[ヨーロッパスタジオ]>[〜山脇唯の稽古場体験記〜「一日少年王者舘!!」]

少年王者舘ホームページ:http://www.oujakan.jp/

#01

「少年王者舘の稽古場に参加して、体験レポートを書いてください」
スタジオ編集部からの突然のお達しに、目をパチクリさせつつも
不肖・山脇、名古屋へ旅立つことに。
だって王者舘! 少年王者舘ですよ!

少年王者舘とは?
百聞は一見に如かず、まずこちらをご覧ください。

このダンス! このイメージ! 

いったいぜんたいどんな稽古をしているのか!

その稽古場にお邪魔できるなんて、そりゃあ2つ返事ですよ、行きますよ。

主宰・天野天街さんの「世界」を役者たちはどう体に落とし込み、構築していくのか、その過程をこの目で確かむるべく7月某日、少年王者舘の稽古場へ。

名古屋某所 14:30 全体稽古開始。

発声、歌、ウォーミングアップ。

そしてついに、ダンスみっちりの時間。
山脇も参加させていただこうと、しっかり着替えもすませました!
ヨーロッパ企画でダンスといえば山脇、ですからね。

まずは一度、通して見せていただいて……

「明日本番になっても負けないように、今日仕上げるつもりで」
と、くりかえしくりかえし踊るみなさん。
え、休まないんすか!

各列から1人ずつ順番に抜けて、抜けた人は前から踊りをチェック。
一曲終わるごとに気づいたことを話し合い、修正してまた踊る。
かわるがわる抜けては踊り、抜けては踊りの千本ノックです。

さらにこの1回1回のチェックの細かいこと細かいこと!
そして繰り返されるごとに、全員の集中力がガンガン上がっていくのがわかります。
すでにすごい迫力。

し、しかし……
あまりの恐れ多さに、参加できず眺めているだけの山脇唯(ヨーロッパ企画)。
これじゃただのおみそやんけ、見学者やんけ!

だめだこれは……お気楽に混ざっていいものではない!

踊ってみたい気持ちはパンパンにあるのだけど、どうしても体が動かない。
相手が強すぎて硬直する野生動物、まさにそんな感じ。

この美しさ汚したくない! そんな思いで、繰り返し繰り返し踊るみなさんを見つめる。

どうやったら、これが覚えられるのだろうか……


左利きを右利きになおすような、置き換える作業がいる。


(写真右から)
井村昂さん………少年王者舘。ときにブラックジョークをとばし稽古場を和ませる、役者最年長。
夕沈さん…………少年王者舘。「王者舘ダンス」といえばこの人。
小林七緒さん……流山児★事務所所属。今回初客演。
白鴎文子さん……少年王者舘。稽古全体をとりまとめている。
(聞き手:山脇)

井村:
ダンスは、たぶんいわゆるダンスの譜割り、というか、8カウントで割ったりとか、それじゃない割りかたをしてたりするから、それで追っかけていっても分からないんだろうと思います。舞踏なんかだと、またちがう(カウントの)とりかたしてるじゃないですか。8カウントみたいなとりかたをしてるけれども、舞踏的なとりかたをしてるとか。だから、王者舘のダンスも、曲で単純にぜんぶ割っていってないから、ただほんと知らないで見てると「えっ、どうなってるんだろう」って。
山脇:
「えっどうなってんだ」ってなりました。「これを覚えるってことはもう、信じられない」って。
井村:
一緒にやれば、覚えられる(笑)。
白鴎:
一緒にやれば、できますよ(笑)。
夕沈:
ぜったい、覚えられますよね。誰にでも、ね。
井村:
まあ、早いか遅いかの違いはあるけどね。
小林:
初めてやるときはねぇ、まー覚えられないよ、これ。
白鴎:
私たちは何回もやってるから、コツをね。
小林:
やっぱ何かね、クセがあるんですよ。他の、どことも似てない。

流れる音楽、これがまた、ものすごい疾走感と、静かにひたひた迫ってくる何かが共存しております。
手の届かない岩場に群生してる花々をみるような、そういう気持ちになるのです。
いや、じっさいほんと、手が届かないっす……すごいっす。

おや?

なにやらみなさん、稽古場の紙を見てますが、それは……?

近づいてみてみると、
「1 2 3 4 1 2 3 4」
という数字の下に、ひらがなで何か言葉が書いてあります。

たとえば

1  2  3  4
う  め  の  実   

ふとみると、その言葉を口にしながら踊りを確認している役者さんたちが!

これ、カウントなんですね! カウント、ことばなんですね!

「1 2 3 4」というカウントではなく、ことばのもつイメージで、体を動かす。
それが連続して、いくつも組み合わさって、あの「王者舘ダンス」になるわけですね!
そうか、言葉か……
でも完全な「あて振り」※とも違う、そのことばのもつイメージから生まれた動き、動きから広がったことばの連続が、王者舘独特の、予測のつかないダンスの秘密だったのです。

※あて振り……「涙ふいてー」て歌いながら目尻を拭くとか。「君」で指差すとかです。

そして踊っているみなさんの、心のブレなさたるや!
踊っているのに、その心がまるで水面のようなのです、これはすごい!
バレエにも、ジャズ、ヒップホップにもない、独自の文脈。
イメージを体におとす、という点では日本舞踊に1番近い気がするけれど、なんせこちらは本人達もが「はや踊り」と呼ぶような、高速のテンポでそれは踊られるのですから!

多少のダンス経験がなんだ、一朝一夕でついていけるわけがなーい!
しかしこれは取材。体験取材。
踊らないで帰るわけにはいかない。
すみっこで、ほんのすみっこで、躍らせてもらおう……

ギャー! 無理です無理です、ほんとうについていけん。
びっくりしました。できなすぎて。こんなについていけないものなのか?

あれだけ何回も観た動きができない。
Perfumeのほうが簡単なのでは、てか簡単だなと思ってしまうくらい、目線、首の向き、手の高さ、タイミング……むずいがな!

Perfume、あのひとたちは、すごいよ!

小林:
Perfumeさ、早回しにしたら、「はや踊り」になるよね?
白鴎:
あのひとたちは、すごいよ!
夕沈:
すごいと思う、あの踊り。
小林:
あの表情からして「きたきた、王者舘」と思うよ。
白鴎:
(笑)。
夕沈:
あの振り付け師がきになるもん。
山脇:
通じるところあると思います。 あのひとたちも、なんかちょっと芯がしっかりしてて「ブレません」っていう。振り付けも、なんかちょっと奇妙で。
夕沈:
振り付け師が仕組んでると思う、あのやりかたを。

ああ、今度もし来られるならば、振り付けの段階から参加したいなあ……

■#02に続く

(取材 : 山脇 唯)