[ヨーロッパスタジオ]

はじめに
オセロは運だ、と思ってた僕に衝撃が走ったのは上田に10連敗くらいした時だった。10回連続で負ける確率を”オセロは運”説で計算すると2分の1の10乗で1024分の1。運説を証明しようと試合を重ねれば重ねるほど、”オセロは実力”だなとう確信。そしてその時僕の道は決まった。オセロ道。そこにオセロがあるから僕はオセロをやる。生活にオセロを取り入れるのではなく、オセロで生活する。オセロで食う。
その頃僕と同じ道を志した男がいた。ライバル永野宗典である。

僕は小学生の頃オセロクラブにいたことがありました。中学の時もそういえばオセロクラブにいたことがありました。別に熱心にオセロに打ち込んでいた訳じゃなかったですけど、オセロはずっと僕の身近なところにありました。そして今も僕の目の前にオセロがポツンと置いてあります。こいつ(オセロ)はひょっとしたら僕の生きてきた人生の後ろをずっと付いて来ているのかもしれません。あるいは盤面上にいる僕をひっくり返そうと、石たちがパタンパタンと僕に迫ってきてるのかもしれません。僕はひっくり返されないように、自分を守るために、戦うしかありません。自分が自分であるために、僕はオセロをやり続けていこうと思うのです。



第1回 2003年10月24日(金)
 永野1勝:諏訪0勝
38
「オセロ弱いヤツは頭が弱い。」
26
「絶対永野は僕の見てない隙に!この!イカサマ!野郎!」

第2回 2003年10月25日(土)
 永野2勝:諏訪0勝
35
「俺には2つの奥儀がある。
 俺に勝てるまでそうやって精一杯吠えてな!」
29
「いくらオセロ強くたってお前、フリーターじゃねーかよ!」

第3回 2003年10月25日(土)
 永野3勝:諏訪0勝
46
「ラーメン食べながらやって勝った。
 スワ氏は回を重ねる度に弱くなっていっている。」
18
「永野はくそだ!」

第4回 2003年10月27日(月)
 永野3勝:諏訪1勝
50

「今まで負けていたのは完全に作戦。
 永野の手はもう全部お見通し。」

14
「今回スワ氏は車の中での対局を申し込んできやがった。
 俺が車酔いしたから負けただけだ。」

第5回 2003年10月27日(月)
 永野3勝:諏訪2勝
40
「いやー一時は盤上が真っ白になったけどね。
 あせったあせった。永野はもうライバルでは無くなってきたようだ。」
24
「僕はまだ実力の半分も出してないんだよ。」


5試合を終えて
初戦、「正直永野は弱い」というイメージが彼の白に挟まれてひっくり返った感じだった。僕の方がかなり弱い。開幕3連敗中の僕は、とにかくがむしゃらに、白を多くひっくり返せる場所に石を置く作戦だった。でもそれは、オセロ道を歩んでいく上でまったく的外れな考え方なのだと、インターネットで調べていて知った。
そうか、オセロは考えて置くのではなく楽しんで置けば良かったんだ。どこに置けば楽しいか、そういう根っこが無かったな、と。それを知ったとき僕は無敵になった気がした。4試合目は車の中で行った。永野は車に酔ったが僕は酔わなかった。楽しんでゲームしてたからだ。4試合目、もちろん僕が勝った。苦しみの3連敗を乗り越えての1勝は大きかったみたいだ。    
                     

初め対戦した時の諏訪は、オセロの右も左もわからぬ、とんだど素人だった。ただ黒で挟んで黒を増やすっていう、ルール覚えたて程度のプレイだった。しかしある時から僕はパタリと勝てなくなった。
僕は知っている。ヤツが夜な夜なインターネットで日本中のオセロ野郎たちと実戦を積み重ねていたことを!
僕は知っている。ヤツが日本オセロ連盟のホームページで過去の名士たちの試合を研究していたことを!
このままでは僕は勝てない。次、諏訪と戦うのがコワくなってきた……。


修行編→

第6回 2003年10月28日(火)
 永野3勝:諏訪3勝
35
「お前の田舎にオセロはなかったのか?
 まあ、勝率でいえばやっとこれで並んだわけか。
 明日からも努力だな。」
29
「お前は本当にオセロを愛してるようだな。
 面白くなってきたぜ。」

第7回 2003年10月29日(水)
 永野3勝:諏訪4勝
49
「俺の目に映る風景すべてが白と黒のドットに見えるよ。」
15
「俺としたことが。奴の一手一手にドキドキしてしまった…。」

修行編→

第8回 2003年11月3日(月)
 永野4勝:諏訪4勝
34
「連敗を食い止めた!!
 4連勝してたことにうつつを抜かしていた自分に対して
 すごく惨めな思いをしているはずだ。」
30
「違う!俺は次の段階への準備をしているだけだ!
 あと右手も少し痛かった。」

第9回 2003年11月3日(月)
 永野5勝:諏訪4勝
48
「スワへのアドバイスその1.呼吸を整えよ。」
16
「ちょっと疲れが出た。」

修行編→

第10回 2003年11月4日(火)
 永野5勝:諏訪5勝
35
「人っていう字をよく見ろ。
 人って言うのは支え合って生きているんだよ。
 この意味が分かるか?」
29
「アイツは「早分かりオセロ」なんてもん読みながら戦いやがったんだよ!
 そんなもんドブに捨てちまえ!!
 そんな薄汚ねえ勝利なんてクソ見てえだ。」

10試合を終えて

俺は完全に奴を追い越したと思った。そんな中行われた11月3日の第8戦目。戦績俺4勝、奴3勝。永野に4連勝中の俺は、いつもなら感じる”中盤の何となく勝てるムード”を一切感じなかった。負けるムードだった。負けた。しまった!永野は成長していた!完敗だった。その時俺は奴をライバルとして初めて認めた。そしてオセロ本を買った。奴をライバルと認めたからだ。奴がライバルである以上俺は勝つためにはなんでもする。連敗はしたものの10戦目、俺は更なる成長を遂げ勝った。5勝5敗。
俺は奴が強くなるのが怖い。まだまだ伸びる奴の成長の中、俺はそれ以上に成長し勝たねばならん。俺たちはどこから来てどこへ行くのだろう。

11月2日。僕は電脳世界のオセロの猛者たちと明け方まで対戦し続けた。いったい何十回負けたかわからない。だけども何度も戦った。このままじゃ諏訪に勝てるわけがないと歯軋りしながら、とにかくオセロをやり込んだ。
ただただ打ちのめされていくそんな中、僕は自分の負けるパターンがわかってきた。そして対戦相手がどうやって僕に勝っていったのか、それも見えてきた。「そうか、誘い込むんだ!隅に僕が置けるように!」僕のチャクラが光った。
僕は実戦を重ねることで、オセロの「なにか」を掴んだ気がした。そして諏訪からの連敗をストップして、2連勝を果たしたのだ!諏訪は唖然としていたよ、僕の成長ぶりに。
だが諏訪もそうなったらタダでは起き上がらない。オセロ定石集を集め、必勝本を熟読し新たな戦術を身につけ、その次の試合では僕を負かした。
僕たち2人は急速に強くなっていっている・・・。僕たちはいったいどこまで強くなれるのだろう。


第1回ヨーロッパトーナメント→

立志編最終回→