[ヨーロッパスタジオ]>[〜山脇唯の稽古場体験記〜「一日少年王者舘!!」]

少年王者舘ホームページ:http://www.oujakan.jp/

#04

1日お邪魔させていただいた稽古も終了、
ぞのあと特別に座談会を設けさせていただきました。
いろいろきいてみます!

「新しい音楽が」みたいな。

(写真右から)
井村昂さん………少年王者舘。ときにブラックジョークをとばし稽古場を和ませる、役者最年長。
夕沈さん…………少年王者舘。「王者舘ダンス」といえばこの人。
小林七緒さん……流山児★事務所所属。今回初客演。
白鴎文子さん……少年王者舘。稽古全体をとりまとめている。
(聞き手:山脇)

山脇:
まず、役者として「王者舘の作品を演じる魅力」というのを、教えていただけたら、と。
井村:
まあ、魅力かどうかはよく分からないけど、経験とか、それまでの蓄積した引きだしとか、まったく役に立たない、という・・・。そういうところが魅力であり、ヒドいところだと思いますが(笑)。
一同:
(笑)。
山脇:
井村さんは王者舘に、どのくらいいらっしゃるんですか?
井村:
えっと、20年くらい、ですね。
夕沈:
その前から役者をやってて、ね。
井村:
流れ流れて、たどり着いてまいりました。で、少年王者舘は演劇的な部分っていうのが、むしろ少ないのかなっていう気がして。「俳優」っていうよりも「パフォーマンス」っていうか・・・「なんかやってる」っていう。
山脇:
ああー。
井村:
人間の根本的な「それまで生きてきたこと」とか「もともと持ってるもの」とか・・・そういうものを、わざとらしく出すんじゃなくて、自然に出てくるような状況が作られていく。あとは集中力とか自分の意識やテンションっていうのを、稽古のときから高いところでキープしていかなきゃいけない。そこが、面白いと言えば面白いし・・・寿命を縮めるかな、と(笑)。
一同:
(笑)。
小林:
長生きしてな。
白鴎:
長生きしてください。

夕沈:
みんなが音楽というか、楽器のひとつで、練習を重ねていくとそれがうまく自然に、オーケストラみたいになっていくっていうか。音楽みたいな、リズムというか。その感じが・・・ダンスもそうなんですけど、「みんなが楽器」みたいな感じがして。それが合わさったときに、すごく楽しいな、と思います。
小林:
「オーケストラ」って、いいかもね。私、王者舘に出るのは今回が初めてなんですけど、外から見てるときってね、全員がフッとシンクロする瞬間がうまくいった時って、ブワーって鳥肌が立つの。 山脇:
山脇:
ああ! はい!
小林:
で、その中に、ポンっと王者舘の人間じゃないひとが入ったときって、すごく異質なんで、飛びだそうとするのね、たぶん。今回の客演が私を入れて4人いるんですけど、「そこに入りきらない、気持ち悪い感じ」「どれぐらいそこに入ってて、どれぐらい飛び出すのか」っていうのが今、面白くて。
山脇:
はい。。
小林:
で、「オーケストラ」って言ったのは、例えばそこに、違うソリストが入ってくると、音が変わるじゃないですか。でも、そこが飛び出るとアンサンブルがぐちゃぐちゃになっちゃうんだけども、うまいこと揃うとおもしろいじゃないですか。
山脇:
「楽器が増えた」ってことですもんね。
小林:
そう、楽器も「ムリムリな楽器を持ち込んだ」みたいな。「いつもはこんな楽器でやってたはずなのに、なんかアフリカの太鼓が入ってきた」みたいな。
白鴎:
でも、面白いよね。
夕沈:
「新しい音楽が」みたいな。
白鴎:
最終的に1個のものになって「違うものなんだけど、いつもの音楽」のようなものが出てくる。まとまっていく、というか。
小林:
大勢でやってるのに、できないとバレるんだよね、だから(笑)。「なんかヘンな音がしたぞ、今!」って。
夕沈:
「ピヨー!」みたいなね。
一同:
(笑)。
小林:
どうですか、文子さん。
白鴎:
え、私もそう思います・・・。
小林:
喋っとき、喋っとき(笑)。
白鴎:
いやでも、そんな、居心地がいいというか、・・・かれこれ、何年も続けていちゃいますね。ずっと。

酷使してること、早起き。

山脇:
王者舘の芝居を演じるときに、じぶんは一番この部分を酷使してるな、っていう・・・、一番じぶんが「使ってるなー」「ここをヘトヘトにしてるなー」っていうのはありますか?
井村:
それはやっぱ、自分が一番弱いところだよね。腕力が強いけど、リズム感弱い、とか。そうすると、リズムを一番酷使するでしょ? 自分のなかのリズム感を一番鋭敏にしなくてはならない、とか。
夕沈:
(小声で)早起き。
小林:
・・・早起き(笑)。
白鴎:
酷使してること、早起き。
夕沈:
寝坊しない(笑)。
井村:
怒られるもんね。
小林:
大事かもしれないね。

別にストーリーを追ってなくても、じゅうぶん楽しいじゃないですか。

白鴎:
え、私もそう思います・・・。
井村:
まあよく「チラシとか見てもストーリーとか何も書いてないし、これ何ですか?」ってよく言われるんだけど、「演劇って、ストーリーがあって、喜怒哀楽があって」っていう既成概念には、あまりはまりきらない。それでも演劇のジャンルは、ジャンルだし。僕らは他に、たとえば絵とか音楽とか聞いたり見たりしてるときは、別にストーリーを追ってなくても、じゅうぶん楽しいじゃないですか。
山脇:
はい!
井村:
だから、舞台でライブをやってて、すごく演劇的な、演劇じゃないもの、というような気がする。
山脇:
王者舘のお芝居って、べつにストーリーが書いてなくても観に行きたくなる。1回見たら、次も行きたくなるような。
井村:
はまらない人は「何回見ても一緒だ」って言うけどね(笑)。
小林:
たぶん、1回見て「好きだな」って思うと、全体の印象だけが残って。で、その中で家に帰ってから、ポワポワポワって、好きなシーンがポンポン出てきて。2回見たりとか、余裕があって3回見たりすると、そこがつながってることが、後で分かったりして面白いので、ぜひ何回も見に来てください(笑)。
山脇:
ああっ、そうですね(笑)。みなさんぜひ、と。

ときは22:30
稽古を終えて、山脇は京都に帰ります!

いいものたくさんいただきました。
なんだか寂しい、明日も来たい。
つぎにお会いするのは京都ですね!
明の中で観るあのダンス、どうなるんだろうかと、期待に胸をふくらませつつ。

少年王者舘「夢+夜」京都公演はART COMPREX1928
8月6日の木曜日から9日、日曜日まで!

ありがとうございました!

■終わり

(取材 : 山脇 唯)