特撮SF映画特集、本日のゲストは、カミロボ・造型師の安居智博さん。 「たぶん安居さんは、そういうのが好きそうだから」という理由で、 特撮SF映画特集の、ゲストにおまねきしたのですが・・・。 トークがはじまるや、いなや。 「特撮イコールSF、なのか?」という、安居さんのご意見によって、「特撮と、SFの境界線」について、検討の必要が浮上し・・・。 話は、「特撮とは、なんぞや」という、ところにまで、ひろがったのでした。
 
   
  上田 特撮というのは、つまり技法ですよね? 手法?  
  安居 撮影手法なんですけど、今となっては、「おもむき」みたいな。僕のなかでは、いまや時代が、かわっていて。特撮っていうのは、もう「様式美」ですね。「伝統芸のかたち」やと、思ってるんですよ。  
  山脇 じゃあ、ヒーローものとかで、うしろの山が「ボーン!」とかなるのが、特撮ですか?  
  安居 特撮ですね。  
  山脇 CGは、特撮じゃないんですか?  
  安居 CGは、特撮とはまた、ちがいますよね。  
  上田 映画『少林サッカー』の、ワイヤーのあれは、特撮なんですか?  
  安居 ・・・そうやって1個づつ、確認するんですか(笑)? そんなん言われたら、僕もグレーゾーンばっかりやから・・・。そんなん分からん、ってなるじゃないですか(笑)。  
  上田 (笑)。じゃあ、「これぞ特撮だな」っていうのは、あるんですか?  
  安居 大きく分けて、ゴジラ的、ウルトラマン的な巨大なものがいる世界。ミニチュアセットを作って、大きいものがいるかのように見せる、「見立て」の世界、が特撮ですね。  
  上田 「あれはもう、ど真ん中だ」と。  
  安居 100%ですね。  
  上田 しかも、もちろん、サイエンスフィクションでもあり・・・?  
  安居 ・・・とは、違いますよね。  
  上田 あっ、違うんですか!  
  安居 サイエンスフィクションに、モスラとか出て来ませんよね(笑)?  
  山脇 でもちょっと、科学のアレですから・・・。  
  安居 つまり、SFに、エンターテイメントという化合物を、たくさんまぶして、駄菓子テイストにしたのが特撮で・・・。  
  上田 ああー、はいはいはい。趣向性を、ちょっと強めたのが特撮・・・?  
  安居 ・・・。  
  上田 ・・・!! 全っ然、話かみあわないっすね、これ(笑)。  
 
SF特撮談義の、着地点を探しつつ、ひとまず 今回用意した、「特撮SF映画特集」というくくりりの、SSMF作品5本を見て、 その真髄を探ってみようということに。
 
   
  山脇 連続で、5本上映するのですが、まず、1本目に安居さんの「黄金」。  
  上田 これは、ちなみに、カミロボというか、紙でつくったロボットをつかった、特撮ですか?  
  安居 ・・・いやぁ〜。  
  上田 えっ、なんですか。ご自身の作品でしょう(笑)。  
  安居 いや、じぶんの作品なんですけど・・・。・・・CG、バリバリいれてますよ。  
  上田 あっ、それは、邪道なんですね(笑)!?  
  山脇 CGが、1個でもはいってたら、「特撮」と、名のれなくなるんですか?  
  安居 あのー。怪獣映画で、怪獣が飛んでるときに、怪獣をつるす、ワイヤーがあるじゃないですか?  
  山脇 はいはい。  
  安居 90年代前半ごろに、あの線を、CGで消しよる時代に、はいったんですよ。それが、そこは、ものすごい、だいじなところで(笑)。  
  上田 (笑)! 年表の色が、かわってるポイントなんですね!  
  安居 そうそう。あれは、消すのか。それとも、「様式美」として、見せるのか。  
  上田 「それが、是か非か」という、ことですよね? 「CGつかったら、なんだってできる」っていう。「プチ整形は、アリかナシか」っていう、ことですよね?  
  安居 (笑)。そうなんですよ。でも、そんなこと言ってたら・・・。たとえば、「いまの巨人は、はえぬきの選手が、何人いるねん」みたいな、こととか・・・。まあ、いろんなこと、あるじゃないですか?  
  上田 ・・・けど、CG、つかってらっしゃるんですよね(笑)?  
  安居 そうです。だから、じぶんを、弁護してるんです(笑)。  
  上田 「ジャンルが、溶け出していくのは、もうしょうがない」と。  
  安居 最初に、そうやって、クギをうっておいて・・・。「おまえ、特撮と、ちがうやないか」ってなったら、アレなんで。  
     
 
特撮・SFの行く末を、うらなう感じの、上映をおえて。
 
   
  上田 いかがでしたかね? CGは、どれもつかわれてましたが、SFXと言いますか・・・。「特撮のニオイが、ちょっとただようかな」と。  
  安居 そうですね、なんか・・・いいですね。時代も、かわってきたなかで、「ちょっと、どんな感じなんかなぁ」と思ってたんですよ。僕から見たら、若い人ら、みたいな世代じゃないですか。  
  上田 はあはぁ。「知ってんのか? 真髄を」と(笑)。  
  安居 いやいや、そんなんじゃなくて(笑)。何というか、80年代の、芸大の人たちが作ったような、愛おしい感じ。ああいうのがあって、面白かったですね。  
  上田 なるほど。僕、見ながら考えてたんですけど、きっとね、「いっぱいいっぱい」というか。技術の限界、無理めのことにチャレンジしてみている、チャレンジスピリットといいますか、それがね、わりと重要なんじゃないかという・・・。  
  安居 ああー。  
  上田 なんか、「ファミコンが少ないメモリの中で、いっぱいいっぱいに、ゲームをつくってる感じの、良さ」と、特撮の「良さ」が、いっしょのような。CGをつかうと、「急に、なんでもできちゃう」という、そこが、あじけなかったり、するのかな、と。  
  安居 そうですね。あと、「見立てるかんじ」が、よかったな、と思いました。酒井監督「ドラゴン」の、最初のシーン。未来都市を、あるいてるみたいな。あれ、駅のなかで、やってるじゃないですか。  
  上田 確実に、二条駅の通路ですね(笑)。  
  安居 これはね、おもうんですよ。あるきながら。  
  山脇 あぁー! 「(未来都市)っぽいなぁ!」って(笑)!  
  上田 あ、足元だけ見て、あるいてたら!  
  安居 そう。みんな、きっと「なんか、未来都市みたいやな」っておもうと、おもうんですよね! その「見立て」を、やるっていうね。そのとき、ものすごい共感できるじゃないですか。  
  上田 なるほど。なんだろう。「日常のなかでおもう空想に、ひとつ、味つけをした」ような。  
 
 
そんなふうにして、上映作品を、ひとつづつ振り返っていきました。 それぞれの、作品のなかの、「特撮っぽさ」について、あれやこれや意見交換。 安居さんのSSFM作品については、撮影の方法や、くだんの「CGの導入」が、なされている場面の、おはなしをうかがうことできました。 そして、そのなかで、新たな発見! 安居さんの、SSFM作品にあったのは、「ハイテクと、ローテクの融合」なのでした。 「特撮・SFの境界線」談義に、ひとすじの光が。
 
 
  上田 つまりなんでしょうね、CGだけでは、できない妙技、というか。質感、風合いがでるんでしょうかね。  
  安居 ええ。言うても、『ロード・オブ・ザ・リング』みたいなことは僕にはできひんから、CGを使うとしても、その良さが出る部分には、CGを使う、という。  
  上田 あとは、もうむしろ、ローテクの、人の手による動きの感じで。  
  安居 そう。それぞれの「いいところ」を、使うのがいいかな、と。  
 
  ・・・というように、京都の片隅で、こんなにも情熱的に、「特撮とは、何ぞや」ということが、語り合われていたのです。 客席にいた人誰もが、特撮について少し詳しくなりそうな、一夜でした。