[ヨーロッパスタジオ]>[〜山脇唯の稽古場体験記〜「一日少年王者舘!!」]

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#02

制作の方が「台本です」と
新しく書かれたページを配ると、
ワーと集まる役者の面々、非常に嬉しそうです。
山脇もお借りして、拝見。

なんと、手書きです。

ノートに書かれたと思しき、縦書きの文字。よくみると、照明や音響への細かい指示も。
正直、どう読めばいいかわからない! というのが最初の感想。
ほかのどこでも見たことのない「台本」でした。
読んだだけでは、これがどのように三次元に立ち上がるのか、想像がつきません。

さらに、少年王者舘でいうところの「重ね台詞」(役者が台詞をかさねて連続して発話する)は、

だ れ だ お 前 は
     だ れ だ お 前 は
          だ れ だ お 前 は

というようにずらして書かれ、また、重なる「だ」は○で囲まれています。

      

天野さんの字じゃないと、なんか落ち着かない。

小林:
(多くの場合は)作・演出の人だったら、自分の頭のなかにあれば、現場で指示すりゃいいや、ってほとんどそんなの(照明・音響の指示など)ト書きに書かないから。脚本の段階で、絵まで描いてて「なんだこのホン」って最初思ったんだけど(笑)。
山脇:
(笑)。そう、最初に見せていただいたときに、どうやって読むか、どうなるのか・・・。あの、3行がいっぺんっていうのも分かんなくて、ぜんぜん追いつかなくて。
一同:
(笑)。
山脇:
いやぁ、すごいなぁ、と。びっくりしました。
井村:
そう、一時ワープロが入ってきたときは、ワープロ打ちにしたりとか、見やすくする作業をしたんだけど、きれいなホンになっちゃうと、すっごい逆にそれがやり辛くて(笑)。
白鴎:
ほかの台本を読んでるようで、理解ができない(笑)。「これが、え、どうなってるんだっけ?」って。天野さんの字じゃないと、なんか落ち着かない。

16:15 台本を持って車座になり、台詞合わせの稽古です。
「かさなる」部分が実際どのように稽古されるのか、そこをポイントにみていこう、と思いながら参加。
この日、作・演出の天野天街さんは脚本作業で稽古場にいらっしゃらないため、白鴎文子さんを中心に稽古が進みます。
本日届いた新しいページをまずは軽く読み合わせ。

貸していただいた台本を、読みつつ聞くが、目がまったく追いつきません。
こっそり声に出して読んでみようとしても、息を吸うタイミングがわからず……またもや参加できない感!

「かさねる」台詞がもう、本当に難しい。
それを、少しの調整はしつつもどんどんクリアしていく皆さん。


「誰の声」とか。他人の声には、すごい敏感になる。

白鴎:
重ねゼリフとかは、まずやっぱり何回も読んで、リズムができてくる。で、その「リズム」が備わると台本を見ながら自分の言う言葉を覚えて、そのリズムで追っていけるじゃないですか? それで、頭に入ってくる、というか。
井村:
あれだね、逆に分解しちゃってるのが、あるね。学校の教科書みたいに、正直に読んでくとぜったい分からなくって。「あ、これは消しちゃえばいいんだ」とかさ。「この行はあるけれども、自分に関係ないから、これは、ないものとする」とか(笑)。実際は「ある」けども「ない」ものとして。
白鴎:
だから「誰だおまえは誰誰だおまえは誰」ってぜんぶ追ってくとピーってなっちゃうから、よくよく見ると「誰だおまえは誰、誰だ」って簡略化できる。
山脇:
ああー!
井村:
だから、お経みたいに全部だらだら覚えるんじゃなくて。自分のリズムとか、あとは「音」ですよね。「誰の声」とか。他人の声には、すごい敏感になる。
小林:
でも、人の声でみんなで一斉にやった後のほうが覚えやすいんですよ。ひとりで言ってても、それが「誰かの声」で聞こえてくるから。セリフ覚えるときもそうじゃない? 相手の声とじゃないと、覚えられない。

そう、こうして繰り返される台詞を聞いていると、言葉のもつイメージを立ち上らせる人の「声」というものの存在に気づかされます。
リズムと声の高低、役者それぞれの声の持ち味によって、書かれていた台詞がメロディーになっていくのです。
少しでも合わないところがあったら返し稽古。
「慌てず、まずゆっくりでやってみよっか」
先輩方から後輩へのアドバイス。

「同じとこ言う人同士、近く座ったほうがいいかも」 「だ、のとこ、「だ」って強くとってみ」

そう、せりふは重なりながら連続していくのでひとつ落とすとそのあとが続かない。

聞いてるだけでもどえらい緊張感です!

「ここからくるリズムが、ここで裏になるんだよ、だから入りにくいんだよね。聞きすぎたら逆に入れないよ」 と、小林七緒さんがアドバイス。

どうしてもうまく入れない部分は、
「ガイドいれようか」
「ここ切ったほうがいい? 言いやすい?」
「切らずに言った方がいい?」
「その前をもう少しゆっくりやってみたら」
「ここ、そのくらいでいいね」
試行の連続。
1回1回おろそかにせず、本番を見据えての稽古は真剣そのもの、
山脇、みてるだけなのに、へろへろでございます。
と、そこに5分休憩。

■#03に続く

(取材 : 山脇 唯)