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2/2(土)この日のスペシャルゲストは映画版「サマータイムマシン・ブルース」の監督である本広克行監督です。
「大物ゲスト」なおかつ「初日」「満杯の客席」などなどの緊張要素が多すぎるこの日、"司会"という大役を担ったのはヨーロッパ企画 山脇唯。緊張のあまり少しばかりハイテンションの山脇と上田誠が迎えたのは、すでにリラックスムードの本広克行監督。本広監督の言葉に緊張もほぐれてきた山脇が、ヨーロッパ企画と本広監督との出会いから、現在の深いお付き合いに至るまでの経緯をひも解いてゆきます。 |
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山脇 | 今日は"舞台を映画化した監督"と"自分の舞台を映画化された脚本家"のトークという感じで、悲喜こもごもお話を聞いていこうと思うんですけど。 | |
| 上田 | はい、よろしくお願いします。 | ||
| 山脇 | まずは、馴れ初めというか。舞台作品がどうやって映画化されていくのかが、全く分からないんですけども…。 | ||
| 本広 | そうですよね。 | ||
| 上田 | もともと2001年に上演していた「サマータイムマシーン・ブルース」という舞台作品を、2003年に大阪と東京で再演したんですよね。その東京公演に監督が観に来てくださいまして。 | ||
| 本広 | 駅前劇場だったけ。 | ||
| 上田 | そうですね。 | ||
| 本広 | …で、観にいってすごい感動して。 | ||
| 上田 | ありがとうございます。 | ||
| 本広 | 最初「なんてガサツな芝居なんだろう!?」って思うんだけど…最後は完全に心掴まれてたんですよ。 | ||
| 上田 | (笑)。…(芝居の)最初がねぇ。タイムマシンが出てくるまでも、けっこうな時間ありますからね。 | ||
| 本広 | タイムマシンが出てきても、みんなで「いやいやいや…」ってひたすら言ってたりするじゃないですか。 | ||
| 上田 | はいはい。 | ||
| 本広 | 「何だろう? このリズムは!?」みたいな感じで、何もかも新鮮で。 | ||
| 上田 | はい。 | ||
| 本広 | で、次の日に女性の映画プロデューサーの方がいて、彼女に「『映画化に興味ありませんか?』って上田くんに声かけてきて!」って頼んで。 | ||
| 上田 | あ〜はいはいはい。まさに刺客が送り込まれてくるような感じでしたね。 | ||
| 本広 | そしたら、すぐにお返事いただいて。 | ||
| 上田 | はい。 | ||
| 山脇 | 最初(映画化の話が来たとき)「騙されてる!?」とか思わなかったんですか? | ||
| 上田 | 騙されてるというよりは…「こういう話はいくらでもあるんじゃないかな」とかは思いましたよ。話半分で聞いておかないと、後でもし(映画化の話が)ダメになったときのショックたるや…尋常じゃないじゃないですか。 | ||
| 山脇 | ああ。 | ||
| 上田 | (監督を前に)失礼な話ですけども。台本書きながらも、いつまでも信じていないでおこうと思いましたよ。だから映画がクランクインしてからもずっと不安でしたもん。 | ||
| 本広 | あ〜。 | ||
| 上田 | …っていうくらい、降って沸いたような。映画化なんて考えたこともなかったですし。 | ||
| 本広 | すごいですよね〜…なんで急に(舞台を映画化しようなんて)思ったんだろう? | ||
| 山脇 | お芝居観にいくときは「映画化してやるぞ」と思っては行かないですよね? | ||
| 本広 | そうそうそう。「なんかおもしろいのやってるよ」っていうのだけで観にいったような…。何でだろう。…あ! | ||
| 山脇 | ? | ||
| 本広 | ちょうど「踊る大捜査線」がメガヒットになって…。 | ||
| 上田 | はいはい。 | ||
| 本広 | (大ヒット作の)次に撮る映画はすごい文芸大作とかが、ありがちじゃないですか。そっち行かずに、あえて(自分の)好きな小劇場とかとコラボしたりだとか…そういうことを思ってたんですよね。 | ||
| 上田 | ええ。 | ||
| 本広 | だから、タイミング的にはすごい良かったですよね。 | ||
| 上田 | へぇー。 | ||
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思いもよらぬ監督の発想から始まった、ヨーロッパ企画との馴れ初めには、会場だけでなく上田さん本人も驚きだったようです。
当時の自分の思いや周りの状況をゆっくりと思い出しながら、語ってくださる本広監督。上田さんも台本を書くうえで当時、本広監督から意見をいただいた事によって閃いた瞬間があったそうです。 |
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| 山脇 | 舞台ってワンシーンしか観れないのにくらべて、映画では(場所を考えずに)いろんなカットを見せれるじゃないですか。舞台を映画化するときに、ここまで(のシーン)は映像を撮ろうって決めてたんですか? |
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| 本広 | 最初に上田くんにお願いしたのは、「(部室以外の)外の場面を見せてください」って。ヴィダルサスーンを失うところが見たいなとか(笑)。舞台では見えてなかった場面を見たかったんですよ。そこはお願いしましたね。 | ||
| 上田 | はいはい。いま(舞台版を)観ていただいて分かるように、部室の中だけで完結する話なので…そう、どうしようかな〜ってけっこう悩んだ覚えがありますね。 | ||
| 山脇 | ほぅ。 | ||
| 上田 | 映画とか小説とかのタイムマシーンものって、だいたい「一人称」というか、主人公目線なんですよ。主人公が時間を移動したらカメラも一緒についてくるっていう。舞台上ではちょっと客観的というか、神の視点になるというか。主人公たちが過去に行っても舞台上では同じ時間が進んでしまうという…そういう客観視点のおもしろさで書いたものなので。それを映画にするとなると"普通のタイムマシーンもの"になってしまうんじゃないかとか。 | ||
| 本広 | はいはいはい。 | ||
| 上田 | だいぶ心配だったんですよ。なので(映画としての)やり方を考えて困っているときに、監督が「映画の始まり方のイメージは、未来人 田村が映画館の前でその映画館を写真に収めているというシーンにしよう」と。 | ||
| 本広 | うん。 | ||
| 上田 | あ、そういう見せ方もあるんだなぁと思って「なるほど!」と。要するに舞台にはないシーンを映像化していって、全てを見せていくような作り方でやっていけばいいんだ!」と。しかも、その(未来人 田村が映画館を撮る)シーンは映画版にはないんですけど(笑)。 | ||
| 話はここで"これからの本広監督とヨーロッパ企画との未来"へと移っていきます。 「本広監督との更なる深いお付き合いを」と、用意された今回の企画。「サマータイムマシン・ブルース」に続いて、映画化となるのか? ヨーロッパ企画が上演した舞台作品の中から選りすぐりの4作品を、直接監督にプレゼンしてみよう! というもの。 山脇と上田の熱い推薦コメントとともに、つぎつぎと紹介されていく舞台作品を観ながら、監督も真剣にコメントを思案する場面も。 | |||
| 山脇 | では参りましょう、プレゼンその1「第15回公演『ムーミン』」。これはですね、人類が廃れてしまった遠い未来のお話でですね。谷で遊び暮らす男たちを描いた省エネ、まぁ"ネイチャーな作品"ということですが。なので、(映画化されるなら)ニュージーランドロケとかになるんでしょうねぇ。 | ||
| 上田 | これは…まさにこのご時勢にメッセージを投げかける作品として…。 | ||
| 本広 | (笑)…これねぇ、何もかもゆる〜い感じで。でもセットはすごかったですよね。 | ||
| 山脇 | そうですねぇ、舞台であれだけのものなら、実写でやったときはもっとすごいことになるんじゃないですか!? | ||
| 上田 | あ〜そうですね! | ||
| 本広 | ニュージーランドで?(笑) | ||
| 上田 | ニュージーランドで。(笑) | ||
| 山脇 | 次は「第16回公演『インテル入ってない』」。これはですね、二足歩行ユニットを開発したロボットメーカー「アサヒロボット」の工場が舞台です。法規制によりどんどん落ちぶれてしまったこの工場で働く13人の行員たちが改善に改善を重ねどんどんサクセスしていくという、まさに「サクセスストーリー」。 | ||
| 本広 | 最後、とんでもない巨大ロボットが動き出すっていう。 | ||
| 山脇 | 舞台全体を動かす大仕掛けで、ダイナミックな作品になっておりますが、いかがでしょうか? | ||
| 本広 | …最後がな〜。 | ||
| 上田 | 最後がダメですか!? | ||
| 山脇 | この公演は東京・大阪の2都市でしか上演されておらず、観た人も少ないはずなので「映画化するなら今!」という貴重な作品となっております。 | ||
| 上田 | あ、なるほど! これは埋もれた作品ですよね? | ||
| 山脇 | はい。"踊る(大捜査線)パワー"でぜひ。(笑) | ||
| 本広 | じゃあ、3本目を…。 | ||
| 山脇 | ではプレゼン3「第20回公演『Windows5000』」。これは、集合住宅を覗き見するという市役所所員が開発した裏ソフトWindows5000によって、集合住宅をクリック! クリック! して部屋の中を覗いていくという「覗き見コメンタリー芝居」です。 | ||
| 上田 | 市役所の所員が立ち退き作戦を実行するはずが、いつの間にかその集合住宅の中に住み込んでしまったという…。 | ||
| 本広 | これも…ねぇ。でもこれは舞台の方がおもしろいですよねぇ。 | ||
| 上田 | まぁ〜…(納得しそうになるも)いや、どうでしょう? これが映画やったら…どんどんCGやら何やらで…。 | ||
| 本広 | これ、舞台だから笑えるわけでしょう。あと、「Windows」っていう言葉がね…大丈夫ですかね? 微妙ですよ、これ(笑)。 | ||
| 上田 | まぁこの作品に関しては、「窓(Window)が5000枚ある」という意味ですから。 | ||
| 本広 | はぁ…(笑)。 | ||
| 山脇 | では最後4つめです。これはいいと思いますよ? | ||
| 上田 | 今までのがダメやったっていうことですか。 | ||
| 山脇 | いや! | ||
| 本広 | おススメ? | ||
| 山脇 | おススメです! 「第24回公演『衛星都市へのサウダージ』」。これは去年の夏、2000年に上演された3作品を一挙に再演するという「バック・トゥ・シリーズ2000」という無謀なツアーにて再演された最後の作品です。 | ||
| 本広 | (ロフトを見ながら)これ劇団員ですよね? | ||
| 山脇 | はい。劇団員です。 | ||
| 上田 | これ4つとも未来の作品なんですけども。 | ||
| 本広 | …(俯く監督)。 | ||
| 上田 | (監督から)苦笑が漏れてますけど。 | ||
| 本広 | コメントしづらいですね〜。 | ||
| 上田 | もちろん(映画化が)ダメならダメで、はっきりと言っていただければ、ええ。作品は20本以上あるわけですから、次から次へと出していきますんで。 | ||
| 本広 | そっか〜。…でも確かに「サウダージ」は映像化しやすいでしょうね。 | ||
| 上田 | なるほど。では映画化決定! ということで…。 | ||
| 本広 | いやいやいや! ちょっと早いよ! | ||
| (拍手) | |||
| 上田 | (会場からは)拍手が。 | ||
| 本広 | …そんなに、すぐに映画ってできないんですよ〜。大っ変なんですから。 | ||
| 上田 | (笑) | ||
| 本広 | …でもこうやって見るとホントにいろんなことやってますよね〜。 | ||
| 上田 | そうですね、自然派から宇宙のものから…。 | ||
| 本広 | ネイチャーなものから…。 | ||
| 上田 | はい。 | ||
| 山脇 | あえて選ぶとしたら…「サウダージ」ですか? | ||
| 本広 | う〜ん、まぁどうなんでしょう? …なんでこの4つの作品を今日プレゼンとして選んだんですか? | ||
| 上田 | それはですね、これらの作品がもし映画化されるとしたら、「僕のテンションが上がるぞ」という作品ばかりを今日、プレゼンさせていただいたんですけども。 | ||
| 本広 | (笑) | ||
| 上田 | もちろん僕の好きな作品という意味合いも込めてですけど。 | ||
| 本広 | なるほど〜。 | ||
| 上田 | けっこう監督も(ヨーロッパ企画の舞台を)劇場とかでもご覧になられてますよね。 | ||
| 本広 | けっこう観てますよ。いや〜どれもね、おもしろい。 | ||
| 上田 | (映画化するには)捨て難いながらも、まだちょっと押しが足りないぞと。 | ||
| 本広 | ちょっとね〜…持ち帰って考えます。 | ||
| 上田・山脇 おお! | |||
| 本広 | 映画の企画を出すときって普通(あの役者さんに出てほしい、とか)イメージキャストってあるじゃないですか。 | ||
| 山脇 | はいはい。 | ||
| 本広 | このキャストに出て欲しい!とかヨーロッパ企画から思うイメージってあるんですかね? 例えば「ムーミン」であればこの人!っていう。そういうのは…。 | ||
| 上田 | 「ムーミン」だったらそりゃあ、ねぇ。全員ジャニーズの人たちで。 | ||
| 本広 | そんな感じ(の決め方)でいいの(笑)? | ||
| 上田 | がっちり男前な人たちばっかりっていう。 | ||
| 本広 | 分かりました(笑)。 | ||
| 山脇 | 可能性がいっぱいありますね! | ||
| 本広 | 完璧な仕切りだね(笑)! | ||
| 「サマータイムマシン・ブルース」映画化決定した当時の話から、はたまた今回のプレゼンからの映画化決定となるのか、未来の話にいたるまで。まさにタイムマシンで行ったり来たりという感覚のトークショーとなりました。 | |||