[ヨーロッパスタジオ]>[かせきさいだぁ≡×上田誠 SFエンディングテーマ会議]>[第3回]


第3回
かせきそうなると、エンディング曲が全然「母よ」とかじゃなくなって来るよね(笑)。
上田:(笑)。
かせき:「うる星やつら」の終わりの歌みたいなもんかな(笑)。
上田:どんなんでしたっけ?
かせき:なんかちょっとコミカルな、かわいい曲の方がいいじゃん。
上田:あー、僕のイメージでは、「行け行け!」とか「行きたくねぇなぁ」とか「やっぱ向こういいなぁ」っていうのもありつつ、もっと俯瞰した視点なのかなぁ…という。
かせき:あー、芝居は完全に芝居自体がこう(引きで)見えるもんね。
上田:そうなんですよ。なので、「みんな同じ宇宙の中でやってんだよ」みたいな意味での、最終的にそういう一番引きの視点で全体を暖かく見守るような感じの方がいいかな、となんとなく思ってたんですけど…でかい歌というか、でかい曲って…。
かせき:ちっちゃい曲ばっかだからなぁ…(笑)。ミクロの世界に神が宿るって思うタイプだから、結構いつも小さいんだよね。
上田:「宇宙の法則」(※1)とかは…あれもでも、書いてることは結構身辺の…。
かせき:あれも小さい世界だよね、もっと。
上田:インナーワールドって感じですよね。
かせき:そうそうそう。インナーワールド突き進めて行くと、なんか宇宙にぽこっといくようなぐらいの感じ。
上田:統一理論みたいなことではないんですよね?全部通ってたらとんでもないな、って思ったんですけど、もっと感覚的ってことですよね?
かせき:感覚的だね。そう、タイトルも最後に決めて。「宇宙の法則」って。
上田:はぁ〜。
かせき:あれはねぇ、すっごい若い時に書いたんだけど、「苦悩の人」(※2)もそうなの。若い時にしか書けない、意味わかってないくせにでっかいこと書くっていうのが…。
上田:あー、「苦悩の人」もそうですよねぇ。
かせき:「苦悩の人」も割と…。一気に火星の運河が出て来たりとかねぇ。
上田:インナーワールドから宇宙へ。でも、そういうことのような感じがしますねぇ。
かせき:そうか、そうだよねぇ。
上田:基点はそういうパーソナルな感じで…。ていうかラップって基本的にそうなんですよねぇ。
かせき:ラップねぇ。ラップってそもそも…黒人ってお金を稼ぐにはドラッグを売るしかなくて、ほんとそれ以外大した仕事ないらしくて、それで、ギャングがドラッグ売ってる訳で、そうすると喧嘩になるでしょ?殺し合いしたりするから、ギャングの偉い奴が「若い奴がそんな簡単に命を捨てていいのか?」って言って、「ダンスで対決しろ」みたいな。
上田:えぇえぇ。
かせき:で、みんながダンスで対決するようになったらしくて、それに合わせてDJがやって、それがたぶん喋り出して、で、ラップができたみたいな。
上田:あ、そういう…。
かせき:日本にはもう、思想的にはありえない…ヒップホップっていうのは。
上田:かせきさんは、その形式は踏襲しつつ、ラップの中ではかなり叙情よりの…。
かせき:うん。だから、日本人が最初始める時は「日本人がラップをやるって一体どういうことだろう?」っていうのがあって…。
上田:はいはいはい。
かせき:で、有名なミュージシャンの人達にインタビューとかやると、あの曲のネタは誰々で、あれは親父がよく聴いてた曲で、家にレコードがあってサンプリングして…って、そういうもんなんですよ。
上田:あ、ちゃんとオリジンから…。
かせき:そうそう。良い音ないかってすごい探してるとかよりも、身近によく聴いてたあの曲好きだっていう方が…スチャダラパーがデビュー前に「太陽に吼えろ」のレコード使って、それでラップしてて、それを僕見て、「日本人がラップやるっていうのは、たぶんこの方向性に絶対何かある」と思って。スチャダラが、まぁ音はそういう「太陽に吼えろ」で、歌詞はスーダラ節とか植木等さん、その辺大好きだったんで、そういうのをいろいろ使ってやってて。
上田:えぇえぇ。
かせき:じゃあそれじゃない方向っていうのを、日本語でできるのはなんだ?って言ってて、そしたらはっぴいえんどっていう人達が、昔「日本人がやるロックとはなんだろう?」って言って、それでアルバム何枚か出してて…。
上田:うんうん。
かせき:それを聴いてたら「こういうことだな」って思って、これのヒップホップ版を僕がやったら面白いんじゃないかって…。でもヒップホップって言ったら黒人で「イェーイ」っていうような世界のイメージの所を、普通に、ばりばり日本の世界をラップするっていうのをやったの。
上田:あー、それであれですよね。外国のやつのいいとこはいいように踏襲しつつ…。
かせき:あ、そうそうそう。
 
※1…アルバム「SKYnuts」の収録曲
※2…アルバム「かせきさいだぁ≡」の収録曲
 
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