[ヨーロッパスタジオ]>[スーシーズ 特別対談&インタビュー]
大歳倫弘 [脚本・演出]
同志社大学入学と同時に'05年よりヨーロッパ企画に参加。本公演では文芸助手を務める他、ラジオの構成、テレビドラマの脚本などを務める。‘06年より舞台の脚本・演出を手掛けるようになり、‘09年からは「ヨーロッパ企画 イエティ」として京都での上演活動を続けている。
山脇唯 [ヨーロッパ企画]
北区つかこうへい劇団を経て、‘04年よりヨーロッパ企画に参加。‘10年は柿喰う客「露出狂」出演や、「ロディ・ミュージカル」の脚本を永野宗典と共同執筆。9月の「ヨーロッパ企画の京都ニューシネマ」では短編映画を製作・上映する。
■で、大丈夫ですか?
大歳
えー、山脇唯さんです。今回初、僕の台本に出ていただく。
山脇
でも、初じゃないと思う。
大歳
初じゃないか。細々、舞台以外ではね。
山脇
映画も出てるし、ラジオドラマがむっちゃ多い。
大歳
たまにあるコントとか、お世話になってますけど。舞台としては……。
山脇
初めて。
大歳
で、大丈夫ですか?
山脇
え、「大丈夫ですか?」っていうのは、どういうことですか?
大歳
山脇さんて、結構いろんな方の現場に行くことが多いじゃないですか。
山脇
うん。
大歳
僕は「ヨーロッパ企画本公演」の現場しか知らないので。で、やっぱ現場的に本公演とは違うなと思って「これ大丈夫かな」って。そもそも、ヨーロッパの稽古場も「変わってる」って言われるじゃないですか。
山脇
うんうん。
大歳
で、その“変わってる”のを“普通”として、そこから見てちょっとまた“変わってる”から「これ大丈夫なんかな」と。
山脇
ああー。「こういう風にやるのかー」って思ってる。
大歳
あっ、ほんとですか。
山脇
人それぞれよね、ほんとやっぱり。一言一句、音で演出する人もいれば……。
大歳
音? 例えば?
山脇
「語尾、上げないでください」とか。「この単語は、立てましょう」とか。
大歳
うんうん。
山脇
そういう人もいるし、何か動きで付けていく人も。「3歩目で止まった時に、このセリフ言って下さい」とか言う人もいるし。で、大歳くんのはなんか、ニュアンス重視ですよね。
大歳
そうですね。かも知れない。
■このひとことに魂込めてましたね
山脇
だから、大歳くんがやりたいニュアンスを大事にしていくことと、役者の生理っていうもののすり合わせをするのがやっぱ一番大事なんだろうなって思ってて。
大歳
はい、はい。
山脇
せっかくやるんだから、やりたかったニュアンスは絶対残したいし、それをやらなかったら意味ないけど、それによって自分がブツ切りになりそうになるとこの“埋め”みたいなことが、けっこう大事なんだろうなと思ってやってる。
大歳
ああー、その辺に関してはぜんぜん言ってほしくて。僕は役者の生理をまったく分かってないっていうのがね、あるんで。
山脇
でもねぇ。大歳くんの役者時代も……。
大歳
えっ、いつ!?
山脇
あっ、役者時代なんかなかったっけ(笑)。出てた印象があるけど、なかったっけ。
大歳
まったく、ないですよ。たまに「人が足りひんから出てくれ」みたいなのでちょろっと出たことはありますけど。
山脇
『ブルーバーズ・ブリーダーズ』の舞台には、立っている?
大歳
あっ、立ってます(笑)。最後、出てます。
山脇
そっか。じゃあその時に「このセリフ言いにくいな」みたいなのはなかったですか?
大歳
なかった。一言やったんで。
山脇
(笑)。何でしたっけ?
大歳
「もうすぐ社長来る」です(笑)。この一言に魂込めてましたね。
山脇
ああ(笑)。そう今回、セリフが多いっていうことが単純にありますよね。
大歳
ちょっと僕、セリフ多いですねぇ。
山脇
でも多いぶん分散されるから、役者としてはスケベにならなくて済むっていう。ほら(『ブルーバーズ~』の時は)一言しかなかったら、一言に魂込めてたでしょう?
大歳
はい。
山脇
でも実際日常で生きてて、一言一言に魂込めてるかって言ったらねぇ。そうでもない言葉もいっぱい喋ってる。
大歳
ああ、それで構成されてるとは思ってます。
■大歳文体、不評なんですよ
山脇
で、いっぱいセリフがあると、一個一個検証していってたら埒あかないから、反応でとっていったりしてるセリフとか。でも結局……役者がヘンに計算づくでとる音程よりも、その場で人からもらったものに返してる音程のほうがイキイキしてるってことがあるから……。
大歳
それをね、できたらいいですけどねぇ。
山脇
それが難しいよね。そのだから、大歳くんが計算してくれてるところに、生で行けるってことを目指してるんですよ。
大歳
そんなん、目指してくれなくていいですよ、ちゃんとそんな……。
山脇
やる以上は。
大歳
すんません、なんか。
山脇
そのためのフォーム作りを今稽古でやってると思ってて、フォームさえできればきっと対応できると思うんですけど。つまり、それぞれ出自の違う人が集まってきて、いつものヨーロッパとは違う演技体になりつつあって、ていう「大歳の(作品)をやる時はこういう感じになる」っていうのが身体に1回落ちると、とてもやりやすくなるだろうな、と思ってるんですけど。
大歳
そうか。確かに、そうですね。
山脇
なんだろう……「大歳口語体」みたいなやつがあるじゃん。
大歳
いやいや、あれねぇ。僕、気づいてなくて。
山脇
あ、クセで?
大歳
はい。クセでやっちゃってるから、よくないですよね。あれはよくない。役者が混乱するだけなんですよね。
山脇
でもさぁ。例えば大御所出すと、つかこうへいさんの作品やる時は「つか芝居」がやりたくてやるじゃん? だから、大歳くんの作品出る時は、この「大歳文体」を身体に落としたいっていう気持ちもあるよね。
大歳
大歳文体、不評なんですよ。
山脇
あ、そうなの?
大歳
けっこう大歳文体で、過去の公演も書いてるんですよ。でも直してもらったら、結局そっちのほうが上手いこといって。
山脇
でもどっかにあるはずだよ。演技体と大歳文体が合わさる時が。そりゃ第1回、第2回ではできないと思うよ。でも第3回、第4回やってくうちに、なんかできてくるんだと思う。
■「シリアス」っていうことにしましょうか
大歳
今回、「コメディ」で大丈夫ですよねぇ。
山脇
コメディかなぁ。「コメディ」っていう言葉も扱いにくいよね、すごく。
大歳
どっかで僕「コメディ」って言っちゃったんですけど「え、コメディじゃないか」と思って、「何になるんやろう」って。「ふざけてる」というか。
山脇
でも「笑って帰ってください」っていうのがコメディだとしたら、これはコメディじゃないような気もするし。
大歳
じゃあ、コメディじゃない、っていうことにしましょうか。「シリアス」っていうことにしましょうか。
山脇
うん、シリアスって言っておいたら「意外と面白かったね」みたいに……(小声で)あれ? 違う? なるよね?
大歳
なるなる(小声で)。……だからこの、シリアス芝居ですけど。
山脇
そうね、追いつめながらやってます。
大歳
やっぱり僕も、追いつめてるとこけっこうあると思うんでね、やっぱり。
山脇
稽古場が、いつも以上に緊張感があって。
大歳
わりとピリっとさせてるとこがあって、申しわけないですけど。……っていうとこの方を“生かし”で。「大歳、シリアス芝居に挑戦」。
山脇
でもある意味、ほんとにお客さんがクスリともしなくても、やりきれるような芝居ではあると思うの。貫かれてるものがあるから。
大歳
それはでも、ガックシくる境地で(笑)。
山脇
そう(笑)。「ハア~?」ってなる。この人達を笑っていいのかどうかっていう判断がね。でも、『スーシーズ』っていう題名で来る人達が客席にいるわけだから、どうなんでしょうね?
大歳
いやいや、だから結構シリアスな感じになると思いますよ。アートな。
山脇
そっか。「不条理」とか思ってるかもしれないし。
大歳
そうでしょうね。「スーシーズ……怖い!」みたいな。
山脇
「ホラー」と思われてるかもしれない。
大歳
ホラー……ある種ホラー!
山脇
ホラーですよ。スティーヴン・キング的な(笑)。
大歳
「ギャー!」みたいなことですよ。
山脇
「あれってもしかして……えぇ!」みたいなことですよ。
大歳
じゃ、今回山脇さんと大歳の中ではホラー&シリアスということで。
山脇
うん。挑戦、ということで。