[ヨーロッパスタジオ]>[かせきさいだぁ≡×上田誠 SFエンディングテーマ会議]>[第2回]


第2回
上田:今日ね、資料を持ってきたんですよ。これがね。「水晶のドラゴン」の攻略本。
かせきさいだぁ≡(以下、かせき):すごいなあ。
上田:これね、全然面白くない、ゲームとしては最低の、五分くらいでクリアできるアドベンチャーで。
かせき:ひどいね(笑)。
上田:でも、まばたきしてるアニメーションとか、絵がすごい。ディスクシステムのゲームなんですけど。
かせき:頑張ってるんだ。あ、ディスクシステムなんだ。
上田:世界観がちゃんと(作ってあって)ね。グラフィックがすごい良いので、僕これすごい好きなゲームなんですよ。でももう、攻略本見るだけで、これ…事足りるなって…(笑)。最近はやらずに攻略本を読むっていう。
かせき:(攻略本を見ながら)ほんとだ、すごい頑張ってる(笑)。
上田:それでけっこういいアイテムがたくさん出てくるんですよ。
かせき:そうなんだよね。SFのアニメとか、SFの形借りてるけど実は全然SFじゃないもんね。
上田:そうなんですよ。サイエンス・フィクションという小道具を使って、それっぽいムードをかもしだしつつ…。
かせき:富野由悠季(※)のあれは全部…「十五少年漂流記」だもんね。
上田:ああ、設定がそうなだけで(笑)。
かせき:他の人のSFアニメが何で面白くないか考えたわけですよ。富野は同じこと何回もやってんのにけっこう見れるし、でも「ガンダム」の続編は面白くないなと思って。どういうことかなあと思ったら、富野は全部設定を変えてるだけで「十五少年漂流記」で、「ガンダム」の続編になると、続編だから「十五少年漂流記」じゃなくなってて。それで面白くなくなるんだなと。
上田:うーん。ストーリーのつむぎ方とかですかね?
かせき:もう「逆襲のシャア」とか人気あるっつっても、「十五少年漂流記」じゃあ…ないもんなって。
上田:だんだん、サーガになっていくんですかね。
かせき:サーガになると面白くなくなっちゃうんじゃないですか。あの人のは。
上田:それってねえ、もう兎角あって。思い出ありすぎて、インナーワールドに行きすぎて、端から見て全然面白くないっていうのがすごいあるから。だから多分サウダージでも、そっちにあんまり行きすぎん方がいいんですよ。面白さで言うと。
かせき:そうそうそう。
上田:「SFっぽいね」っていうところ、「表面的に」ってところは残しといた方がいいかなっていう…途中途中でそういう妙味はのぞかせつつも、もう全体としてのパッケージは「ザ・SF」で。
かせき:SFっていうパッケージを借りつつ、「みんなで田舎に引っ越す」みたいなのと大してかわんないような(笑)。
上田:そうですそうです。「新天地」(笑)。
かせき:ねえ?新天地に行くっていうことなんだよね。
上田:ええ。ほんでそこを新天地と感じるか、僻地と感じるかっていう。
かせき:馴染めない、とかね。向こうのしきたりが分かんない、とかね。
上田:そうなんですよ。最初はそういうつもりじゃ全然なかったんですけど。(初演)当時も移民について調べてるうちに…。やっぱり、あんまりアッパーな移民なんてないんですよ。
かせき:あ、そうなの?追われて?でもそういうのよく聞くよね。
上田:追われて…そうなんですよ、こう、切り拓いたフロンティアの人たちはけっこうノリノリなんですけど、強制的に移住させられる人たちはそんなに…悲壮感があるんですよ、やっぱり。
かせき:僕いちばん好きな話があって。山の奥の方に「ヤマメ」って川魚がいて。その中で海に下るやつが何割かいて、帰ってくるときすっごいでかい「サツキマス」っていうのになって帰ってくるんですけど。僕の知ってる釣りの世界では、サツキマスになって帰ってくるヤマメはえらいってずっと思われてたの。図鑑とか見ても、海に行くと模様が消えて、「銀毛化したヤマメ」って、銀色になるんだ。「さすが海に下りるやつは顔つきが違う!」とかそういうふうに書かれてたの。でも最近の研究で、海に下りるやつは実は川にめちゃくちゃ強い大将みたいなやつがいて、餌が取れないっつって、「餌ないじゃん!」っつって仕方なく海に下りるらしいって、分かって。
上田:あー、逆適応みたいな。
かせき:そう、実は逆だった!っていう。だから人間が考えるとね、人間が勝手にストーリー作ってるから、海に下りてって、帰ってくるなんてそれはすごい勇気を持ったやつで、体格のいい、健康なやつが行くんだろう!って思ったら、実は「餌がない」っつって、「したら下るか」っつって(笑)。
上田:ペンギンもね、そうなんですよ。ペンギンも鳥やから、いったん空に行こうとしたけど、「空無理やな」ってなって。
かせき:っていうので海へ(笑)。でも海ん中めちゃくちゃ泳いでるよね。海を泳いでる姿が笑っちゃう。
上田:だから、飛ぼうとしたものの飛ばれへんかったやつがペンギンなんですよ。種族としては。
かせき:でもさ、海も広いからさあ、こっち泳ぐっていうのもかなりの発想の転換で。すげえなって。
上田:そうなんですよ。だから人類レベルで見ると多分、宇宙に出るってフロンティア的なことなんですけど、「行く人たちは果たして…」っていうと…。
かせき:多分まず最初にかなり行かされるのはそんな…一部のエリートと、地球じゃ仕事がない、みたいな…(笑)。
上田:まさにそんな話ですね(笑)。もう、明らかに仕事のできひん人とかが行くんですよ。初演では、地球では売れへん画家とかが。
かせき:それって僕が東京行ったのとかも、単純に、「静岡じゃ僕の仕事はない」みたいな(笑)。
上田:あっ、そうなんですか。新天地…。僕ずっと京都やから、その感じがね、あんまりなくって…。
かせき:どう?遠く行って一旗上げるみたいな感覚の人とか、分かんないですか?
上田:あー…。
かせき:別に、地元で仕事があるんだったらいいじゃん。俺ないから来てんだからなあーと思って(笑)。一旗とかじゃなくて。
上田:あ、でもそれで言うと、僕お芝居やり始めたこと自体が、ちょっとそういう感じかもしれないですね。あのー、高校でクラスでめっちゃウケてるやつとかいるじゃないですか。
かせき:うんうん。
上田:そういう人を横目で見つつ、ここに居場所ないなと思ってて。ほんなら、大学入ったらそういうノリノリの人らがいつの間にか居なくなって…(笑)。
かせき:そっか、そういう人って居なくなるね。そういえば。
上田:そうなんですよ。で、急に生き生きと芝居をはじめたっていう(笑)。だから今、ヨーロッパ企画では主催とかっつってやってるんですけど、あれですよけっこう…地元で友達に会うと、ドキッとしますよね。
かせき:ドキッとすんの(笑)。
上田:ずっと負けてた(笑)。
かせき:そうだよねえ。なんか、高校ほんと居場所ないなんてもんじゃなかったな…。高校は寝るとこだったもん。行って、もう机でぐーってずっと寝てて。
上田:(笑)。
かせき:なぜか、くじ引きするといっつも教壇の一番すぐ下の席になるんですよ。で、最初凄い嫌だったんだけど、あるとき「寝れる!」と思って。先生見えなくて。
上田:ははは、死角で(笑)。
かせき:それからは、くじで後ろの方に行っても、「すみません、僕目が悪いんで、あの席にして下さい」って。まわりに友達が多い方がいいとかじゃなくて、寝れるってだけで。
上田:あー。
かせき:結局、人間自分の居場所を探しに行くんだよね。
上田:そうですそうです。まさしくそういう話にしたいなぁと(笑)。
 
※…アニメーション監督。代表作に「機動戦士ガンダム」「逆襲のシャア」など。
 
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