでしょう。
――:ってことは……?

上田誠の一日最低20時間はゲーム・完